足関節捻挫と言えば内反捻挫に伴う
前距腓靭帯や踵腓靭帯の損傷を思い浮かべる方が多いかと思います。
その対処法は重症度によって異なりますが、
ギプスシーネでの固定やテーピング固定、
サポーター装着もしくは軽傷例だと超音波治療なども含まれると思います。
それに加えてリハビリが行われることが多いように感じます。
そんな足関節捻挫のリハビリはどのようにされていますか?
腓骨筋群の筋力増強?もしくはバランス訓練?
今回は足関節捻挫による考え方を今までとは少し違った目線で
解説していきたいと思います。
長・短腓骨筋
長・短腓骨筋は足関節捻挫では必ずと言っていいほど治療対象になります。
そんな長・短腓骨筋は足関節捻挫では大切な…
外側側副靭帯との線維の交流をもち、
足部外側の動的安定性に寄与しています。
また長・短腓骨筋腱は起始から停止に向かう過程で、
外果後方を通り、果部先端で方向を変え、それぞれの停止部へと向かいます。
そんな中、腓骨筋腱脱臼はよく足関節捻挫と間違えられることもあるそうです。
足関節捻挫と腓骨筋腱脱臼の違い
足関節捻挫と腓骨筋腱脱臼との大きな違いはその損傷方法によります。
足関節捻挫 ⇒ 底屈位
腓骨筋腱脱臼 ⇒ 背屈位
での損傷が多くなります。
足関節捻挫は底屈位で伸張される組織の損傷であるのに対し、
腓骨筋腱脱臼は背屈位で腱の伸張性が高まり、脱臼するため全く逆の損傷過程になります。
そのためしっかりと問診をとり、視診・触診へ移るべきだと思います。
支帯の損傷
足関節外側を走る長・短腓骨筋は…
2つの上・下腓骨筋支帯によって支えられています。
上腓骨筋支帯は外果から踵骨へついており、
下腓骨筋支帯は踵骨に付着します。
ここで大事なのが下腓骨筋支帯です。
下腓骨筋支帯と伸筋支帯との繋がり
下腓骨筋支帯と伸筋支帯は線維を交流させています。
これにより足関節底屈・内反で損傷した捻挫は…
下腓骨筋支帯を介して伸筋支帯へもその影響が波及します。
また支帯は固有感覚受容器としても機能を発揮するため、
組織が修復されていれば固有感覚受容器を促通するような
バランス訓練も意味をなしてくると思います。
浅腓骨神経による足背の痺れ感
足関節捻挫ではしばしば損傷部の痛みと相まって
足背部の異常感覚や痺れ感など感じる場合があります。
その場合考えられるのがこの浅腓骨神経になります。
浅腓骨神経は総腓骨神経から分かれて
長・短腓骨筋の筋腱移行部付近で触れることができます。
その後、また分岐をして足背部へ枝を送りますが、
足関節捻挫に際してはこの浅腓骨神経の過度な伸張により
足背部への悪影響が考えられています。
そのため足関節捻挫により足背部への関与が認められる場合は
浅腓骨神経に十分留意してください。
浅腓骨神経の治療法
治療法としてはテクニックが必要となるかもしれませんが、
直接、浅腓骨神経の滑走性を促すような治療や
足関節捻挫によって生じた長・短腓骨筋の筋スパズムを解消することで
間接的に神経滑走を円滑にする方法が考えられます。
いかがだったでしょうか。
普段考えうる足関節捻挫の前距腓靭帯や踵腓靭帯以外でも
治療する点や考えられることはまだまだたくさんあります。
皆さんも固定観念にとらわれず、治療を進化させていきましょう。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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