長母趾屈筋と言えば…
もちろん足の親指についてて、指を曲げる動作をしたり?
あとは歩く時の蹴り出しとの役割がある?
とかこんな感じのイメージを持たれているのではないでしょうか。
今回はこの長母趾屈筋の基礎的な解剖学の復習からストレッチ方法、そして臨床で役立つ3つの特徴と題して解説していきたいと思います。
見出し
長母趾屈筋の解剖
引用画像(一部改変):Anatomography
長母趾屈筋(flexor hallucis longus) | |
---|---|
起始 | 腓骨後面下方1/3、下腿骨間膜後面下部 |
停止 | 母趾末節骨底 |
作用 | 母趾屈曲、内側縦アーチ保持 |
神経支配 | 脛骨神経(L5~S2) |
トリガーポイント | 下腿中央から遠位の筋腹で正中線より外側に存在 |
関連痛 | 母趾・第1中足骨底面に放散 |
長母趾屈筋のストレッチ
長母趾屈筋は起始と停止の関係からまず外反方向へ誘導することで伸張率をアップさせることができます。
先ほどの外反位を保ちながら、足関節と母趾を伸展させます。
足底から下腿後面が伸張感を感じる場所で30秒ほど静止します。
ゆっくりとストレッチを解き、元の位置へ戻ります。
ストレッチの時間に関しては下記のリンク先に詳しく書いているのでご参照ください。
ストレッチの効果を最大化するポイントは強さや時間じゃなく○○だった!
長母趾屈筋の特徴
特徴1 足関節背屈制限の一つの主原因
長母趾屈筋は解剖図を見てわかる通り、足関節の後方を通過しているため足関節背屈制限になりえることは容易に想像できると思います。
でもここでなぜ長母趾屈筋が主原因と呼べるのか…それには理由があります。
それは長母趾屈筋が…
距骨の後方を走行しているからです!
足関節を背屈すれば距骨は前方から押し出されて後方へ移動します。
引用画像(一部改変):Anatomography
この時、距骨の後方を走行している長母趾屈筋が距骨の後方移動を妨げる形で足関節の背屈制限を起こします。
長母趾屈筋は筋肉で唯一、距骨の後方を走行します。
引用画像(一部改変):Anatomography
そこは長母趾屈筋腱溝と呼ばれています。
他にも足関節の背屈制限になりえる主な原因はあります。
ここでも長母趾屈筋を紹介していますが、他の制限因子も紹介しているので是非参考にしていただきたいと思います。
特徴2 シンスプリントにも関係あり
シンスプリントとは…
別名、脛骨過労性骨膜炎と言われており、主に脛骨下1/3部分に過度なストレスがかかり続けた結果、骨膜が炎症を起こして痛みに発展することを言います。
このシンスプリントは基本的にスポーツ障害の一つとして捉えられており、主な原因はオーバーワークになります。
いくつかシンスプリントに関する記事を書いているので気になる方は目を通していただきたいと思います。
シンスプリントかな?と思った時に3分でできる5つのチェックポイント!
シンスプリントを自分で治す!7分でできる5つのシンプル治療法!
シンスプリントを引き起こす筋肉の原因として一番に上がってくるのは…
後脛骨筋です。
しかし長母趾屈筋もシンスプリントの後面版として過剰な牽引・収縮ストレスにより骨膜を引っ張り、炎症を起こす可能性があるとされています。
そのため下腿後面のスポーツ障害では長母趾屈筋を一つ頭に入れておくといいかもしれません。
引用画像(一部改変):Anatomography
特徴3 案外と起始は腓骨側
引用画像(一部改変):Anatomography
長母趾屈筋は母趾へと付着するため、起始も垂直に登れば母趾側(脛骨側)にありそうですが、停止部は腓骨側になっています。
セラピストがよく行う手技に筋実質へのダイレクトストレッチがあります。
そのため起始と停止はしっかりと覚えておかなけいればいけません。
そんな中で長母趾屈筋は腓骨後面、下腿骨間膜に付着することをしっかりと理解していればダイレクトストレッチを行うことも可能です。
また腓骨側につくということは足関節を外反位に持ってくるとより伸張度が増すため、ストレッチの際には知っておくことが必要です。
そして起始が下腿骨間膜にも付着しているということは脛腓骨の骨折などで下腿骨間膜の流れに乱れが生じるため、起始部が固定できずに張力を保つことができない場合も考えられるため母趾の屈曲が効かない時には頭の隅にでも入れておくといいかもしれません。
まとめ
特徴1 距骨後方を通るため足関節背屈制限の原因になる
特徴2 下腿後面のシンスプリントに発展する可能性あり
特徴3 起始が腓骨・下腿骨間膜であることを覚えておく
いかがだったでしょうか。
今回紹介した臨床で役立つ特徴の中でも足関節背屈制限は長母趾屈筋の一つの大きな特徴になると思います。
ただやみくもにアキレス腱のストレッチをしたり、関節を背屈方向にストレッチするだけではなく、なぜ足関節背屈制限が起こっていて、原因は何なのかを突き詰めていけばおのずと結果は付いてくると思います。
これを一つの知識として活用していただければ嬉しく思います。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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