患者さんがよく

”腰が曲がってるから痛みのよね”とか

”骨盤歪んでますよね?”などと

聞かれたりしませんか?

 

退行変性による腰椎変形や左右非対称であることは

メカニカルストレスという観点で見れば

正常な湾曲を持った脊柱や左右対称とは異なるため

痛みの原因になりえるかもしれません。

 

しかしそれが全てではないと思います。

脊柱全体が後弯し、いわゆる猫背(Cカーブ)や

側弯症がある方もたくさんいますが、

皆さん必ず痛みを伴うわけではありません。

 

だから歪み=痛みと簡単には言えないと思います。

そのため必ずしも歪みを正中位へ戻すことが

いいこととは言えないと考えています。

 

前置きが長くなりました。

早速本題へ入っていきたいと思います。

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脚長差の事実

全人口の約50~70%の方は脚長差が存在します。

慢性腰痛を抱える方の2/3は脚長差があります。

(特に5㎜を超える脚長差の割合が大きい)

 

 

脚長差と骨盤の関係

  • 脚長差の長い脚

⇒ 腸骨が後方回旋し、腸骨稜の高さが高い。

  • 脚長差の短い脚

⇒ 腸骨が前方回旋し、腸骨稜の高さが低い。

これは大腿骨が前捻角をもつため、寛骨臼が後外側を

向いている。そのため腸骨を後方回旋させると寛骨臼が

下方を向くため下肢長が伸び、上前腸骨棘も上を向くため

腸骨稜が高くなる。(前方回旋は逆の動きになる)

 

  • 仙骨底は短い脚の方へ傾く

骨盤回旋による捻れ(腸骨前方回旋側の仙骨はうなずき運動で

後方回旋側は起き上がり運動)を起こすため仙骨底は

前方回旋側に傾きをみせる。

 

 

脚長差と痛みの関係

私が臨床で思うのは先ほど説明した

仙骨底の傾きとの関連性が深いように感じています。

脚長差があるということは筋膜レベルにおいて

凸側は伸張され、凹側は短縮する傾向にあります。

先ほどの仙骨底の傾きから考えると

仙骨底の傾きのある方が短い脚になり、

L5/S1間でみれば凸側の側屈となります。

 

そこで考えられるのが

腸腰靭帯と仙腸靭帯の伸張ストレスです。

腸腰靭帯とはL4、5の肋骨突起から腸骨稜に付着する

靭帯であり、凸側が伸張されます。

(ちなみにL4線維は屈曲、L5線維は伸展でも伸張される)

仙腸靭帯とは前仙腸靭帯、仙結節靭帯、仙棘靭帯などを

含めての名称になり、伸張方向は部位により異なる。

 

これらの靭帯は同部位への圧痛もさることながら

鼠径部や大腿内側への関連痛を出すことでも知られています。

 

逆に長い脚から見れば短い脚に比べて

床からの反力が大きく、関節へのストレスが増大し、

足部に関しては回内や外反変形することで

痛みを誘発する原因にもなっています。

 

 

 

ここまで脚長差と骨盤、そして痛みとの関係をみてきました。

しかし結局行き着くところは「脚長差は矯正すべきか」という

ところなのかもしれません。

ですが今の私の考えではその答えを持ち合わせていません。

しかしなぜ体に歪みが生じたのか、何かの原因でそうなったのかを

考えなければいけないと考えています。

先天性なのか後天性なのか…体を歪ませることでバランスを

とっているのかなど考えると無理に矯正するのも考えてしまいます。

 

終わりのない議論になるためこれ以上は控えますが、

私個人の考えでは仙骨の過度な傾きは

腰部周囲の痛みの原因になりえるためそこの調整は必要かと

思います。

アプローチ方法はマニュピレーションなり、足底板などと

多々あるでしょうが、身体の平衡バランス機能を急激に

刺激し、崩すことがないよう徐々に変化させていき、

痛みにアプローチできればいいのではないかと思います。

 

是非皆さんも一度体の歪みに対して考えてみてはいかがでしょう。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。