ヒラメ筋ってどこか下腿三頭筋の隠れた存在的なイメージありますよね。(ミステリアスな感じ?)

でも結構調べてみれば臨床的に重要な側面が見えてきます。

ヒラメ筋と言えばやはり腓腹筋との関係性が欠かせませんが、そんなところも余すことなく紹介します!

というわけで…

今回はそんなヒラメ筋を解説していきたいと思います。

きっと解説が終わったころにはヒラメ筋が治療対象として考えられるようになると思います。

興味があるかたは読み進めていただきたいと思います。       

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ヒラメ筋の解剖

まずは簡単にヒラメ筋の解剖学の復習がてらに基礎的な情報を載せたいと思います。

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画像引用(一部改変):Anatomography

ヒラメ筋(soleus)
起始 脛骨後面ヒラメ筋線、脛骨内側縁、
腓骨頭、ヒラメ筋腱弓
停止 アキレス腱として踵骨隆起に付着
作用 足関節底屈
神経支配 脛骨神経(L4~S3)
トリガーポイント ①下腿遠位の筋腱移行部付近
②腓骨頭付近の筋腹
③筋腱移行部より近位外側付近
関連痛 ①下腿後面中央から踵部を通り、足底まで放散
②膝窩から下腿後面中央付近まで放散
③同側の仙腸関節付近

 

ヒラメ筋と腓腹筋の違い

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画像引用(一部改変):Anatomography

ヒラメ筋と腓腹筋は下腿三頭筋を形成し、のちに合流してアキレス腱となる二つの筋肉です。

しかし両筋肉は筋線維の種類が異なります

それは…

ヒラメ筋 ⇒ 赤筋(収縮速度が遅い)

腓腹筋  ⇒ 白筋(収縮速度が速い)

両筋肉の筋線維の種類が異なり、収縮速度の違うことから両筋肉の接合部に剪断力を働きます。

すると両筋肉間にギャップが生じ、ズレ(剪断力)を生む原因にもなりかねません。

また長期臥床になると腓腹筋の方がボリュームの低下が激しく、ヒラメ筋は割と安定しています。    

こういったところからも術後などは腓腹筋の筋力・筋ボリューム低下に気を使う必要があります。

 

ヒラメ筋と腓腹筋のストレッチ

続いてはヒラメ筋・腓腹筋のストレッチの違いに関してです。

少し話は逸れますが…

下腿三頭筋は足関節底屈に働きますが、その底屈時は全底屈筋の中でも80%程度の役割を担っているとされています。

そのため下腿三頭筋の筋スパズムにより筋収縮弛緩能力の低下がパフォーマンスの低下にも影響します。

そのためしっかりと筋柔軟性を保つ必要があります。

そこでストレッチの話に戻りますが、ヒラメ筋と腓腹筋は起始部の違いによりややストレッチが異なります。

基本的なストレッチは…

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ヒラメ筋ストレッチ

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腓腹筋ストレッチ

基本的にはこのストレッチでも十分効果は期待できますが、今回はここにひと工夫付け加えます。

ヒラメ筋 ⇒ 膝関節屈曲位、踵骨やや内反位

腓腹筋  ⇒ 膝関節伸展位、踵骨やや外反位

これは筋肉の起始部を考慮したストレッチ方法です。

まず ヒラメ筋は単関節筋で腓骨側から始まっているため踵骨をやや内反位に持ってくることで筋長を最大限に伸ばすことができます。

そして腓腹筋は二関節筋で外側頭より内側頭の方が筋長が長いため、踵骨をやや外反位にすることでより効果的なストレッチが行えると思います。

 

ヒラメ筋腱弓

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画像引用(一部改変):Anatomography

この名称は初めて聞く方も多いかもしれません。

しかしこのヒラメ筋腱弓はヒラメ筋の特徴の中でもとても重要な場所になります!

今日初めて知った方もしっかりと覚えておいてほしいと思います。

このヒラメ筋腱弓は起始部近くに存在する神経・血管の通り道のようなものです。

そこには脛骨神経、後脛骨動脈、膝窩動脈の分枝、後脛骨静脈が通過します。

そのためこのヒラメ筋腱弓での絞扼は…

上記の神経・血管を圧迫する可能性があるため注意が必要です。

そのため…

・脛骨神経支配の踵部付近の疼痛はないか

・内果後方を通過する後脛骨動脈の拍動が弱くなってはいないか

この2点をしっかりと確認することをお勧めします。

もちろんヒラメ筋腱弓での絞扼がないかを確認するためです。

また血管に関してはヒラメ筋腱弓に入る前の膝窩動脈についても同時に拍動を触診しておけばより効果的です。

膝窩動脈に拍動の差あり ⇒ 膝窩動脈より上での絞扼

膝窩動脈に拍動の差なし ⇒ 膝窩動脈より下での絞扼(すなわちヒラメ筋腱弓)

と評価することができるからです。

ヒラメ筋腱弓へのアプローチ

ヒラメ筋腱弓へのアプローチは極めて簡単に行っています。

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ヒラメ筋腱弓がある場所へ両母指を当てます。

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そしてそこから軽く圧迫を加えながら押し広げます。

この時に、圧迫が強すぎたり(押している母指の爪が白くなり過ぎないように…)しないように注意してください。

そしたら30秒ほど伸張位で固定します。

30秒経過したらゆっくりと元の位置に戻します。

これを数回繰り返した後に先ほどの動脈の拍動評価と疼痛の有無を確認してみてください。

 

まとめ

ヒラメ筋は赤筋、腓腹筋は白筋である
ヒラメ筋ストレッチは踵骨内反位
腓腹筋ストレッチは踵骨外反位が効果的!
下腿のトラブルはヒラメ筋腱弓の可能性あり!

 

いかがだったでしょうか。

少しはヒラメ筋って意外に重要だなぁというのが理解できましたでしょうか。

早速ヒラメ筋に対してのアプローチができそうなイメージも同時に湧いてきたのではないでしょうか。

患者さんの症状をしっかりと加味した上で治療にあたっていただければ幸いです。

今回も 最後まで読んでくださいましてありがとうございました。