股関節のつまり感は臨床でもよく経験する患者さんの訴えの一つであり、色々なアプローチがあります。

例えば後方の軟部組織を緩めて可動範囲を広げたり、長軸方向への牽引から関節包に柔軟性を出したり、

他にも脊柱や仙腸関節から股関節のつまり感にアプローチする方もいらっしゃるかもしれません。

そんな中で今回は股関節の解剖学的形状から股関節のつまり感を考えていきたいと思います。

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股関節の解剖学的形状

股関節は球関節に分類され、よく肩関節と比較されると思います。

しかし2つの関節には違いがあります。

その一つが関節窩の形状です。

それぞれ、肩関節は洋ナシ形と例えられ、股関節は三日月形と例えられています。

詳しく説明すると股関節の三日月形は下側に空間がある横向きの関節窩になります。

そのため三日月形の両端を結ぶように寛骨臼横靭帯が存在します。

これにより骨頭を下支えして股関節の関節窩、寛骨臼を完成させて大腿骨と連結しています。

 

寛骨臼横靭帯について

さきほども述べましたが寛骨臼横靭帯は寛骨臼の下側を形成しており、関節窩として機能しています。

そんな寛骨臼横靭帯にはいくつかの特徴があります。

その1つが大腿骨頭靭帯との繋がりです。

大腿骨頭靭帯はご存知の通り、大腿骨頭と寛骨臼を結ぶ靭帯で靭帯内に血管を持つ、非常に稀な靭帯です。

そんな大腿骨頭靭帯は寛骨臼に3つの付着を持ち、そのうちの一つが寛骨臼横靭帯になります。

 

本題!股関節のつまり感

これはあくまでも私見です。

前述した股関節後方の軟部組織や関節包へのアプローチで結果が出ない場合に制限となる要素を探していたため一つの意見として読んで頂きたいと思います。

1つ目は先ほど紹介した大腿骨頭靭帯になります。

大腿骨頭靭帯は内転と過度な回旋動作により伸張されます。

股関節のつまり感をみていても純粋な股関節屈曲よりも内転方向へ負荷をかけた方がつまり感を感じることがあります。

それは単純に股関節前面の軟部組織が挟まり、つまり感として出ている可能性もありますし、このような大腿骨頭靭帯が伸張されることによる症状かもしれません。

先ほども言いましたが大腿骨頭靭帯は血管を包み込んでいる靭帯です。

そのため血流の低下はそのまま靭帯組織にも影響を与えることは必至で、ひどければ骨頭までも影響を及ぼすことになるでしょう。

 

テクニックとしては様々な方法があるかと思いますが、側臥位での股関節内転位からやや尾方への牽引をかけると上方の関節包にも牽引ストレスがかかるため、効果を得ることができます。

 

2つめは外閉鎖筋になります。

外閉鎖筋は寛骨臼横靭帯と連結しており、内旋位で伸張されます。

また後下方の関節包との関連もあり、股関節のつまり感を生じさせる一つの要因になると考えています。

外閉鎖筋に対しては背臥位での開排肢位から直接閉鎖孔前面を圧迫し、内旋方向への運動を行いながら伸張させると効果を感じます。

くれぐれも伸張刺激なので伸張反射が出ないような速さ、圧迫の程度、持続時間(15秒程度)に留意していただきたいと思います。

 

いかがだったでしょうか。

今回は股関節の解剖学的形状からということで寛骨臼横靭帯を中心に話を進めていきましたがご理解いただけたでしょうか。

いつもは書かないような治療の仕方についても簡単に書かせていただいたので是非参考にしていただきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。