腰椎椎間板ヘルニアの治療は理学療法士であれば

必ずどこかで出会うであろう

メジャーな疾患の一つです。  

 

もともと腰痛は“国民病”とも呼ばれ、

腰痛持ちの方は推定で3000万人弱いる

と言われていますが、

その一方で腰痛の8割は原因がわからない

とされています。  

 

巷では

腰痛専門の治療院や腰痛に対する手技などが

腰痛のみに焦点を当てて、

治療をする方達が多い事に気付きます。

 

確かに私も整形外科に勤めているので

腰痛で悩む患者さんは

他の疾患に比べて多いことは感じていました。

 

またそれと同時に診断名と症状との相違

についても悩んできました。  

 

今回は“腰椎椎間板ヘルニア”に焦点をあてて、

もう一度原点に立ち返り、

考えてもらいたく記事にしました。

 

普段から腰椎椎間板ヘルニアについて

疑問をお持ちの方は是非、

読んでいただきたいと思います。

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腰椎椎間板ヘルニアとは

そもそもヘルニアとは

ヘルニア(hernia)とは、体内の臓器などが、本来あるべき部位から「脱出・突出」した状態を指す。                    Wikipedia参照

  椎間板ヘルニアとは

ヘルニアの一種であり、椎間板の一部が正常の椎間腔を超えて突出した状態である。                            Wikipedia参照

  と記されています。  

その症状は簡単にまとめると…

  • 腰痛
  • 下肢への疼痛
  • 痺れ
  • 感覚障害
  • 運動麻痺
  • 排尿障害

などヘルニアが生じる高さ・部位にもよりますが

おおよそどの教本で調べても

このような症状が出てくると思います。  

 

確かに椎間板から脱出した髄核が

脊髄を圧迫すると上記のような症状が

考えられます。  

 

しかし同じ高さのヘルニアでも

症状が教本通りでなかったり、

個人差があったりしませんか?  

 

例えばL4/5間の圧迫では

L5の症状がでると言われています。

 

L5の症状と言えば…

  • 知覚障害…下腿外側から母趾背側にかけて
  • 筋力低下…前脛骨筋、長母趾伸筋
  • 深部腱反射低下・消失…アキレス腱反射

  ここで疑問を持たないといけないですよね。  

 

L4/5間の椎間板ヘルニアがあって

上記のL5の神経根症状が

完全に出現している方っていますか?

 

私は7年ほど整形外科に勤めていますが

ピッタリとあっていた方は…

 

1人しかいませんでした!!

 

この方は腰椎椎間板ヘルニアの手術をして

結果としてとても良くなりました。

 

原因となるものを取り除いたのですから

当たり前と言えば当たり前なのかもしれません。  

 

でも私たちが臨床でよくみるのは

神経根症状が一致しない方ばかりです!  

 

参考までにこの動画は、

腰椎椎間板ヘルニアについてとても見やすく、

まとめられたものです!

とても勉強になるので、一度見てみてください!

 

と、話を戻しまして…

今回はもう一度、脊髄の特徴的な構造を見直し、

”腰椎椎間板ヘルニア”についての2つの可能性!

について再考していきたいと思います。

 

1、ベルマジャンディの法則

これは学生時代の運動学で習う内容ですが、

その時は重要性がないため覚えていない方も

多いのではないかと思います。

 

ベルマジャンディの法則とは…

イギリス人医師のベルと

フランス人生理学者のマジャンディによって

それぞれ提唱された後に一つの似た法則のとして

ベルマジャンディの法則とまとめられました。

 

その内容は簡単に説明すると、

脊髄神経の前根は運動性、後根は感覚性である

ということ。

 

これが何を意味しているのかというと、

臨床に来られる患者さん思い浮かべた時に

基本的には痛み、痺れや感覚低下などを

主症状に来院されるのではないかと思います。

 

確かに髄核が椎間板を突き破って

脊髄を押し付けた時に炎症が起こり、

それが腰部から下肢へ放散されている!

のかもしれません。

 

しかしここで、

ベルマジャンディの法則に話を戻します。

 

脊髄を水平面から観察すると

脊髄の腹側に椎体(椎間板や髄核を含む)が

存在します。

 

もちろん腰椎椎間板ヘルニアの時には

腹側から髄核が脱出してくるため

脊髄の前側が圧迫されます。

 

となるとベルマジャンディの法則で考えると

前根の運動神経が先に圧迫されます。

 

でもなかなかいないですよね。

痛み、痺れそして感覚障害よりも

運動障害が先に出ている方って。

 

もちろん“絶対”ということはありませんが、

多くは神経根レベルに合った

運動障害、筋力低下がみられず、

痛み・痺れや感覚障害を主症状としている

場合が多いと感覚的には感じています。    

 

2、脊髄膨大部

頚膨大と腰膨大

これも学生時代に習う脊髄の特徴的な構造です。

 

脊髄には2つの膨大部があり、

圧迫を受けやすいと習った記憶があります。

 

しかしこれも勘違いしてる方が多い!

と思うので書かせていただきます。

 

そもそも脊髄はL1およびL2の高さまでで終わり、

その後は馬尾神経として

神経線維を各々の椎間孔から出しています。

 

頚膨大に関してはおおよそ椎体の高さと

脊髄から出る神経線維の高さが

マッチするためC5~6の膨大部には

頸椎椎間板ヘルニアが多いとされています。

 

しかし腰膨大に関しては、

Th12で直径が最大に大きい構造になっています。

 

そのため腰膨大と腰椎椎間板ヘルニアの関係性は

頸髄ほど大きくありません。

 

下位腰椎で脱出した髄核が押しているのは

馬尾神経の集まりになるからです。

 

つまりは腰膨大は胸椎部にあり、

下位腰椎と腰膨大との関係性は薄いということです。 

 

 

いかがだったでしょうか。

少しはヘルニアに対する見方が変わったのでは

ないでしょうか。

 

つまり腰椎椎間板ヘルニアは

自分たちセラピストの考え方によっては

手術を回避し、良い方向へ向かわせることができる

可能性を秘めているわけです。

 

ヘルニアだから痛み、痺れはしょうがないと思わず、

少しでも可能性がある限り一緒に考えて

患者さんの力になれるように頑張りましょう。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

 

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