肩甲上腕リズムについては上肢を担当しない理学療法士でも

知っているほど有名な情報だと思います。

 

職場によっては理学療法士が上肢まで担当したり、

作業療法士が多いところはあまり上肢の治療をする機会が多くないかもしれません。

 

このサイトでは理学療法士のみならず

作業療法士の先生方も閲覧してくださっていることから

上肢に関しても多くの記事を発信していきたいと思います。

 

そんな中で今回は肩甲上腕リズムについて解説していきたいと思います。

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肩甲上腕リズムのおさらい

一般に上肢を外転拳上していく際に上腕骨と肩甲骨の動きが

2:1の割合で動いていくことを指すといわれています。

 

もちろん常に2:1の関係性ではなくて

上腕骨が0~30°までは肩甲骨の動きは0°(逆にマイナス方向へ動くとの報告もあります)

そして上腕骨が30~90°までの動きの時に上腕骨と肩甲骨が2:1の動きになり、

90°以降になると1:1の関係で動き、総和で見ると2:1になるなどと解説されています。

 

しかし肩甲上腕リズムについて調べてみると多くの諸説があり、

おそらくこの議論は尽きることがないのかもしれません。

 

しかし多くの説から確実に読み取れるのは

常に2:1の動きではないということ。

当たり前ですが機械的な動きではないということ。

 

最終的には平均して2:1の関係性になると捉えるべきだと思います。

 

 

代償運動と相対運動

肩甲上腕リズムに関するキーワードといえば

”肩関節周囲炎”や”代償運動”が多く挙がってくると思います。

 

例えば肩関節周囲炎によって肩甲上腕関節に拘縮などの制限が起きた場合に

肩関節の屈曲をする際、肩甲骨を過剰に後傾させて肩関節屈曲を遂行しようとします。

これが代償運動になります。

周知の事実でしょうが代償運動の際は肩甲上腕リズムの動きから完全に逸脱しています。

 

しかし通常の肩関節の屈曲はというと

上腕骨と肩甲骨の関係は上腕骨屈曲に対して、

肩甲骨は前傾運動でなければいけません。

これを相対運動といいます。

肩甲上腕リズムはこの相対運動時の動きになります。

 

 

ここで考えなければいけないのが

なぜ肩関節周囲炎で拘縮を起こした肩や痛みのある肩は

相対運動より代償運動を優先するのかです。

 

私が考えるからにおそらくその方が

痛みが少なく、安定しているからだと考えます。

 

人間の脳は優秀で

自らの痛みを増悪させるようなことはしません。

肩関節周囲炎の診断を受けた方で痛みのある側(患側)の腕を

痛そうにぶら下げて歩いているのを見たことがありませんか?

 

あれは体幹を前屈と側屈させることで

上腕骨と肩甲骨の関係性を屈曲・外転位にして

無意識のうちに肩関節の緩みの位置に保持しています。

そうすることで痛みを最小限に抑えているのだと思います。

 

それでは先ほどの代償運動の話に戻りますが、

代償運動が優先されるのは痛みが少なく、安定しているからだと説明しました。

言い換えればこれ以上痛みが増悪し、不安定性が増したら、より代償運動は強くなるということです。

 

ということは私たちができることは

無理矢理に痛みを伴いながら関節可動域訓練をするということではない

ことが理解できると思います。

 

まずは病態の把握。

なぜそのような痛みが出てきたのか。

炎症期ならケミカルな問題(炎症処置など)の解決から始め、

それが解消されてからメカニカルな問題(機能障害)

について目を向けることが大切になります。

 

 

いかがだったでしょうか。

肩甲上腕リズムから代償運動までみてきましたが、

患者さんの動き、特徴を観察することで考えうる視点が増えてきます。

今回の内容も是非参考にしてほしいと思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。