薄筋と言えば…

内転筋であるということ!

それ以外何か浮かびますか?

養成校時代に習った薄筋のイメージの私ではこのような答えしか浮かんでこないと思います。

ですが、薄筋にも重要な特徴がいくつか存在します。

今回はそんな薄筋の基礎的な解剖学の復習からストレッチ方法、そして臨床で役立つ3つの特徴を解説させていただきたいと思います。

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薄筋の解剖学

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画像引用(一部改変):Anatomography

薄筋(gracilis)
起始 恥骨結合外側縁
停止 脛骨上縁(縫工筋停止部後方)
作用 大腿骨内転、下腿骨屈曲及び内旋
神経支配 閉鎖神経(L2~4)
トリガーポイント 筋腹中央の中1/3に存在
関連痛 大腿内側を縦に放散
関連臓器 膀胱、子宮、子宮付属器、前立腺

 

薄筋のストレッチ

※後日、掲載いたします。

 

薄筋の特徴

特徴1 鵞足炎との関係あり

image (12)

画像引用(一部改変):Anatomography

膝関節内側の痛みとして有名な鵞足炎

その鵞足部の炎症に繋がる3つの筋肉と言えば…

薄筋・縫工筋・半腱様筋の3つである。

しかし最近ではこの3筋以外に半膜様筋も鵞足部を筋肉のひとつであるとされている。

(参照:膝の内側の痛み。それって鵞足炎ですか? 3→4の新常識!

基本的にはオーバーユース(使い過ぎ)が原因となることが多いが、それぞれの筋肉により作用が違うためどの筋肉を多用するかで原因筋が変わってくる

特に薄筋は股関節の内転の作用が強いため、サッカーでのインステップキック(足の内側でボールを蹴る蹴り方)などでの受傷が多いとされています。

ちなみに上記の過去記事にも掲載されていますが、薄筋の鵞足炎を判定するストレステストは…

薄筋 ⇒ 股関節外転+膝関節伸展

(参考までに…

縫工筋  ⇒ 股関節伸展・内転+膝関節伸展

半腱様筋 ⇒ 股関節屈曲・内転+膝関節伸展 となっています。) 

こうして見てみると薄筋だけ横の動きで見ると股関節外転時に伸張されることが分かります。

縫工筋と半腱様筋は股関節内転の動きが伴い伸張されます。

ということは過度な外転を伴うような動きには薄筋由来の鵞足炎を発症する可能性が高いということなります。

スポーツ中の動作ではあまり見かけないかもしれませんが、股割りの様な体勢になると薄筋が優位に伸張される可能性が出てきます。

一応参考までに他の筋肉との違いを覚えておくといいでしょう。

特徴2 内転筋群で唯一の2関節筋である

ダウンロード (18)

画像引用(一部改変):Anatomography

タイトル通り、薄筋は内転筋群の中で唯一の2関節筋です。

2関節筋ということは股関節・膝関節両方の動きを司るわけですが、薄筋と呼んでその名の通り…

筋腹自体が薄く力もあまり強く無い筋肉です。

しかし2関節筋である以上、単関節筋と比べて動きやパフォーマンスへの影響度が大きいです。

その点も踏まえて薄筋の一つの特徴であり、内転筋群唯一の2関節であるということを覚えておいてほしいと思います。

特徴3 大腿最内側筋である

ダウンロード (19)

画像引用(一部改変):Anatomography

薄筋は2関節筋であり、大腿内転部において最内側に位置する筋肉になります。

ということはレバーアーム(筋長)が長く、股関節外転における最初の抵抗筋になりえるということです。

特にスポーツ時に足を滑らせたりして…

股関節外転 + 膝関節伸展・外反

これらが複合して起こると薄筋の損傷が一番に考えられます。

もちろん受動組織である膝関節内側側副靭帯の損傷も考えられますが…

ここで大事なのは薄筋が大腿内転部において最内側に位置するということです。

それだけで触診が明確になり、一つのキーマッスルになってくれると思います。

これも薄筋が2関節筋であると同時に一緒に覚えておいてほしい特徴になります。

 

まとめ

特徴1 薄筋への負荷は鵞足炎へと繋がる
特徴2 薄筋は内転筋群唯一の2関節筋である
特徴3 薄筋は大腿内転部で最内側に位置する筋肉である

 

いかがだったでしょうか。

薄筋がただの内転筋というだけの特徴ではないということが分かりましたでしょうか。

筋肉には少なからずそれぞれ特徴が存在します。

それをセットで覚えておくとより記憶にも定着しやすいと思います。

是非、参考にしてみてほしいと思います。

今回も最後までご覧いただきまして本当にありがとうございます。