つい先日、

自分の担当患者さんが

急に足を引きずるような形で

来院されました。

 

理想の自分理想の自分

どうされたんですか!?

患者さん患者さん

何かちょっと足を捻った時に

膝を傷めてしまって…

 

時折このような痛みを

訴える患者さんが来院されることがあります。

 

タイトルでも書いたように

”膝関節伸展位”が不能なんです。

 

だからもちろん

”膝関節屈曲位”で歩いてきます。

 

これだと何とか歩けるんだそう…

 

今回は、

膝を捻り、受傷して

膝関節伸展位での歩行が不能になった

患者様の治療に関して

私が行った治療をご紹介します。

 

先に注意しておいてほしいのが

今回のこの記事が全ての

”膝関節伸展位での歩行不能”ケースに

合う治療法ではないという事

 

何でもかんでも評価することなく、

治療法だけ真似するなんてことはしないでください。

 

さて、

まず簡単に患者さんの基本的なデータから

ご紹介したいと思います。

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患者基本情報

当たり前ですが、プライバシーに考慮して

最低限の情報だけ載せます。

 

【年齢】70歳代

【性別】女性

【既往歴】

脊柱管狭窄症(主病名)

筋筋膜性腰痛症

(膝関節に関する既往なし)

【合併症】なし

【運動習慣】

毎日買い物がてら3000~5000歩歩く

【家庭環境】

独居で身内は遠方に在住

そのため家事などは全て自分で行っている

【受傷経緯】

自宅内で家事をしている最中、

洗濯機が止まった音に気付き、

右足に体重をかけた状態で振り向こうとした

その瞬間、右膝に痛みが走った!という

 

患者さん自身、

どちらに振り向こうとしていたか

詳しく思い出せないという事(認知はない)

 

とにかく右足に体重をかけていたことは

確かだという事

 

右膝関節の評価

【視診】

若干右膝蓋骨内側に腫脹(+)

【触診】

右膝関節内側に熱感(+)発赤(+)

右膝関節内側裂隙前節~中節にかけて圧痛(+)

【自動運動】

屈曲は健側と同程度可能

伸展-5°制限(+)最終伸展時圧痛同部位に疼痛あり

【他動運動】

5°以下の伸展制限(+)同部位への疼痛やや増強

【可動性検査】

大腿骨に対する下腿骨の外旋制限(+)

それ以外は著名な可動性抵抗(-)

【整形外科的テスト】

陽性反応(-)

【画像診断】

異常(-)

 

さてあなたは何を考えて治療しますか?

 

半月板?

靭帯系?

膝蓋下脂肪体?

 

答えが一つとは決まってないと思います。

もちろん今回は

膝関節のみに着目しますが、

それだけでは良くならないケースだって

もちろんあります。

 

これは私が出会った

一つのケーススタディです。

 

批判的な目で見ず、

自分ならどうするだろう?

自分なら他にもこんなことをする!

とか考えながら見てほしいと思います。

 

右膝関節の治療

結論から言えば…

 

半月板

 

に治療をした結果、

来院時のNRSが

 

10/10 ⇒ 2/10 

 

程度になり、ほとんど跛行もなくなりました。

(この患者さんが今まで感じた膝の痛みを参考にNRSスケールをとっています)

 

これは自慢とかではなく、

正しい結果の報告です。

 

では私が行った治療を

解説していきます。

 

治療を行うまでの考察…

まず『膝関節伸展』

当たり前ですが、着目しました。

 

靭帯系

内側・外側側副靭帯共に

伸展位で緊張が増します

 

そのためもし

損傷があれば伸展時にかかった負荷により

疼痛が生じることは

十分に考えられるでしょう。

 

しかし今回は、

・疼痛部位が右膝関節内側裂隙前節~中節

・靭帯系への整形外科的テストが陰性

・もちろん側副靭帯自体に圧痛(-)

 

ということで、

一番先にふるいから落とされました。

 

膝蓋下脂肪体

昨今では多くの

膝関節伸展時痛の原因は

この膝蓋下脂肪体

だと言われています。

 

ちなみに以前膝蓋下脂肪体について

書いた記事のリンクが下にあります。

【変形性膝関節症シリーズ2】膝が伸びない!こんな時に考える3つの要因

 

最初に問診をしたときには、

この膝蓋下脂肪体について

治療をしようと思っていました。

 

・膝関節伸展(自動・他動・荷重時)痛(+)

・健側と比較したらやや組織の硬さを感じる

 

しかし、背臥位になって

膝の可動性検査をしたときに

その序列が変わったんです。

 

半月板

先に言っておきますが、

半月板への整形外科的テストは

軽い負荷でしかしませんでした。

 

既にDr.が実施済みで陰性と出ているし、

更に強い負荷をかけてしまうことによって

疼痛が増悪してしまう可能性を嫌ったからです。

 

もちろん今後、

選択肢としてMRIなどを撮られた際には

断裂部分など詳細が見えてくると考えたため

今回はそのような判断に至りました。

 

今回、半月板への治療を

実施しよう!と思ったきっかけは

膝関節の他動伸展でした。

 

その際、普通には伸展しません。

下腿骨の内旋・外旋をコントロールして

他動伸展を行わせました。

 

その時の結果が…

・内旋時他動伸展 ⇒ 疼痛増悪

・外旋時他動伸展 ⇒ 疼痛軽減

 

さぁあなたはここから何を読み取りますか?

 

きっと…

「スクリューホームムーブメントの乱れか…」

そんなところでしょうか?

 

それならただ

大腿骨に対する下腿骨の外旋運動を

出せばそれでいいんでしょうか?

 

もちろん生理的な運動として

膝関節にはスクリューホームムーブメントが必要です。

 

しかし先ほどのリンク内にあるように

誰しも必ずスクリューホームムーブメントがあるわけではありません

 

そしてこの方は現に

膝関節内側裂隙前節~中節にかけて痛みを感じている。

もちろん圧痛もある。

 

ここで私は膝関節内側半月板に

焦点を絞り、治療を行うことにしました

 

治療法は単純に

『膝関節内側半月板を

しっかりと膝関節内に収める』

ということ。

 

そこであなたは

膝関節内における半月板の動きを説明できますか?

 

半月板の動き

すごく単純です。

あなたも聞いたことあるかもしれません。

 

大腿骨に対して…

下腿骨内旋時 ⇒ 内側半月板:前方

         外側半月板:後方

下腿骨外旋時 ⇒ 内側半月板:後方

         外側半月板:前方

 

これめっちゃ重要です!

覚えててください!

 

スクリーンショット撮るなり、

ブックマークするなりして

必ず保存して覚えておいてください!!!

 

だからさっきの疼痛増悪・緩解で言うと…

・内旋時他動伸展 ⇒ 疼痛増悪

⇒ 内旋時前方へ出てきた半月板が挟まれて疼痛増悪

・外旋時他動伸展 ⇒ 疼痛軽減

⇒ 外旋時後方へ下がった半月板が挟まれるのを回避し、疼痛軽減

 

こう解釈できると思います。

意味が分かりますか?

 

これを利用して

膝関節の自動介助運動(屈曲 ⇒ 伸展)を

誘導する際、半月板の移動をコントロールして

半月板を膝関節内に収める治療をしました

 

そうすることで

1回の治療で大幅な疼痛軽減がみられたんです。

 

これは治療していた自分も

ビックリしました!!!

 

ここまで著効な例が今までなかったので

今回初めて記事にしたんです。

 

もちろん

これを読んでくれているあなたにも

同じ経験をしてほしいと思ったのもあります。

 

 

 

現在はそれから2回治療を行い、

完全には痛みを取りきるには至っていません

 

それは膝関節にまだ問題が残っているかもしれないし、

それ以外の問題も見つけないといけないかもしれません。

 

しかしこの治療をきっかけに

患者さんとの距離もグッと近くなり、

信頼されるようになったのも事実です。

 

是非、今後この記事を読んで

成功したあなたの臨床報告を聞かせていただければ幸いです。