ヒラメ筋と言えば…
腓腹筋と合流してアキレス腱になる!
あとは腓腹筋と同じで足関節の底屈をする!
と、ヒラメ筋に関してはこのようなイメージを持ってらっしゃる方が多いのではないでしょうか。
しかしもっとヒラメ筋のことを知っていくと治療の幅も考え方も広がってきます。
そんなためになる情報も加えて、ヒラメ筋の基礎的な解剖からストレッチ方法、そして臨床で役立つ4つの特徴を挙げながら解説していきたいと思います。
見出し
ヒラメ筋の解剖
画像引用(一部改変):Anatomography
ヒラメ筋(soleus) | |
---|---|
起始 | 脛骨後面ヒラメ筋線、脛骨内側縁、 腓骨頭、ヒラメ筋腱弓 |
停止 | アキレス腱として踵骨隆起に付着 |
作用 | 足関節底屈 |
神経支配 | 脛骨神経(L4~S3) |
トリガーポイント | ①下腿遠位の筋腱移行部付近 ②腓骨頭付近の筋腹 ③筋腱移行部より近位外側付近 |
関連痛 | ①下腿後面中央から踵部を通り、足底まで放散 ②膝窩から下腿後面中央付近まで放散 ③同側の仙腸関節付近 |
ヒラメ筋のストレッチ
ヒラメ筋はアキレス腱ストレッチとは少し要領が違います。
ヒラメ筋は単関節筋のため、体重を前にかけるのではなく、膝を曲げて下にかけることでストレッチされます。
またこの時、踵が浮かないことに注意してください!
この姿勢でふくらはぎに伸張感を感じたら30秒ほど静止してください。
30秒ほど経ったらゆっくりとストレッチを解き、元の位置に戻ります。
ストレッチの時間に関しては下記のリンク先に詳しく書いているのでご参照ください。
ストレッチの効果を最大化するポイントは強さや時間じゃなく○○だった!
ヒラメ筋の特徴
特徴1 足関節背屈制限
画像引用(一部改変):Anatomography
セラピストの方なら誰でも知っているような知識ではありますが一応解説させていただきます。
ヒラメ筋と腓腹筋を合わせた下腿三頭筋は足関節底屈筋の中でも全底屈筋中の80%以上の力を持っています。
そんな足関節底屈筋の下腿三頭筋ですが、作用する底屈側の反対にあたる背屈側で伸張されるため可動域制限として働きます。
しかし、そんな足関節背屈制限になる下腿三頭筋ですが、ヒラメ筋と腓腹筋では大きな違いがあります。それは…
膝関節をまたぐか、またがないか!です。
画像引用(一部改変):Anatomography
要するに…
ヒラメ筋 ⇒ 単関節筋(膝関節をまたがない)
腓腹筋 ⇒ 二関節筋(膝関節をまたぐ)
となっているからです。
そのためただ単に足関節背屈制限を見るのではなく、膝関節伸展位と屈曲位の背屈制限の差を確認するといいです。
膝関節伸展位 < 屈曲位 ⇒ 腓腹筋が原因
膝関節伸展位 = 屈曲位 ⇒ ヒラメ筋が原因
この図のように伸展位では可動域が小さく、屈曲位では可動域が大きい場合は腓腹筋が原因。
また伸展位と屈曲位とでは可動域に差がない場合、ヒラメ筋が原因になっている可能性が大きくなります。
ただこれは両筋肉に焦点を絞って記載しているので他要素での可動域制限も十分に考えられます。
ご存知の方も多いと思いますが、復習までに…しかし次からが本番です!!
特徴2 赤筋!持久力タイプ!
筋肉には白筋と赤筋、そして最近ではその中間にあたるピンク筋と呼ばれるものに分類されます。
その中でもヒラメ筋は赤筋に分類されます。
これは下腿筋の中で唯一の特徴です!
画像引用(一部改変):Anatomography
ヒラメ筋のみ赤筋で、残りの筋肉は白筋に近い構造になっています。
そのためヒラメ筋は持久力を必要とする姿勢保持筋の一つとして機能しています。
またヒラメ筋は赤筋であるため、術後や長期臥床によっても他の筋肉より筋力・筋ボリューム低下の進行が遅いため、他の白筋を優先にリハビリを行うことも大切です。
特徴3 血管の入り口!ヒラメ筋腱弓!
画像引用(一部改変):Anatomography
ヒラメ筋には後脛骨動脈や膝窩動脈の分枝、後脛骨静脈が通過するヒラメ筋腱弓という場所が存在します。
ここで血管を締め付けてしまうことで下腿後面に痛みが生じることがあります。
これを血管原性の痛みと言います。
血管原性の痛みは血管を締め付けられることにより、酸素供給がうまくいかなくなり、末梢に疲労物質が溜まることによって生じます。
これは筋肉の痛みや関節由来の関連痛とは異なり、一定した領域などは決まっていないため注意が必要です。
しかしこれを調べる方法が一つあります!
それは内果後方で触れることができる後脛骨動脈の拍動を触診してみることです。
もし拍動が弱い側に痛みがあればヒラメ筋腱弓で絞扼されている可能性があります。
是非、よく分からないふくらはぎの痛みがある場合は動脈の拍動を触診してみてください。
特徴4 神経の入り口!ヒラメ筋腱弓!!
画像引用(一部改変):Anatomography
先ほど説明したヒラメ筋腱弓には神経も通過しています。
それが脛骨神経です。(神経が通っている図じゃなくてごめんなさい…)
これらもヒラメ筋腱弓で絞扼されることで支配領域の場所に疼痛が生じます。
画像引用(一部改変):Anatomography
かかと部分に痛みが生じていたら患部だけに着目するのではなく、中枢側にあるヒラメ筋腱弓を疑ってみてもいいかもしれません。
是非参考にしてみてください。
まとめ
特徴1 もちろん足関節背屈制限の一つ!
特徴2 下腿唯一の赤筋!
特徴3 膝窩動脈が通過するヒラメ筋腱弓!
特徴4 脛骨神経が通過するヒラメ筋腱弓!
いかがだったでしょうか。
少しはヒラメ筋についての新たな情報が得られましたでしょうか。
こうやって少しずつ知識を増やしていくことは自分のためにも患者さんのためにもなります。
毎日少しずつでいいと思うので一緒に成長していきましょう!
今回も最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。
※お詫び※
特徴4、神経の入り口!ヒラメ筋腱弓!において間違った情報を解説していました。申し訳ございません。
解剖学に関して著名な先生にご指摘いただきまして記事を訂正いたしました。
ヒラメ筋腱弓を通過する神経は…
× 脛骨神経と腓腹皮神経
〇 脛骨神経のみ
今後このようなことがないようにしっかりと調べたうえで皆様に情報を発信していこうと思っています。
本当に申し訳ございませんでした。
そして今後ともよろしくお願いいたします。
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