長内転筋と言えば…

いくつか内転筋ってあるけどそのうちの一つ?とか

あとはスカルパ三角を作ってる筋肉の一つかな?とか

そんな感じの存在感じゃないかと思います。

確かに長内転筋は他の短内転筋や大内転筋と一緒に覚えられることが多いと思います。

今回はそんな長内転筋の基礎的な解剖学の復習から3つのストレッチ方法臨床で使える3つの特徴を紹介したいと思います。

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長内転筋の解剖

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画像引用(一部改変):Anatomography 

長内転筋(adductor longus)
起始 恥骨結合前面と恥骨結節
停止 大腿骨粗線内側唇遠位2/3
作用 股関節内転、屈曲
神経支配 閉鎖神経(L2~4)
トリガーポイント 筋腹中央より近位に存在
関連痛 下肢前面を鼠径部から大腿内側を通り、
膝蓋骨上を経て脛骨稜に沿い、足関節前面まで
関連臓器 膀胱、子宮、子宮付属器、前立腺、睾丸

 

長内転筋(内転筋群)のストレッチ

ここでは長内転筋と書いてありますが、厳密には他の内転筋である短内転筋、大内転筋と区別してストレッチすることは非常に難しいです。

そのため今回は長内転筋を含めた内転筋群のストレッチ方法だとご理解していただきたいと思います。

内転筋ストレッチ1

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床に座った状態から胡坐(あぐら)をかくようにして足裏同士を合わせます。

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そこから浮いている膝を床へ落とす要領で近づけていきます。

内転筋が伸張感を感じる場所で30秒ほど静止します。

ゆっくりとストレッチを解き、元の位置へと戻ります。

内転筋ストレッチ2

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床に座り、膝を伸ばした状態で足を開脚します。

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そのまま体を前に倒します。

その時、背中が真っ直ぐを保ったままで丸くならないように気をつけましょう!

内転筋が伸張感を感じる場所で30秒ほど静止します。

ゆっくりとストレッチを解き、元の位置へ戻ります。

内転筋ストレッチ3

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四つ這いの姿勢をとったら膝をゆっくりと外へ開きます。

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その位置からお尻を後ろへおろしていきます。

内転筋が伸張感を感じる場所で30秒ほど静止します。

ゆっくりとストレッチを解き、元の位置へ戻ります。

 

ストレッチの時間に関しては下記のリンク先に詳しく書いているのでご参照ください。

ストレッチの効果を最大化するポイントは強さや時間じゃなく〇〇だった!

 

長内転筋の3つの特徴

特徴1  スカルパ三角の一部を形成する

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画像引用(一部改変):Anatomography

スカルパ三角は股関節の前面を…

長内転筋・縫工筋・鼠径靭帯で形成されており、この三角形の中に…

大腿動脈・大腿静脈・大腿神経が通る道のことを指します。

このスカルパ三角に関しては…

スカルパ三角の解剖!実は股関節痛にも関係があった!

ここで詳細は書いてあり、縫工筋の解説を行った時にも書きましたが、このスカルパ三角は股関節痛と深い結びつきがあります。

是非スカルパ三角はただ丸覚えするのではなく、どんな痛みを引き起こす可能性があり、どのような意味を持って存在しているのかを考えながら覚えた方がしっかりと記憶に定着すると思います。

もちろんスカルパ三角が存在する意味は必ず一つではありません。

自分なりに答えが見つけることができる人であればそれでもいいと思います。

でもまずは少し知識を増やすという意味でも当リンク先の…

スカルパ三角の解剖!実は股関節痛にも関係があった!

ご一読いただきたいと思います。

特徴2 屈曲60度を境に作用が変わる!

上記の作用の欄には股関節内転、屈曲の作用しか記載していませんが、実は長内転筋は…

股関節伸展の作用もあるんです!

順を追って説明すると…

股関節屈曲の作用は要するに中間位、解剖学的肢位にあるときに行われます。

そして股関節伸展に関しては上記にもあるように股関節屈曲60°を境に伸展方向へ作用が変化します。

要するに…

0~60°  股関節屈曲

60°以上  股関節伸展

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画像引用(一部改変):Anatomography

このようになります。

これは長内転筋の起始と停止が逆転することで起きる現象です。

そのため屈曲60°付近では起始と停止の関係が一直線になるためここでは純粋な内転作用だけが残ります。

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画像引用(一部改変):Anatomography

筋力トレーニングやストレッチする際にも一つ参考になる数値であると思います。

特徴3 停止部は後方だが内旋作用あり

長内転筋の停止部は大腿骨粗線内側唇遠位2/3と記されています。

この大腿骨粗線内側唇というのは大腿骨の後面に当たります。

ちなみに膝関節の伸筋として知られてる大腿四頭筋の内側広筋と外側広筋もこの大腿骨後面付近に起始を持ちます。

話は長内転筋に戻りますが、普通は大腿骨後面に停止部があって筋肉が収縮(起始部の方向は正中方向)すると外旋しそうですが…

長内転筋は内旋するんです。

もちろん作用するほど強い力はありませんが、これには理由があります。

それは…

大腿骨の弯曲です。

大腿骨は矢状面から観察すると…前方へと弯曲しているのがわかります。

長内転筋はこの大腿骨の前方への弯曲があるため収縮すると内旋方向へ回転するベクトルが生じるとされています。

もちろん大腿骨が真っ直ぐな骨なら問題なく外旋に作用するのですが、この弯曲があるため弱い力ですが股関節の内旋にも補助的な作用があるとされています。

 

まとめ

特徴1 スカルパ三角の一部であり股関節周囲の痛みにも関連あり
特徴2 0~60°は屈曲、60°以上は伸展に作用!
特徴3 大腿骨の弯曲が内旋作用を起こさせる

 

いかがだったでしょうか。

今まで内転筋はひとまとめにしていた考え方が少し変わりましたか?

筋肉も細分化してみていくと色々な発見があります。

長内転筋の特徴を押さえて、少しでも興味を持っていただきたいと思います。

またここで書いてあることが全てではないと思いますが、是非参考にしていただければと思います。

今回も最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。