肩関節の間隙と言えば言わずと知れたQLSが挙げられます。

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上腕外側の痛みは本当にQLSによるもの?もう1度再考してみる

これらの記事でQLSについては解説してきました。

今回はそんなQLSを含めて肩や腕の痛みに関係する間隙についてまとめてみたいと思います。

これを知ればまた肩関節周囲の痛みに関して理解が深まると思います。 是非興味のある方は読み進めていただきたいと思います。  

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間隙1 QLS(外側腋窩間隙)

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画像引用(一部改変):Anatomography

今までも説明してきた通り、QLSは大円筋、上腕骨(外科頚)、上腕三頭筋、肩甲骨(小円筋の場合もある)を含むもので構成されている。

ここに腋窩神経、腋窩動脈、腋窩静脈、後上腕回旋動脈、後上腕回旋静脈が通過します。

腋窩神経はQLS通過後に上外側上腕皮神経となります。

またQLSでの腋窩神経絞扼は腋窩神経支配の小円筋と三角筋にも影響を及ぼし、筋肉の栄養障害から線維化まで起こす可能性があり、続発する障害の発端になる可能性もあります。    

 

間隙2 上腕三頭筋と上腕骨間隙

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画像引用(一部改変):Anatomography

上腕外側の痛みは本当にQLSによるもの?もう1度再考してみる

ここで紹介したようによくQLSと混同されやすい間隙になります。 この間隙はQLSの直下で大円筋を境に違う間隙を形成しています。

間隙の構成は大円筋と上腕三頭筋長頭と上腕骨によって形成される逆三角形の間隙です。

ここには橈骨神経と上腕深動脈が通過し、のちに橈骨神経は下外側上腕皮神経へと変わります。  

QLSとの違い

もちろん間隙を構成する要素、内容物が異なりますが、腋窩神経と橈骨神経の違いがあることをしっかりと覚えておいてください。

QLSの腋窩神経は通過後、肩周辺に神経を皮枝を送り、上腕三頭筋と上腕骨で形成される間隙の橈骨神経は通過後、上腕外側から肘関節周辺まで皮枝を送ることを理解しておく必要があります。 これにより痛みの訴えが腋窩神経由来か橈骨神経由来か鑑別する一つの要素になるからです。    

 

間隙3 内側腋窩隙

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画像引用(一部改変):Anatomography

ここは上腕三頭筋長頭と小円筋、大円筋で形成される間隙です。

ここには肩甲下神経と肩甲回旋動脈が通過します。

肩甲下神経は大円筋と肩甲下筋を支配するためここでの絞扼は間隙を構成する大円筋に影響を及ぼし、症状を悪化させる危険性もあるため注意が必要です。    

 

間隙4 肩甲切痕

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画像引用(一部改変):Anatomography

この部位は肩甲骨の肩峰と上角の間にある切痕で肩甲横靭帯と形成されるため間隙ではなく切痕と呼ばれています。

しかし中には肩甲上神経、肩甲上動脈、肩甲上静脈が通過し、臨床的に見てもとても大切な場所になります。

ここでは肩甲上神経に対してアプローチを行うため、当該神経筋である棘上筋と棘下筋に対する筋スパズム抑制効果も期待できます。

また肩甲上神経は肩関節の関節包にも分枝するため肩関節後方の痛みとも関連してきます。    

 

いかがだったでしょうか。

最初の2つの間隙については既に解説していましたが、他にも多くの間隙があり、肩はとても複雑なことが理解できると思います。

しかし理解を深めることで知識の幅を広げ、治療にお役立てできたらと思います。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。