先日、消化器内科の研修医の方と話す機会があり、肝臓について驚きの事実と新たな学びがあったのでご紹介したいと思います。

まず、肝臓と聞けば何を思い出しますか?

「肝硬変?」

「いくつのかの葉に分かれてたような…」

「身体の右側にある?」

養成校に通っている学生や呼吸器系などを見てらっしゃる方ならもう少し肝臓について詳しく知っているかもしれません。

でも整形外科に勤めているPTでは逆にこれ以上詳しく肝臓を説明しろと言われても一つや二つしか出てこないと思います。

今回の情報はリハビリに使える情報からそうじゃない雑学まで含めてご紹介いたします。

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肝臓の基本情報

位置:腹部右上方

   上面 ⇒ 横隔膜

   下面 ⇒ 腎臓(右)、胃、十二指腸、横行結腸

重量:約1.5kg(人体内最重量臓器の一つ)

役割:血液濾過、胆汁産生など

 

肝臓のより詳細な基礎情報

肝臓と言えば、一塊の臓器でなくいくつかの葉に分かれています。

ちなみにそれは見方によって異なります。

前方から観察 ⇒ 右葉・左葉(一般的によく知られているやつです)

後方から観察 ⇒ 右葉・左葉・方形葉・尾状葉

あまり知られていないことではありますが、この上記の4葉の中心に肝門が存在します。

この肝門には3つの重要な血管があります。

それが、門脈・固有肝動脈・肝静脈です。

門脈についての理解

門脈…聞いた覚えはあると思います。

この門脈は肝臓内を流れる血液の約80%を担っています。(残り20%は固有肝動脈)

主に胃や腸、他にも膵臓・胆嚢から送られてきた血液がほとんど門脈に集められて肝臓へと入ってきます。

ここで肝細胞内にある毛細血管を通り、肝臓内を解毒する作用があります。

またこの門脈で代表的な疾患というのが、門脈圧亢進症

書いて字のごとく、門脈の圧力が亢進(上昇)することで様々な症状を起こす疾患です。

これは肝硬変などの原疾患があることで門脈部分が競作されることなどにより、門脈に注ぐ血管の流れが悪いため、他の血管などをわざわざ使うことにより静脈瘤が形成されたり、無理に下大静脈へ血液を送ろうとする結果、うっ血を起こしたりすることがあります。

 

肝臓と血糖値

肝臓は血液中の血糖値に応じてそれを正常範囲内に収める機能があります。

簡単に説明すると…

【高血糖】

膵臓からインスリンを分泌 ⇒ グルコースを収集 ⇒ グリコーゲンに合成 ⇒ 血糖値を下げる

【低血糖】

膵臓からグルカゴンを分泌 ⇒ グリコーゲンを分解 ⇒ グルコースに変換 ⇒ 血糖値を上げる

 

簡単に説明するとこのような感じになります。

それを司っているのが肝臓の役割になるんです。

ここまで肝臓に関する基礎的な情報をお伝えしてきましたが、私が本当に伝えたい肝臓の驚くべき機能を紹介します!

 

復活する肝臓!

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このタイトル通り、肝臓は復活する臓器であるということ。

例えば、肝臓を半分切り取っても多少時間はかかりますが、ほぼ元の状態の大きさまで再生し、復活するそうです!

あなたはご存知でしたか?

私は全く知りませんでした…(涙)

後にも話しますが、肝臓と痛みに関してだとか肝臓と他の何かとの絡みについては勉強してきたつもりでしたが、肝臓そのものの勉強が甘かったんでしょう…

再生するとは知りませんでした…

もちろん例外もある…

しかし壊死や癌などにより切除した肝臓が全て元の大きさに戻るわけではありません

肝臓が元に戻るには一定の条件があるからです。

それは正常な肝細胞があること

例えば肝硬変は肝臓全体の肝細胞が壊れてしまい、機能障害を起こします。

そのため正常な肝細胞をもたないため再生することが難しく、肝細胞ガンに発展するケースが多くあると今回お聞きしました。

でもこの肝臓の再生能力がある件に関しては本当に一番の驚きを覚えました。

 

右肩の痛みと関係する肝臓

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先ほども少し触れましたが、肝臓と右肩の痛みに関して少し解説をしたいと思います。

結構、内臓系や東洋系の勉強をされている方はこの肝臓と右肩の痛みに関しては頻繁に耳にする機会があります。

以前、【鎖骨下筋】のページでも解説しましたが、今回も概要を解説します。

要するに肝臓の上面が接している横隔膜に存在する横隔神経が先ほどの肝硬変などや肝臓の機能低下により、動きの柔軟性を失うことで鎖骨下筋神経と繋がりのある横隔神経が右肩周囲へ神経を走行させているため、右肩周囲に痛みを訴える可能性があるという話です。

もちろん肝臓自体に完全な病変がなくても十分な栄養が行きわたらない状態であるだけでうっ血状態を招き、感覚神経が刺激され、右肩関節周囲に存在する感覚神経網との繋がりから痛みを発生させる可能性もあります。

まぁ一概に右肩の痛みが肝臓と関係がある!とか横隔神経の問題だ!とは言い切れませんが、右肩の痛みに影響していることは知っておいて損はないと思います。

 

まとめ

肝臓は復活し、再生する驚異の臓器である
半分以上切除しても元に戻るが、正常細胞があることが必須
臨床で言えば、横隔神経を介して右肩関節の痛みと関係する

 

いかがだったでしょうか。

肝臓の基礎的な情報を復習する傍ら、肝臓は切られても復活する臓器なんだと驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

だから何?

と冷たいこと言われそうな気もしますが、雑学程度に覚えておけばきっと役立つ日が来るかもしれませんよ!

それでは今回も最後までご覧いただきまして本当にありがとうございました。