「今日の治療は気持ちよかったです!」
「足の痛みが軽くなったみたい!」
「この治療をしてもらったら良くなりそうです!」
患者さんからこんな言葉もらったら嬉しいですよね。
しかしその言葉に恥じない治療できていますか?
恥ずかしながら私はこの言葉を貰いたいがために患者さんにとって【気持ちいい治療】を続けていた過去があります。(今では黒歴史に近いです…)
もうこんなことはわざわざ言わなくてもわかっていると思いますが…
【気持ちいい治療】=【痛みが緩和する治療】
とはなりません。
もちろんマッサージを全否定するわけではないので”×”ではなく”≠”の方が適切かと思います。
さて今回はこのあるある話についてちょっと考えていきたいと思います。
見出し
患者さんの誤解
『痛いけど我慢すればよくなるだろう!』
『イタ気持ちいいけど、何か効きそうだ!』
『こんだけ強くしてもらえれば痛みも消えるかもしれない!』
先ほどもサラッと言いましたが、マッサージのように筋実質に直接働きかけて痛みを軽減させる方法はあるようです。
だからと言ってそれだけに固執していては改善しない問題が多々あることも事実です。
しかし【痛い治療が効く】ということと同時に患者さんはリハビリのことをこう思ってはいませんか?
【リハビリ = マッサージ】
患者さんによってはリハビリは”訓練”という認識の方もいますが、それは自分で自分の体を動かしながら治していく能動的なリハビリではなく、受動的で痛みに耐えるようなリハビリのことを想像している方が多いと思います。
突然ですが、あなたはこんな言葉を知っていますか?
【良薬は口に苦し】
意味は何となく分かりますよね?
体に良いと思われる薬はとても苦く、飲みにくいものである。
それは、自分の体に効くことは受け入れがたいものがあるということです。
これをリハビリに置き換えてみると…
『体に良いと思われる治療は、とても痛く、耐え難いものである』
何となくわかる気がしませんか?
しかし理学療法士であるあなたは痛みを強く誘発する治療・それを我慢する治療は良くないということは頭の中では理解しているはずなんです。
理学療法士の怠慢
はっきり言って自分の過去を戒める意味でも書いていますが、こんな治療をしているときはあまり頭を働かせてはいません。
だって…
『強くするだけで、患者さんが喜ぶから』
ただ強くするだけではダメ!そこに意味があってやるならまだしも意味もなく、ただただ患者さんを気持ちよくしてお褒めの言葉をいただきたいがために強く押圧する治療は全く意味がありません。
そして大体即時的に効果が出るだけで長続きはしません。
もちろんそこに硬結があって運よく取り除けたとしても同じような体の使い方をしていたら再発することは目に見えています。
症状や触って硬いと感じた場所(結果)の部分にだけフォーカスし過ぎて症状を引き起こしていたり硬結を引き起こしている場所(原因)の部分にフォーカスできていないんです。
言葉で言うことは簡単で本当の原因を見つけるのはとても難しいことです。
しかし本当の原因を見つけて治療することをせずに今そこにある結果的な症状だけに治療を行うことは理学療法士の怠慢であるといえるかもしれません。(まだこんな偉そうなこと言えるほど私もすごくはないですが…)
理学療法の醍醐味
逆に言うと、原因である部分を特定して治療をし、治癒を促進していくのが理学療法の醍醐味ではないでしょうか?
もちろん問診・評価が重要であることは言うまでもありません。
しかし先ほどの”イタ気持ちいいだけのマッサージ”は治療にしか重きを置いていないことがわかると思います。
是非、一緒に理学療法の醍醐味を追求しませんか?
マッサージから脱却する方法!
徒手療法という仕事の特性上、治療をしなければお金を頂きにくいです。
だから横になった患者さんにいち早くマッサージ治療をしてしまうことはよくあることです。(良いとは言いませんが…)
しかし先ほども伝えたように問診・評価が痛みの原因を追究するために必要なんです。
そこでマッサージ治療から脱却する方法をお伝えします。(至極、当たり前のことしか言えませんが…)
1、解剖・生理・運動学を理解する
もう当たり前すぎて聞きたくない!と言われるかもしれませんが、一応載せておきます。
理学療法士はこれがないと始まりません。
しかし経験年数が経つにつれてどんどん筋肉の起始停止を忘れたり、自分が理解できていない運動学などは記憶から消えてなくなります。
だから経験年数の浅いあなたはこの3つを大事にしてください。
『いつ役に立つのだろう?』
そう疑問に思っても、それを生かすも殺すも自分次第です。
是非、それを生かせる情報を得て、自分の知識にしてほしいです。
2、治療法より評価法を学ぶ
これが本当に重要であり、且つ難しいところ…
私たち理学療法士はセミナーへ出て学びたいことは基本的に”新しいテクニック”です。
こんな症状にはこのテクニック、あんな症状にはこのテクニックと…一つのルーティンを持っている人も多いです。
しかしそこには重要な評価が抜けているんです。
例えば、下肢長の違いがあってもそれが一概に伸びている方が悪い、短い方が悪いとこれだけでは決められません。
どちらがより治療の優位性が高いのかは色々な評価を組み合わせることが重要です。
なかなかこのような評価に重きを置いたセミナーには出会うことは少ないですが、理論的に考えれば治療法は自ずと導き出せるときもあるので、是非【評価】を大切にすることを覚えておいてください。
(※ここで言う評価とは…可動域や筋力を計る量的評価ではなく、どの動きが制限されているかを感じ取る質的評価のようなもののことです)
さていかがだったでしょうか。
患者さんはイタ気持ちマッサージ治療が大好きです。
これは私たち理学療法士が必ずと言っていいほど経験するあるある話だと思います。
しかしそれに心酔してしまうと全く頭では考えない治療が完成してしまう可能性があります。
患者さんは『気持ち良くなりたくて来ているのではなく、痛みを取ってもらいたくて来ている』
もちろん全ての患者さんがそうだとは言いませんが、本末転倒にならないことを願っています。
それでは今回も最後までご覧いただきまして本当にありがとうございました。
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