前回、【番外編】PTが手指まで?正中神経の理解と題して
正中神経の解剖学的ルートと円回内筋症候群について書きました。
また前々回は【番外編】PTが手指まで?手根管症候群の見方として
手根管症候群に焦点を当てて進めていきました。
今回は正中神経絞扼部位の一つである
浅指屈筋腱弓で起こる前骨間神経麻痺になります。
これらも症状の特徴を抑えていきながら
臨床で役立つ知識を提供していきたいと思っています。
浅指屈筋腱弓の特徴
前回もお話しした通り、前骨間神経麻痺は浅指屈筋腱弓での絞扼で起こります。
(浅指屈筋の解剖をお忘れの方はこちら)
浅指屈筋は円回内筋より遠位で尺骨頭と橈骨頭からなるため
浅指屈筋腱弓ではややアーチを組んだような形になっています。
その下を前骨間神経が通過します。
前骨間神経の特徴
前骨間神経麻痺の特徴と言えば運動麻痺です。
あとから運動麻痺の特徴は説明しますが感覚障害はありません。
前骨間神経は正中神経からの分枝で運動神経のみのため運動麻痺しか起こさないのです。
これは必ず押さえておいてください。
前骨間神経麻痺の特徴
前骨間神経麻痺の動作による特徴はつまみ動作になります。
つまりは『涙のしずくサイン』『perfect 0 sign不可』でしょう。
言葉で説明すれば…
前骨間神経が支配している長母指屈筋と示指深指屈筋の麻痺により母指と示指による正円形が作れません。
指ごとの動きをみれば…
・母指はIP関節屈曲不可で過伸展位
・示指はDIP関節屈曲不可で過伸展位(代償により示指PIP関節過屈曲)
また前骨間神経は長母指屈筋と深指屈筋のほかに方形回内筋の支配もしているため筋力低下を起こします。
しかし前腕の回内運動は円回内筋など他の筋によって代償されるためおもだった症状としては出現しないため注意が必要です。
前骨間神経麻痺の痛み
疼痛に関しては前腕近位部から起こる鈍痛で圧痛も認められます。
症例によっては灼熱感や倦怠感も伴いながら、上肢全体に痛みを伴うこともあるようです。
前骨間神経麻痺も神経の絞扼によるもののためTinel signは陽性で橈側3指の痺れ感
(※感覚障害はないため注意して下さい!)を起こすケースもあります。
いかがだったでしょうか。
一言に正中神経障害と言っても様々なものがあります。
それぞれ特徴を抑えることでより的を得た治療を選択することができます。
あなたの治療の一助になれば幸いです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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