膝関節もしくは膝関節周囲や下腿部に痛みじゃないけど違和感を感じている患者さんいらっしゃいませんか?

ムズムズするとか言い表し方がいまいち分からないような症状。

聞いているこちらもわけがわからない症状ってあると思います。

そういう場合は筋骨格系だけに着目していては解決しない場合があります。

今回は膝関節周囲もしくは下腿の違和感に膝窩動脈が関わっているかもしれないお話をしていきたいと思います。

 

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膝窩動脈について

膝窩動脈は大腿動脈の延長であり、内転筋裂孔を通過後に名称が変わります。

後方の膝窩中央部で膝窩動・静脈、脛骨神経を確認すると…

内側から膝窩動脈・膝窩静脈・脛骨神経と並んでいます。(脛骨神経にアプローチする際は膝窩動脈より外側にあることを覚えていると触診がうまくいきます)

膝窩動脈はその後、前・後脛骨動脈に分かれるまで続きます。

またその間にも膝窩動脈は膝関節前面後面と周囲に動脈を張り巡らせています。

 

 

内転筋裂孔とは

膝窩動脈は内転筋裂孔を通過すると書きましたが、その内転筋裂孔は大内転筋によって形成されています。

大内転筋の起始停止とトリガーポイント

内転筋裂孔は大内転筋の停止部の特徴によって形成されています。

その特徴というのが複数の停止部です。

大内転筋の停止部は大腿骨粗面内側唇上端、殿筋粗面付近、内転筋結節となっていますが、特に大腿骨粗面内側唇上端に停止するものと内転筋結節に停止するもののギャップ、その間に内転筋裂孔が存在します

 

 

膝窩動脈治療への手引き

ここでは膝窩動脈を治療するための確認と治療する際の注意点について解説します。

拍動の確認

まずは血管系の障害が予測される場合、血管拍動を確認する必要があります。

ここで差異がなければ除外する必要も出てくるため必ず確認が必要になります。

①膝窩部での膝窩動脈触診

先ほども伝えましたが、膝窩動脈は膝窩静脈、脛骨神経より内側に存在するし、膝窩動脈より内側には半腱様筋、半膜様筋が存在するためそちらから探っていってもいいと思います。

②内果後方での後脛骨動脈触診

後脛骨動脈の拍動を知ることは膝窩部より絞扼部位が遠位か近位か知るために必要になってきます。

 

鑑別診断

・膝窩部での動脈拍動に左右差がある場合…

内転筋裂孔や膝窩動脈になる前の大腿動脈部での絞扼が考えられる。

・膝窩部での動脈拍動に左右差がなく、後脛骨部での動脈拍動に左右差がある場合…

膝窩動脈以降にヒラメ筋腱弓部位や下腿コンパートメントによる症状出現が考えられる。

 

このような考え方をもって見てみると膝もしくはそれ以下の何となく言い表しにくそうな違和感を理解できるかもしれません。

もちろんその絞扼部位にあった治療が必要にはなってきますが、まずは評価し、少しでも症状を起こしている原因に近づくことが大切だと思います。

 

 

内転筋裂孔へのアプローチ

内転筋裂孔は後方から確認すると、半腱様筋・半膜様筋の深部に存在します。

そのためダイレクトストレッチをかけていく際にはこれらの筋を避けて大内転筋へ直接アプローチしていく必要があります。

また側方は薄筋前方部は内側広筋が存在するため各方面からのアプローチの際には注意が必要です。

しかし触診のしやすさからいくと後方からの方が侵入しやすいためそちらの方が治療しやすいです。

 

 

いかがだったでしょうか。

膝、下腿の違和感を今回は膝窩動脈から見ていきました。

なかなか脈管系の治療は考えが及ばない場合があると思いますが、筋骨格系をみる上で脈管系も必ずと言っていいほど影響を受けます。

そのため筋骨格系に付随して脈管系まで解剖を覚えることで治療の考え方が広がります。

少しでも皆さんの参考になれば嬉しく思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。legskin