足関節背屈制限というと…

足関節の捻挫を含む足関節周囲の靭帯損傷や足関節の天蓋骨折(プラフォンド骨折)や三果骨折など足関節周囲のトラブルには決まったように背屈制限がみられませんか?

必然的なわけではないですが、臨床に携わっていると何故だか…

足関節の背屈制限や前方のつまり感などを訴える患者さんが多いように感じていましたが、あなたの患者さんはどうですか?

もしかしたら臨床で私のように足関節周りのトラブル、特に背屈制限に関して治療に難渋している、もしくは困っている方のために…

今回は“足関節の背屈制限”に焦点をあてて3つの考えうる要因をご紹介します。  

これらを知ることで…

・足関節背屈制限が腓腹筋やヒラメ筋だけではないことが理解できる

・足関節背屈制限因子を多方面からみれるようになる

・最終的に足関節背屈制限が改善できるようになる

などの効果を得られる可能性が広がります。

足関節背屈制限因子の視野を広げることで患者さんの訴えにも親身に寄り添うことが可能になります。

患者さんの“足関節背屈制限”に関して困っている方は是非読み進めていただきたいと思います。  

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要因1 長母趾屈筋

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画像引用(一部改変):Anatomography

長母趾屈筋は腓骨後面から母趾末節骨まで走る母趾の屈筋であることはご存知かと思います。

なぜこの長母趾屈筋が背屈制限になるかといいますとただ単に足関節後面を通るというだけの理由ではありません。それは…

距骨の後方を走るからです!それも…

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画像引用(一部改変):Anatomography

距骨の一番近くを走っているためです!

長母趾屈筋は腓骨後面の起始から…

脛骨後方、距骨後方(距骨後突起溝)、そして踵骨後方(載距突起)の3ヵ所の溝に腱を走らせています。

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画像引用(一部改変):Anatomography

これは他の筋肉にはない特徴です。

是非足関節背屈を評価する際は…

母趾の伸展にも着目することをオススメします。

長母趾屈筋の起始停止などの詳しい情報はこちら…

【長母趾屈筋】解剖学、ストレッチ方法と臨床で役立つ3つの特徴

 

要因2 後脛骨筋

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画像引用(一部改変):Anatomography

後脛骨筋は長母趾屈筋よりも距骨から離れた位置にありますが、十分足関節背屈制限の因子になり得ます。

距骨に接触している長母趾屈筋は例外ですが、関節の軸から離れている方が関節運動を阻害する因子になるため後脛骨筋以外にもより表層のものも制限因子となりますが今回は割愛します。

後脛骨筋ですが、一番の特徴は下腿を横断面に見た時にあります。

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画像引用(一部改変):Anatomography

横断面からは見れないため、後脛骨筋以外の筋肉を透かしてみるとこんな感じ。

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画像引用(一部改変):Anatomography

後脛骨筋は前方を前脛骨筋側方からは脛骨と腓骨に挟まれ、また後方からも下腿三頭筋をはじめとする屈筋、底屈筋群に囲まれています。

そのため前方と後方からの筋群の圧迫(筋スパズムなどからの高い圧力)により筋機能不全を起こすことが考えられます。

機能不全は筋肉自体の線維化を招くことも考えられ、伸張性を失った後脛骨筋は十分に足関節背屈の制限因子の一つとして考えられると思います。

そのためこの場合では後脛骨筋自体にアプローチすることよりも前方と後方からの圧力を軽減されることが優先となってきます。    

後脛骨筋の起始停止などの詳しい情報はこちら…

【後脛骨筋】解剖学、ストレッチ方法と臨床で役立つ3つの特徴

 

要因3 kager`s fat pad

kager’s fat padという言葉、部位をご存知ですか?

簡単に説明すればアキレス腱深層にある脂肪体になります。

kager’s fat padアキレス腱長母趾屈筋腱踵骨周囲で構成される空間(kager’s triangle)に存在する脂肪組織です。

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画像引用(一部改変):Anatomography

しかしここで考えなければいけないのは…脂肪自体は熱(炎症)を与えると柔らかくなるという性質です。

ではなぜ脂肪体が硬くなるのか…

それは炎症期を過ぎて組織自体が線維化してしまう可能性と長期固定や免荷による循環障害から来ていると思われます。

足関節の疾患になると免荷は他の関節と比べて大きなリスクになります。

その中でもやはり循環障害はのちのリハビリに与える影響も大きいと思われます。

要するに固定・免荷により筋が収縮をしないということは…

リンパの流れも阻害します。

本来なら排出すべき水分が局所に残ることで浮腫を形成したり、大きい水分子になるとリンパ管に入らなくなり、脂肪を硬くする原因にもなることもあります。

そのためできる限り動かせるところは動かし、循環障害を避けなければいけないと思います。    

 

足関節背屈制限のまとめ

要因1 距骨最後方に位置する長母趾屈筋
要因2 圧力による逃げ場がなく、線維化した後脛骨筋
要因3 循環障害によるkager’s fat padの線維

 

いかがだったでしょうか。

少しは足関節背屈制限改善に繋がる治療の視点が増えましたか?

おそらくこれだけではなく、単純に下腿三頭筋の柔軟性低下などが絡んでくる足関節背屈制限も多くあるかと思います。

しかし、考えうる視点が多いほど治療の幅も広がってきます。

是非、今からのあなたの足関節背屈制限に対する治療の一助になってくれればと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。