短母趾屈筋と言えば…

母趾を屈曲させる筋肉でしょ!?とか

足部の内在筋でしょ!?とか

ここ最近、同じような問答が続いているような気がします…

気になる方は過去記事をご参照ください。(4/14【母趾内転筋】、4/12【母趾外転筋】

さて今回の短母趾屈筋ですが、過去2記事(上記)との関係性がとても深い筋肉でもあります。

そこを”短母趾屈筋の特徴”として後述していきたいと思います。

そのため今回は短母趾屈筋の基礎的な解剖学の復習からストレッチ方法、そして臨床で役立つ2つの特徴を解説していきたいと思います。

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短母趾屈筋の解剖

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画像引用(一部改変):Anatomography

短母趾屈筋(flexor hallucis brevis)
起始 立方骨、内側・中間楔状骨、足底踵骨立方靭帯、長足底靭帯
停止 内側腹:第1中足骨頭内側種子骨
外側腹:第1中足骨頭外側種子骨、母趾基節骨底
作用 母趾屈曲(MP関節)、足底アーチの保持
神経支配 内側腹:内側足底神経(L5、S1)
外側腹:外側足底神経(S1、2)
トリガーポイント 第1中足骨頭の近位筋腹
関連痛 第1中足骨頭周辺の足底から内側にかけて母趾、第2趾付近

 

短母趾屈筋のストレッチ

※後日、掲載いたします。

 

短母趾屈筋の特徴

特徴1 隣接筋との関係

ダウンロード (32)

画像引用(一部改変):Anatomography

短母趾屈筋の特徴と言えば…この隣接する筋肉との関係は外せません。

その隣接する筋肉とは…母趾内転筋母趾外転筋になります。

この母趾内転筋・母趾外転筋とは停止部、第1中足骨頭種子骨で繋がりがあります。

もっと細かく説明すると…

・母趾内転筋 ⇒ 外側種子骨

・母趾外転筋 ⇒ 内側種子骨

このように繋がりを見せています。

それぞれの筋肉は各過去記事でも詳しく述べていますが…

・母趾内転筋 ⇒ 足部横アーチ

・母趾外転筋 ⇒ 内側縦アーチ

これらに関与しているため、筋線維の交わりを持つ短母趾屈筋はこれらを補助するような働きを持っていると考えられます。

足部アーチは何度も述べてきたように衝撃緩衝推進力の確保に役立ちます。

また第1中足骨頭(MP関節)辺りは歩行時の重心の軌跡からいっても蹴り出しの際に重要な場所であることもわかります。

補助的な役割を担うような形でありながら足部の重要な動き・機能を支えていることを理解していてほしいと思います。

特徴2 長母趾屈筋との関係

ダウンロード (31)

画像引用(一部改変):Anatomography

母趾を屈曲させる筋肉と言えば…

長母趾屈筋短母趾屈筋が挙げられます。

もっと厳密に言えば…

・長母趾屈筋 ⇒ 母趾IP・MP関節屈曲

・短母趾屈筋 ⇒ 母趾MP関節屈曲

また長母趾屈筋は下腿部を起始にもつ外在筋であるため、足関節にも多大な影響を及ぼします。

その反面、短母趾屈筋は足根骨を起始にもつ内在筋であるため、単関節への影響しかありません。

そういうと短母趾屈筋が軽視されてしまいそうですが、特徴1でお話ししたように足部の機能面において重要な筋肉の一つになります。

ここで短母趾屈筋と長母趾屈筋との関係性になりますが、もちろん母趾を屈曲させる共同筋としての働きが一般的ですが、筋肉が走行する際に少し特徴があります。

それは…短母趾屈筋の2頭間表層を長母趾屈筋が走行する。

という特徴です。

これが何を意味するのかというと、長母趾屈筋は先に述べたように外在筋であり、とても筋長の長い筋肉です。

そんな長母趾屈筋が筋スパズムや線維化を起こしてしまうと短母趾屈筋を圧迫してしまう可能性があります。

そうなると短母趾屈筋の機能、また短母趾屈筋と関連のある筋肉に付随する機能が低下する可能性まで出てきます。

是非この短母趾屈筋の2頭間表層を長母趾屈筋が走行するという解剖学的な特徴を覚えておいてほしいと思います。

 

まとめ

特徴1 母趾内転筋・母趾外転筋との繋がりあり
特徴2 長母趾屈筋は短母趾屈筋を貫通する

 

いかがだったでしょうか。

色々と調べてみましたが、短母趾屈筋はあまり多くの特徴は見つけられませんでした。

しかし多くの特徴がないから重要ではないということでもありません

今回のように隣接する筋肉との関係解剖学的特徴は臨床でも十分に活かせる重要な知識です。

是非参考にしていただければと思います。

今回も最後まで読んでいただきまして本当にありがとうございました。