母趾外転筋と言えば…

その名の通り、母趾を外転させる筋肉!とか

足部内在筋!?とか

まぁ出てきてもこのようなイメージが多いのではないでしょうか?

実際に私も母趾外転筋のイメージについて問われれば、このようなことくらいしか思いつかなかったと思います。

しかし色々調べてみると母趾外転筋の重要な側面が多々見られました。

そこで今回は母趾外転筋の基礎的な解剖学の復習からストレッチ方法、そして臨床で役立つ3つの特徴について解説していきたいと思います。

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母趾外転筋の解剖

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画像引用(一部改変):Anatomography

母趾外転筋(abductor hallucis)
起始 踵骨隆起内側、屈筋支帯、足底支帯、舟状骨隆起
停止 母趾基節骨底、第1中足骨頭種子骨
作用 母趾外転・底屈
神経支配 内側足底神経(L5、S1)
トリガーポイント 足底内側の筋腹
関連痛 踵骨から母趾までの内側縁

 

母趾外転筋のストレッチ

※後日、掲載いたします。

 

母趾外転筋の特徴

特徴1 内側縦アーチの形成に関与

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画像引用(一部改変):Anatomography

よくよく調べてみると母趾外転筋も内側縦アーチを形成するのに関与していることが分かりました。

今までは…後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋・母趾内転筋

この4筋が内側縦アーチを形成する主な筋肉として挙げられ、補助的に虫様筋も関与しているとの解説をしてきましたが、これに加えて母趾外転筋も少なからず関与しているということです。

足部においてはこのアーチ形成はとても重要な役割を担っています。

主な機能としては衝撃吸収・推進力の確保になります。

内側縦アーチの低下を診る機会があれば上記の筋肉以外にも母趾外転筋機能にも着目すればより幅広いアプローチが可能になると思います。

特徴2 停止部の特徴

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画像引用(一部改変):Anatomography

母趾外転筋の停止は【母趾基節骨底、第1中足骨頭種子骨】となっています。

今回着目したい停止部の特徴は…第1中足骨頭種子骨になります。

ここでポイントが2つあります。

1つ目は…ここに3つの筋肉が付着するということ。

2つ目は…内側縦アーチと関係があるということ。

まず1つの目の3つの筋肉が付着するということから説明していきます。

その3つの筋肉とは…母趾外転筋・母趾内転筋・短母趾屈筋の3筋になります。

この第1中足骨頭種子骨のあるところは母趾のMP関節にあたるところで歩行時の蹴り出しの際に重要な部位になります。

そのため同部位に痛みが生じると歩行に影響が起こりやすいと言えます。

そうならないためにもこの3つの筋肉の機能維持を確認することが大事になってきます。

それぞれの筋肉が各方向へ張力を維持することで緊張を保っていると思うので過剰な収縮などで一方向に強く引かれないよう注意を払う必要があるかもしれません。

そして2つ目に内側縦アーチ形成と関係があるということ。

これは先ほども説明しましたが3つの筋肉のうち2つ(母趾内転筋・母趾外転筋)が内側縦アーチ形成に関与しています。

また第1趾なのでアライメントを診る上でも重要な骨の一つになります。

内側縦アーチ保持とそれを維持する固有感覚受容器としての機能、これが2つ目のポイントになります。

特徴3 外反母趾との関係

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画像引用(一部改変):Anatomography

外反母趾は”母趾MP関節亜脱臼”であるとも言われています。

その原因は先天性・後天性に分けられ、多くは後天性に発展すると言われています。

そのうちの一つの原因として考えられるのが…

母趾外転筋の過剰収縮です。

母趾外転筋は第1中足骨の正中軸より内側に位置しながら種子骨へと付着します。

このベクトルに強い力が働くと第1中足骨はどんどん内側へと倒れていき、それに対応するように基節骨・末節骨は外側を向いていきます。

これによって外反母趾がつくられる可能性があるということです。

原因は一つではないですし、それによっても治療法も変わってくると思いますが、母趾外転筋の過剰収縮、これが一つの外反母趾を形成する要因になっていることを理解していただきたいと思います。

 

まとめ

特徴1 母趾外転筋も内側縦アーチの形成に関与
特徴2 第1中足骨の種子骨には3つの筋が付着する
特徴3 外反母趾にも影響を及ぼしている

 

いかがだったでしょうか。

母趾外転筋がただ母趾を外転するだけの役割ではないことが理解できましたでしょうか?

なかなか臨床では母趾外転筋に着目することは少ないかと思いますが、ここまで細かく見ることができればまた治療の幅も広がりを見せると思います。

今回も最後までご覧いただきまして本当にありがとうございました。