先輩…ダメです…
どうした?そんなヘンテコな顔して…
〇〇さんの膝のことなんですけど…
あ~〇〇さん。君が担当している膝OAの人だよね?
そうです。その〇〇さんなんですけど、全然変わんないんです…
変わんないって何が?
膝の伸展ですよ!
どう見たって膝関節の伸展に制限があるし、歩容だってダブルニーアクション出てないからおかしいじゃないですか!
もうどうしたらいいかわかんなくって…
確かに膝OAの伸展制限は結構難しいよね…
行けるところまではいきたいけど、今の膝が〇〇さんにとって最適な環境かもしれないし…
だけど〇〇さんはあの膝のせいでかなり悩んでるんでどうにかしてあげたいんですよ…
そうか…じゃ何回か治療入ってみていい?
膝OAの伸展制限…
多くの人が悩む大きな問題だと思います。
もちろん可能であれば改善してあげたい…
誰もが考えている事だと思います。
では皆さん、膝OAの人の治療をする際に何をみていますか?
もちろん正解はありませんが、ある程度自分の中で確立された評価方法があった方が治療に結び付けやすいと思います。
今回はここ数カ月の間で膝関節伸展の関節可動域が変化した症例と変化しなかった症例を例に挙げてご紹介したいと思います。
膝関節伸展を制限するものとは…
この【リハ局】を開設して間もなく書いた記事…
結構色々なもの書いてますね…
とは言え”筋肉系”がほとんどです…
この頃の自分は”筋肉系”によく目を向けていていたんでしょうかねぇ…
今回ご紹介するのは…
”関節系”の話です。
まぁそんなに特別な話ではありませんが、治療に悩むあなたの手助けになれればと思っています。
【成功例:変形性膝関節症(片側性)】
この方、外傷などはなく自然と膝関節が伸ばしにくくなり、屈曲拘縮(-20°)をおこしてきたのでリハビリ開始になりました。
最初は当然のように?筋肉系にアプローチしました。
結果は短期的に改善するのみ…
週2回の通院だったので次に来た時にはまた同じ状態の伸展-20°へ復活してきます。
しかし脛骨大腿関節を中心に治療を開始してから結果は良好。
短期的改善はもとより次回来院時も割と可動域が保たれてきている。
それ以上に本人が喜んでいたのは歩容の改善。
膝関節伸展が-20°のためダブルニーアクションが起こらず、まさに「びっこを引いている」といった状態だった。
しかし膝関節の動きが改善されると歩容も自動的に変容を見せる。
もちろん歩行指導したわけではない。
まだまだ改善途中ではあるが、ここまで大変だった症例の中では痛みを起こすことなく、安全に-10°程度までこぎつけられたことは自分の中では成功事例に入る。
(もっと成功事例を増やしたいので、腕を磨きます…泣)
【失敗例:変形性膝関節症(両側性)】
この方はどちらかというと来院時の状態は先ほどの方より良かった。
とはいえ伸展可動域-10°
FTAも180°を優に超え、O脚変形を起こしていました。
その頃(確か2年目くらい)私がやった治療は徒手的に”スクリューホームムーブメント”を出すというやり方。
しかし短期的にみてもいいとは言いづらい結果で痛みは徐々に減っていたものの膝関節の伸展制限は残ったままリハビリ終了となった。
あの頃はあらん限りの知識量でやってはみたものの今思うと…
ちょっと乱暴だったように感じる。
またこのような失敗を繰り返さないように勉強し、情報を増やし考えていくことは大事だと感じた…
脛骨大腿関節の関節面
すごく基本的なことでありながらとても重要なこと。
これをしっかりと理解せずに膝関節の治療はできないと思います。
そして今回は特に脛骨面に着目して話を進めていきます。
脛骨上関節面
まずは上からの画像を見てみましょう。
画像引用改変:Anatomography
腓骨があるので外側だとわかると思いますが、念のため方向を書いておきました。
真上からとは言えず、若干斜めからの画像で申し訳ありません。
着目してほしいのは言うまでもなく、この矢印です。
大腿骨に対応する脛骨はこのような特徴があるんです。
内側 ⇒ 縦に長い・横に狭い
外側 ⇒ 縦に短い・横に長い
これが何を意味するかというと、膝関節の屈伸運動をする際に…
内側 ⇒ 安定性はあるが、可動性に乏しい
外側 ⇒ 可動性はあるが、安定性に乏しい
「いやいや屈伸運動なら矢状面上の動きだからむしろ逆でしょ!?」
そう思いませんでしたか?
そう思ったあなたは正しいです。
しかしここにはもう一つ重要な関節の特徴が隠されているんです。
それがこれです!
画像引用改変:Anatomography
これめっちゃ重要だから覚えててくださいね!
脛骨面の凹凸
知っていましたか?
脛骨には凹凸があるんです!
そしてこの凹凸が膝関節の動きの比重を左右しているんです!
早速結論から言うと…
内側 ⇒ 凹形 ⇒ 動きが少ない
外側 ⇒ 凸形 ⇒ 動きが多い
だから基本的に動きを先導するのは外側になり、軸は内側であるということが分かる。
これが分からないまま行っていた”徒手的なスクリューホームムーブメント”は大変危険なことである!
もちろん生理的な動きなので徒手的に引き出すこと自体、批判を受けるかもしれないがここは正直にカミングアウトします…
そして私がもう一つ重要だと感じる動きが…
関節の動きを支配する?滑り運動
実際のところ私もあまり気にしていませんでした。
だって小さい動き出し、そんなに必要だとは感じていなかった。
結果的に膝関節が伸びればいいとそんな感じで考えていたが、この滑り運動をみるようになってから膝の小さな動きの重要性を感じるようになった。
結局は大きな動きができるのはこのような小さな動きがあってこそかもしれない…
そう思って参考程度に聞いてほしい。
膝関節の滑りには代表的なものが6つ(大腿骨に対する脛骨の動き)
・前方
・後方
・内旋
・外旋
・内側
・外側
最低でもこれはチェックするようにしている。
特に膝関節で重要な屈伸の動きは内旋・外旋だけではなく…
前方・後方の滑りが重要だと感じるようになった(いまさら…)
転がり運動だけでは補てんできない動きを滑り運動によって補完し、遂行している。
ちなみに大腿骨・脛骨どちらを固定するかによって動きは異なるが、基本的には硬い動きを探すようにしている。
私たちには関節に対して柔らかい所は硬くすることができないが、硬い所は柔らかくすることができる。
もちろんこの考え方に異論のある方もいると思います。
「硬くすることで機能を維持している可能性もある」
ということ。
もちろんその考え方もわかりますが、私は柔らかい所を硬くして固定し安定させることより硬い所を柔らかくしてあげて関節を解放させてあげる方が臨床成績が良いからです。
ここについてはゆっくりと時間をとる方がいいかもしれませんね。
とにかく膝関節の伸展可動域を改善させるために関節の動き・小さな動きの重要性を知り、治療することはとても重要なことだと感じていただければ嬉しく思います。
また今後も事例を通しながらちょっとした気づきを与えていきたいと思います!!!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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