内側広筋と言えば…

Quad settingの時、大事な筋肉だよね…

何となく大腿四頭筋の中で一番大事そう…

もちろん内側広筋は膝関節機能を維持もしくは改善する際にとても重要視されるものです。

でもそれは何故か?

それは膝関節の機能的な面も含めて疼痛発生要素もあるからだと思っています。

そこで今回は大腿四頭筋の中心的役割を担う内側広筋の基礎的な解剖学の復習からストレッチ方法、そして臨床で役立つ4つの特徴を解説していきたいと思います。

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内側広筋の解剖

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画像引用(一部改変):Anatomography

内側広筋(vastus medialis)
起始 大腿骨転子線下部、大腿骨粗線内側唇
停止 膝蓋骨上縁から内側縁、中間広筋停止腱
作用 膝関節伸展、僅かに内旋
内側膝蓋支帯の緊張
神経支配 大腿神経(L2~4)
トリガーポイント ① 大腿中央部よりやや内側で筋腹内縁付近
② 膝蓋骨上内方付近
関連痛 ① 大腿部内側を縦に放散
② 内側広筋遠位から膝関節にかけて

 

内側広筋のストレッチ

※後日、掲載いたします。

 

内側広筋の特徴

特徴1 Extention lag

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画像引用(一部改変):Anatomography

Extention lagとは…他動での膝関節伸展可動域は保たれているものの、自動での膝関節伸展可動域に関しては他動に及ず、差があること。

例えば…他動での膝関節伸展可動域は0°であるのに対して自動での膝関節伸展可動域が-10°である場合などを言います。

このextention lagの正しい角度は設定されておらず、角度ごとに役割の筋肉が違うとされている。

内側広筋 ⇒ 0°~10°,15°付近

・中間広筋 ⇒ 0°~90°付近

・大腿直筋 ⇒ 膝関節伸展に関わる全可動域

・外側広筋 ⇒ 上記筋肉の補助的役割

そのため膝関節伸展最終域でextention lagが出ると内側広筋が問題だ!となるわけです。

しかしextention lagにも色々な要素があると言われています。

拮抗筋であるハムストリングスの柔軟性低下や短縮、膝関節内の腫脹による反射筋抑制など調べてみれば多くの要素が挙げられます。

ですが術後など筋活動低下による筋萎縮などを起こし、extention lagが出る場合には積極的に内側広筋を疑い、対応した方が良いと思います。

patella settingは筋力の賦活に加えて、膝関節周囲の腫脹に対しても軽減される効果があると言われています。

特徴2 ハンター管を形成

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画像引用(一部改変):Anatomography

ハンター管とは…内側広筋・大内転筋・長内転筋で形成される通路のようなものでその中を伏在神経大腿動静脈が通過する場所のことを指します。

このハンター管は別名で内転筋管とも呼ばれています。

ここでの神経絞扼が伏在神経領域(膝関節内側~下腿内側)の痛みへ繋がるため重要な場所だと言われています。

そのためハンター管を形成する3筋の筋スパズムハンター管自体の滑走性低下による症状が変形性膝関節症などの膝関節内側の痛みと似ているなと感じたら疑ってみる一つの要因になると思います。

詳しくは過去記事の【伏在神経による膝内側の痛み│抑えておくべき3つのポイント】をご参照ください。

特徴3 内転筋裂孔との関係

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画像引用(一部改変):Anatomography

先ほどのハンター管(内転筋管)を過ぎると内側広筋の後内側辺りに大内転筋の停止腱が分かれてできる内転筋裂孔という通路が存在します。

これは主に大腿動静脈が通過し、のちに膝窩動静脈となる重要なポイントになります。

ここもハンター管からの流れの一部になっているので少なからず内側広筋の関与が考えられています。

しかしここはハンター管とは違い、裂孔であり、絞扼される可能性は少ないですが膝の痛みを考える際には覚えておいた方がいいかもしれません。

特徴4 内転筋結節との関係

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画像引用(一部改変):Anatomography

内側広筋は多くの筋肉・靭帯などが集約する内転筋結節にも付着している可能性があると言われています。

その筋肉や靭帯とは…内側広筋・大内転筋・腓腹筋内側頭・内側側副靭帯・内側膝蓋支帯などがよく知られており、他にも膝関節の関節包なども付着します。

これらは内転筋結節を介して線維交流している可能性があり、互いに影響を及ぼしあう可能性があります。

膝関節の痛み内転筋部や下腿部の痛みなどが混在する場合にはこの知識があるだけで推論は広がりを見せると思います。

 

まとめ

特徴1 extention lagは内側広筋の筋力低下を疑う
特徴2 膝内側の痛みと関係するハンター管(内転筋管)
特徴3 ハンター管の下には内転筋裂孔がある
特徴4 内転筋結節は多くの筋肉や靭帯が集まる

 

いかがだったでしょうか。

ただ筋肉の名称や起始停止を覚えているだけではなかなか臨床では結びつきません。

そこから繋がる解剖学運動学を知ることで推論は一気に広がりを見せます。

皆さんに少しでも有益な情報が伝わるようにこれからも情報発信していきます。

今回も最後までご覧いただきましてありがとうございました。