今までも大腿二頭筋に関しては記事を書いてきました。

過去記事:【変形性膝関節症シリーズ5】大腿二頭筋による膝関節伸展制限

しかしこれに飽き足りず、今回も大腿二頭筋について解説していきたいと思います。

膝関節の中で大腿二頭筋にしかない機能を考え、臨床へ繋げていきます。

是非興味がある方は読み進めてほしいと思います。

 

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大腿二頭筋の復習

gaisokuhamu起始:

長頭 ⇒ 坐骨結節後面
短頭 ⇒ 大腿骨粗面外側唇下方1/2

停止:腓骨頭、下腿筋膜

作用:膝関節屈曲・外旋、股関節伸展・外旋

神経支配:

長頭 ⇒ 脛骨神経(L4~S1)
短頭 ⇒ 総腓骨神経(L5~S2)

血管分布:深大腿動脈貫通枝

トリガーポイント:筋腹中央部で大腿部の後外側に複数存在

関連痛:膝窩を中心に、上は殿裂から大腿外側、下は下腿外側近位に放散

 

ここから分かるように大腿二頭筋は骨盤と下肢を結ぶ筋肉です。

以前の記事でもお伝えしましたが、ハムストリングスの最外側は大腿二頭筋長頭が走行しています。

 

 

大腿二頭筋長頭の特徴

特徴1 半腱様筋との繋がり

hannkenntohamu大腿二頭筋長頭は骨盤の坐骨結節から半腱様筋と一緒に起始部を形成しています。

そのため内側ハムと外側ハムでその後の走行は変わりますが、起始部が共通腱になっているためお互い影響を受けることが考えられます。

 

特徴2 仙結節靭帯との繋がり

坐骨結節に付着する大腿二頭筋長頭はその線維を仙腸関節周囲を補強している仙結節靭帯にまで伸ばし、繋がりをもっている。

これにより骨盤からの影響、仙腸関節での機能障害なども大腿二頭筋由来のものが存在するかもしれない。

それを裏付けるのが大腿二頭筋長頭の骨盤後傾作用である。

これにより片側の仙腸関節のニューテーションが促されることで機能障害を起こす可能性がある。

 

 

大腿二頭筋短頭の特徴

特徴1(3) 膝関節伸展制限

tannhamuこれは以前もお話ししましたが、大腿二頭筋短頭は短関節筋で膝関節をまたぐため単独での膝関節伸展制限になりえます。

また長頭に関しては股関節屈曲位という肢位が加わらない限り伸展制限にはならないため、股関節の肢位を変化させて膝関節伸展制限の原因を探ってください。

 

特徴2(4) 外側筋間中隔

gaisokutohamu大腿二頭筋の最外側は長頭と書きましたが、大腿外側部で外側広筋と大腿二頭筋間の筋間中隔を担うのはその深層にある短頭になります。

ここは膝関節伸筋の外側広筋と膝関節屈筋の大腿二頭筋の滑走が起こるため疼痛や可動域制限に直結しやすい場所でもあります。

 

 

大腿二頭筋両頭の特徴

特徴1(5) 外側側副靭帯より外側

これは停止部の話です。

大腿二頭筋は停止部を外側側副靭帯より外側から腓骨頭へと付着していきます。

そのため位置だけで見れば膝関節内反を最初に制御する因子になるわけです。

(しかし機能的に見て外側側副靭帯が膝関節内反制動の最有力になります)

この外側側副靭帯との間には滑液包が存在し、互いの摩擦を防いでいます。

 

特徴2(6) 膝窩筋との繋がり

pophamu大腿二頭筋は膝関節包、脛腓関節包と関節包との繋がりがありますが、その過程で膝窩筋との繋がりがあります。

これにより互いの作用を生かして膝関節包に緊張を与え、膝関節の安定性の一助になっているとも言われています。

 

特徴3(7) 膝関節唯一の○○筋!

hamuhamu別に焦らす必要もないのですが…

大腿二頭筋は膝関節唯一の外旋筋(膝関節屈曲位)です。膝関節内旋筋は縫工筋、薄筋、半腱様筋、半膜様筋と4筋ありますが、外旋筋は大腿二頭筋のみです。

そのためスクリューホームムーブメントにおいては膝関節屈曲時に骨構造も関係しますが、内旋していくのはこの筋配分にもあるかもしれません。

しかし何においてもバランスは重要です!

どちらかに筋スパズムを抱えるだけで膝関節内の運動軌道が逸脱してしまう可能性もあるため注意してみていく必要があります。

 

 

いかがだったでしょうか。

今回は大腿二頭筋を長頭・短頭・両頭で合計7つの特徴を解説してきました。

こうやって見直してみると大腿二頭筋の重要性が改めてわかります。

この知識を今すぐにでも活用してほしいと思います。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

画像引用(一部改変):Anatomography http://lifesciencedb.jp/bp3d/