理学療法士にとっては今更、

腸腰筋の重要性について語る必要はないと

思うくらい臨床では大事な筋肉の一つである

という認識はお持ちだと思います。

 

腸腰筋は体幹と下肢を結ぶ筋肉であり、

姿勢保持や腰痛、内臓との関係性など

その機能は多種多様です

 

そんな腸腰筋ですが、養成校時代に習ったのは…

股関節の屈曲・外旋筋であり、

腰椎の弯曲維持などに関わりを持つ。

という程度でしょうか。

 

今回はもう一歩踏み込んで

”大腰筋”の機能について解説していきます。

 

『大腰筋って重要なのは知ってるけど…』

『そういえばあまり詳しいことは知らない』

『もっと大腰筋について知りたい!』

 

そんな思いを持っている方は、

是非読んでみてください!

 

きっとあなたの臨床に繋がる情報が得られると

思います。

 

またすぐに紹介しますが、

”腸腰筋”に関するとても分かりやすい動画

YouTubeより紹介させていただきます。

 

これを見れば、より腸腰筋の理解が深まること

間違いなしです!

 

では続きをご覧ください。

SPONSORD LINK

腸腰筋に関する動画

詳細な説明はここでは控えますが、

今後、記事内に出てくる内容も

一部含まれています。

 

是非参考にされてください。

 

大腰筋の解剖

大腰筋の起始停止とトリガーポイント

大腰筋の起始は浅頭と深頭の2つに分かれます。

 

動画で言うと…

0:30~大腰筋・腸骨筋の起始(Origin)の部分

 

大腰筋の浅頭・深頭についての解説は

ありませんが、可視化されていて

とても分かりやすいと思います。

 

起始と腰神経叢の関係

結論から言いますと…

大腰筋浅頭と深頭間を腰神経叢が走っています。

 

動画で言うと…

1:10~ざっくりとしていますが、

実は腰神経叢が大腰筋の浅頭と深頭の間から

出てきています。

 

これを知っていると単純に考えただけでも、

大腰筋の筋スパズムがあれば…

腰神経叢に影響を及ぼすことは

大体推測することができます。

 

またそうなれば…

絞扼性の末梢神経障害

にも繋がることが考えられ、

痛み・痺れ・感覚障害・筋力低下など

想像するからに色んなことにも

影響を及ぼしそうです。

 

ちなみに…

脊柱管狭窄症も末梢神経障害の一つとして

分類されるため、腰部脊柱管狭窄症のような

症状を呈している患者さんの

主要な病態の原因がもしかしたら…

大腰筋由来の症状であれば私たちでも十分に治療可能なのではないかと思っています。

 

大腰筋起始部のもう一つのポイント

先ほどの大腰筋起始部の話では

浅頭・深頭2頭の起始に関して説明しましたが、

大腰筋起始部は他にも…

横隔膜と関連性があります。

 

大腰筋浅頭はTh12から起始しますが、

そこで横隔膜との接点があります。

一部では…

大腰筋と小腰筋の起始が

横隔膜の内側弓状靭帯にかかる

とも報告されており、

両腰筋が呼吸との関連性もあることを

示唆しています。

 

そのため腸腰筋は呼吸補助筋に分類されており、

下支えする意味合いで

胸腰椎移行部での安定性をもたらし、

横隔膜脚に影響を与えることが考えられます。

 

筋機能と骨盤との関係性とは…

今までは大腰筋起始部に着目してきましたが

今度は腸腰筋全体の

筋機能と骨盤帯との関係性をみていきます。

 

腸腰筋全体としての作用は

最初にも述べましたが、

股関節の屈曲と外旋作用があります。

 

そして大切なのは股関節が外旋すると…

骨盤(寛骨)も外旋運動を伴います。

 

そのため全体的に見て仙骨は相対的に…

起き上がり運動(カウンターニューテーション)

を誘発します。

 

仙骨の起き上がらせる筋肉=腸腰筋

通常、脊柱の弯曲がしっかりととれていれば

仙骨底は前下方を向いています。

 

運動としては、

うなずき運動(ニューテーション)です。

 

しかし同一方向への負荷だけでは

常に同じ方向のみに剪断力が働くため

機能的とは言い難いです。

 

そのため先ほどの

仙骨の起き上がり運動が必要となってきます。

 

そしてその仙骨の起き上がり運動を誘発する

唯一の筋肉が腸腰筋のため

筋機能としても重要視されている点でも

あります。

 

 

いかがだったでしょうか。

普段、腸腰筋の重要性については

十分承知かとは思いますが、

今回の大腰筋の解剖学的な特徴や

腸腰筋全体の筋機能からみたポイントをあげると

また見方が変わってくるのではないでしょうか。

 

これを読んでくださった

あなたの臨床が少しでも変わってくれれば

嬉しく思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

P.S.

腰椎・骨盤帯の治療に悩んでいるあなた!

是非こちらもご覧ください。

腰椎・骨盤帯治療のヒント!