鎖骨下筋と言えば…何も思い浮かばないくらいマイナーな筋肉だと思います。

しかし学習を深めていくと鎖骨下筋が臨床においてとても重要な働きをいくつももっていることに気が付きました。

今回はそんな鎖骨下筋について解説していきたいと思います。

きっと読み終わったころには早く鎖骨下筋の治療をしたくなるかもしれません。

是非興味がある方は読み進めてください!

 

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鎖骨下筋の解剖

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起始:第1肋骨と軟骨境界付近の上前面

停止:鎖骨外下面

作用:鎖骨を前下方に引く

神経支配:鎖骨下筋神経(C5) ⇒ 横隔神経と吻合

トリガーポイント:鎖骨下面の停止部付近

関連痛:肩から上肢にかけての腹側、前腕橈側、第1~3指の掌背面

関連臓器:肝臓、胆嚢

血管分布:胸肩峰動脈(腋窩動脈の分枝)

 

 

鎖骨下筋の4つの特徴

特徴1 横隔神経との関係

上記にも記載したように鎖骨下筋を支配する鎖骨下筋神経に横隔神経が吻合しているとされています。

これは呼吸器疾患などでの影響を受けることを示唆しており、心臓や肺もちろん横隔膜にストレスがかかると過度に筋スパズムを起こすと線維化していくこともある。

すると脈管系や靭帯系に影響を及ぼす可能性が出てくるわけです。

もちろん鎖骨下筋の関連臓器である肝臓は横隔膜との接点に横隔神経があるためそこでの影響を受けることも十分可能性があります。

 

特徴2 烏口鎖骨靭帯、肋鎖靭帯との関係

鎖骨下筋は菱形靭帯、円錐靭帯そして肋鎖靭帯との組織同士のつながりがあるとされています。

そのため先ほどの方に鎖骨下筋が筋スパズムや線維化を起こすとその影響は靭帯系にも必ず普及します。

特に肋鎖靭帯は胸鎖関節に作用するため、胸鎖関節の強固な固定が末梢の運動にも影響を与える可能性は否定できません。

 

特徴3 鎖骨運動を阻害し、肩関節運動にも影響を及ぼす

鎖骨下筋は元々鎖骨を前下方へ引く作用があるため過度な鎖骨の動きを止めるような役割を担っていました。

しかし上肢を拳上する際には肩甲骨の上方回旋に伴い、鎖骨も上方に移動しながら後方回旋すると言われています。

ですが鎖骨下筋は見事にそれを止めてしまうので末梢で見れば肩関節の可動域制限の一因ともいえます。

 

特徴4 呼吸補助筋としての役割

今までは悪いことばかりフォーカスして書いてきましたが、いいことももちろんあります。

というか悪いことも裏を返せば、筋スパズムや筋の線維化が起きなければ正しく機能します。

その中でも呼吸、特に吸気の呼吸補助筋として機能します。

やはり鎖骨下筋は呼吸器系との関係が切り離せられないように感じます。

 

 

いかがだったでしょうか。

あまり治療対象にはならない鎖骨下筋ですが、肩関節疾患や呼吸器疾患からくる肩関節周りの症状がある方は是非一度チェックしてみるといいかもしれません。

今回の内容で鎖骨下筋に少しでも興味を持っていただけると嬉しく思います。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

画像引用:Anatomography http://lifesciencedb.jp/bp3d/