後脛骨筋と言えば…

ふくらはぎから始まる筋肉で…

確か停止部がたくさんあったような…

こんな感じのイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?

今回はそんな

後脛骨筋の基礎的な解剖学の復習から

ストレッチ方法

そして臨床で役立つ3つの特徴

解説していきたいと思います。

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後脛骨筋の解剖

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画像引用(一部改変):Anatomography

後脛骨筋(tibialis posterior)
起始 脛骨後面、腓骨内側面、下腿骨間膜後面
停止 舟状骨、内側・中間・外側楔状骨
立方骨、第2~4中足骨底側面
作用 足関節底屈・内反、内側縦アーチ保持
神経支配 脛骨神経(L4~S1)
トリガーポイント ヒラメ筋深部にて下腿骨間膜近位1/4付近
関連痛 下腿中央後面からアキレス腱を経て足底、全趾まで広がる

 

後脛骨筋のストレッチ

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床に座り、

股関節と膝関節を曲げた状態で

後脛骨筋の停止部である足底付近を持ちます。

 

後脛骨筋はアーチを上げ、

内反方向への作用があるため外反方向へと誘導します。

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その際、

足関節を背屈しながら外反方向へ誘導し、

ストレッチします。

 

足底から下腿後面が

伸張感を感じる場所で

30秒ほど静止します。

 

その後ゆっくりとストレッチを解き、

元の位置へ戻してください。

 

ストレッチの時間に関しては

下記のリンク先に詳しく書いているのでご参照ください。

ストレッチの効果を最大化するポイントは強さや時間じゃなく○○だった!

 

後脛骨筋の特徴

特徴1 シンスプリントの関係

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画像引用(一部改変):Anatomography

後脛骨筋 = シンスプリント

と思い出す人もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

それくらい

後脛骨筋とシンスプリントは深い関係性にあります。

 

シンスプリントとは…

別名を脛骨過労性骨膜炎と言われており、

主に下腿内側脛骨下1/3部分にかかる

ストレスが過剰にかかり続けた結果、

その部分の骨膜が炎症を起こして、

痛みが発生することを言います。

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基本的に

このシンスプリントは

スポーツ障害に分類され、

オーバーワーク(運動のし過ぎ)が

一番の原因だと言われていますが、後脛骨筋も関係してきます。

 

シンスプリントの原因ってなに?知って得する4つの原因!

ここでも

後脛骨筋がシンスプリントを引き起こす原因の一つである

と述べています。

 

ちなみに

後脛骨筋はシンスプリントの原因の中でも

骨膜にかかる牽引ストレスによって

シンスプリントを引き起こしています。

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画像引用(一部改変):Anatomography

しかし最近では

シンスプリントの痛みを訴える場所には

後脛骨筋は付着してないとして

関連性はないとの報告もされているようです。

 

しかしシンスプリントは

必ずしも下腿内側だけの痛みではないんです。

 

下腿の後面に痛みがある場合でもシンスプリント

と呼ばれる場合があります。

 

その場合、

後脛骨筋による骨膜の牽引ストレスは

十分、シンスプリントを起こす可能性があります。

 

シンスプリントに関しては他にも記載しているので是非ご覧ください。

シンスプリントかな?と思った時に3分でできる5つのチェックポイント!

シンスプリントを自分で治す!7分でできる5つのシンプル治療法!

 

特徴2 内側縦アーチの保持

足の土踏まずがない人のことを

偏平足と言ったりしますが、

必ずしもそれ自体が悪いわけではありません。

 

しかし足にアーチ構造があるのには、

ちゃんとした理由があります。

それは…衝撃吸収機能推進力機能などです。

内側アーチ

画像引用(一部改変):Anatomography

このアーチ構造、

後脛骨筋でいえば

内側縦アーチの保持が関係してきます。

 

足のアーチ構造に関しても

いくつかの原因で低下してしまうことがあります。

その一つとして…

後脛骨筋機能不全があります。

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画像引用(一部改変):Anatomography

先天的要因や外傷後の変性治癒などでは

改善が難しいと思われるものでも、

後天的な後脛骨筋機能不全なら改善することが可能かもしれません。

 

足のアーチ構造が生み出す機能を

最大限発揮するためにも

後脛骨筋との関係性を理解し、

後脛骨筋機能不全を未然に防ぐことが大切です。

 

後脛骨筋による足のアーチ構造に関してはこちらの記事をご参照ください。

後脛骨筋の機能低下によって足底アーチは低下するのか?

 

特徴3 コンパートメント症候群との関係

コンパートメント症候群とは…

外傷などの原因により

組織が存在する区域内の圧力が上昇することで

筋機能不全循環障害などを起こすことを言います。

ここでなぜ後脛骨筋が出てくるのか、

これは先ほどの後脛骨筋機能不全とも関係があります。

 

後脛骨筋は

下腿を水平面から見た時に

周りを脛骨・腓骨の骨と筋肉群によって囲まれるため

周りからの圧迫を受けやすい構造になっています。

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画像引用(一部改変):Anatomography

後脛骨筋だけに色を付け、

周りの筋肉に透明度をつけると上の図のようになるが…

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画像引用(一部改変):Anatomography

他の筋肉の透明度をなくすとちょろっとしか見えません。

そのためふくらはぎでの

後脛骨筋にかかる圧力が高くなり、

後脛骨筋が効かない、後脛骨筋機能不全に至ります。

 

すると先ほどの内側縦アーチ低下にも繋がります。

この構造を知ることで後脛骨筋がコンパートメント症候群と関係があることがよくわかります。

 

まとめ

特徴1 シンスプリントは後脛骨筋との関係が深い

特徴2 内側縦アーチを保持する重要な役割をもつ

特徴3 下腿の深部にあるためコンパートメントを起こしやすい

 

いかがだったでしょうか。

少しは後脛骨筋の見方が広がったでしょうか?

 

後脛骨筋は結構、

幅広い年齢層の方の治療に役立つと思います。

 

それはシンスプリントなどのスポーツ障害から

変形性膝関節症に伴う内側縦アーチの低下など原因や

アプローチ方法は違っても

重要な筋肉の一つになってくると思います。

 

是非臨床でも

後脛骨筋を意識してみてみると

また違った視点からアプローチできる

かもしれないので参考にしてみてください。

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。