長腓骨筋と言えば…
腓骨側を走ってる長い筋肉…とか
アーチ形成にもかかわってる…とか
でもよく短腓骨筋などと一緒に扱われたりするケースが多いですよね?
長腓骨筋が…というよりは、腓骨筋が…という使い方の方が多いかと思います。
今回はそんな長腓骨筋を基礎的な解剖学からストレッチ方法、そして臨床でも役立つ5つの特徴を解説していきたいと思います。
見出し
長腓骨筋の解剖
画像引用(一部改変):Anatomography
長腓骨筋(fibularis longus) | |
---|---|
起始 | 腓骨頭、腓骨上部外側面2/3、 脛骨外側顆、脛腓関節包 |
停止 | 内側楔状骨、第1中足骨底部 |
作用 | 足関節底屈・外反 足部固定で下腿を後方に傾ける |
神経支配 | 浅腓骨神経(L5、S1) |
トリガーポイント | 腓骨頭から2~4㎝遠位 |
関連痛 | 下腿外側に放散 |
長腓骨筋のストレッチ
長腓骨筋を伸張させる一番のポイントは…内反です。
本当であれば背屈・内反が一番筋肉を伸張できるのですが、完全背屈位にすると内反運動が制限され、うまく伸張できません。
そのため足関節は中間位~やや背屈位で最大内反がとれる位置まで持ってきてストレッチを行います。
これが長腓骨筋を一番伸長できる方法だと思います。
そして下腿外側に伸張感を感じる肢位で30秒ほど静止し、ストレッチします。
30秒ほど経ったらゆっくりと元に位置に戻します。
ストレッチの時間に関しては下記のリンク先に詳細は書いているのでご参照ください。
ストレッチの効果を最大化するポイントは強さや時間じゃなく○○だった!
長腓骨筋の特徴
特徴1 足関節捻挫との関係大!
画像引用(一部改変):Anatomography
長腓骨筋だけでなくとも腓骨筋と言えば…
足関節内反捻挫受傷と大きく関係しています。
足関節は構造上…背屈位より底屈位が不安定になり、さらに前額面から見ると内果より外果の方が低い位置にあるため外反より内反の方が不安定です。
特に足関節内反捻挫は底屈・内反位という足関節が構造上一番不安定な位置での受傷になります。
そんな底屈・内反をストップする役割があるのが今回の長腓骨筋(腓骨筋群含め)になります。
特に長腓骨筋は筋長(レバーアーム)が長いため一番の内反捻挫ストップ筋と言えます!
画像引用(一部改変):Anatomography
しかしこの腓骨筋群でストップが効かなかった場合に外側側副靭帯(前距腓靭帯など)が損傷します。
そのため足関節内反捻挫では受傷早期のRICE処置やテーピングなどでの固定も大事ですが、再受傷しないためにもこの腓骨筋群の役割は大事になってきます。
特徴2 長腓骨筋と神経との関わり
先ほどの足関節内反捻挫の続きになりますが、しっかりと長腓骨筋(腓骨筋群)を働かせるためには支配を受ける神経がしっかりと筋肉との連結を保てていなければいけません。
もちろん、関節や筋肉に備わっているレセプターが働くことも大事です。
ここで長腓骨筋には大事な神経との関わりが2つあります。
① 長腓骨筋起始部付近を総腓骨神経が通ること
② 長腓骨筋・短腓骨筋間に浅腓骨神経が通ること
この2つが長腓骨筋と神経との重要なポイントになります。
まず1つ目の…長腓骨筋起始部付近を総腓骨神経が通るということ。
画像引用(一部改変):Anatomography
長腓骨筋にはいくつかの起始が存在しますが、その中でも…
腓骨頭と腓骨上部外側面との間にスペースがあり、そこを総腓骨神経が通過しているからです。
総腓骨神経はのちに浅腓骨神経と深腓骨神経に分かれるおおもとの腓骨神経であり、とても重要な神経です。
そして2つ目の…長腓骨筋・短腓骨筋間に浅腓骨神経が通るということ。
画像引用(一部改変):Anatomography
これはその名の通り、両筋肉間に両筋肉を支配する浅腓骨神経が通っています。
ちょうど両筋肉間にスペースが存在し、そこを通過しています。
そのため下腿コンパートメント症候群や腓骨筋の筋スパズムでは神経が圧迫を受けやすく、神経伝達にも障害をきたす可能性があるため注意が必要になってきます!
特徴3 クロスサポートメカニズムを形成
クロスサポートメカニズムというのは…
長腓骨筋と後脛骨筋で形成される足関節(特に後足部)を安定させるためのメカニズムのことです。
画像引用(一部改変):Anatomography
これは両筋肉が足底でクロスするように停止部につくことから名付けられたもので、足関節特有の機能です。
これにより底屈位でも足関節をしっかりと固定させることで運動に安定性をもたらし、動作を遂行できます。
特徴4 横アーチ形成に関与
足底アーチに関しては…
・地面からの衝撃吸収機能
・地面を蹴り出す際の推進力機能
・足底の筋肉や神経を保護する機能
これらが代表的な足底アーチの機能として知られています。
その中でも今回の横アーチは主にこの長腓骨筋が担っているとされています。
画像引用(一部改変):Anatomography
もちろん横アーチも消失してくれば…
上記の機能が効かなくなってきますが気を付けないといけないこともあります。
長腓骨筋と言えば足底横アーチを作っているんだ!と覚えておいてほしいと思います。
しかしこれ以外にも母趾内転筋筋力低下や外反母趾などで足底横アーチが低下してしまうこともあるのでそこまで覚えておいてほしいと思います。
特徴5 腓骨筋腱脱臼!
画像引用(一部改変):Anatomography
腓骨筋の怪我と言えば、足関節捻挫に加えて腓骨筋腱脱臼があります。
この腓骨筋腱脱臼は痛みの場所が足関節捻挫部位とよく似ていることから間違えられることがあるようです。
しかしこの両者には大きな違いがあります。
それは受傷方法です。
足関節捻挫 ⇒ 底屈・内反位
腓骨筋腱脱臼 ⇒ 背屈位
全く逆の方向で受傷します。
適切な治療をするためにもセラピストは診断名に惑わされないようにしっかりと受傷機転を聞いてから視診や触診を行っていくといいと思います。
まとめ
特徴1 足関節捻挫のストップ筋!
特徴2 総・浅腓骨神経との関係性深い
特徴3 後脛骨筋とともに後足部を安定させる
特徴4 足の機能を引き出すための横アーチ形成
特徴5 腓骨筋腱脱臼は足関節捻挫と間違えないように
いかがだったでしょうか。
長腓骨筋についてさらに理解が深まりましたか?
最初にも述べましたがどうしても腓骨筋はひとまとめにして考えられがちです。
こうやって一つ一つの筋肉を丁寧に覚え直し、知識を深めていくのも大事なのかもしれませんね。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
「仙腸関節に関する色んな情報を知りたい…」
「まずは仙腸関節の基礎が知りたい…」
こんな悩みを抱えていませんか?
この無料レポートさえ読めば、
あなたの仙腸関節に対する知識をグレードアップさせ、
仙腸関節を治療することへの不安を解消させることができます!
POINT① 仙腸関節の基本!その形と向き
POINT② 仙腸関節を動かすために重要な2つの軸
POINT③ 仙腸関節の要!2つの軸が作り出す角度
POINT④ 仙腸関節にも?凹凸の法則からみる特徴
POINT⑤ 仙腸関節は動かせる!効果的なランドマーク
以上の内容をまとめてあります。
ご登録後すぐにあなたのもとへお届けします!