膝関節外側の痛みは内側に比べたら頻度はそれほど多くありません。
しかしいざ臨床で出会った時のために解剖学の知識だけは蓄えておくと便利だと思います。
痛みを引き起こす原因にもいくつか種類があると思いますが、今回はその中でも組織による摩擦に焦点を置いて解剖学から滑液包について解説していきたいと思います。
それでは興味のある方は読み進めてほしいと思います。
そもそも滑液包って?
滑液包を簡単に説明すれば組織と組織の間にあるクッション役。
構造は内側が滑膜、外側が線維膜と2層構造となっており、滑液の生成と吸収を行っている。
荷重時よりも非荷重位!?
滑液包は組織同士の摩擦を防ぐクッション役ですがそのもとは滑液量によってコントロールされています。
滑液包内の滑液が多すぎれば余計な摩擦を生み出し、少なければクッション役になりません。
その上、膝関節などの大きな関節を覆っている関節包などの滑液は主に非荷重位での活躍がメインになります。
荷重位においては滑液以外にも半月板などのクッション役は存在します。
しかし非荷重位において重力における大腿骨から脛骨が離解する力を滑液量でコントロールしていると言われています。
そのため炎症により膝関節内に滑液が多量にある場合には脛骨大腿関節の適合性は損なわれ、内圧上昇による痛みを訴える場合もあるため注意が必要です。
このような場合にはアイシングやドクターによる穿刺も十分に考えておかなくてはいけません。
膝関節外側にある滑液包
膝関節外側にも多くの滑液包が存在しますが今回紹介する滑液包は3つです。
1、腸脛靭帯下滑液包
腸脛靭帯の停止は脛骨の外側顆(Gerdy結節とも呼ばれる)に付着しますが、その腸脛靭帯下に滑液包が存在します。
位置的には膝蓋骨と腓骨頭を結ぶ中間あたりに存在し、腸脛靭帯と膝関節との間にあります。
腸脛靭帯は大腿筋膜張筋の延長上にあり、下肢の外側支持組織として機能します。
そのため腸脛靭帯炎などオーバーユースによる病態も確認されるほどです。
2、外側側副靭帯下滑液包
外側側副靭帯は大腿骨外側上顆から腓骨頭まで走行していますが、その深部には膝窩筋腱が存在すると言われています。
そのため外側側副靭帯は膝窩筋腱との間に滑液包を設けて摩擦を防いでいます。(黄色○)
外側側副靭帯は内側側副靭帯より強靭で内反制動に大きく関わり、膝窩筋腱との滑走においても膝関節伸展時は緊張が高まるため滑液包が存在しているのだと思われます。
3、大腿二頭筋下滑液胞
では大腿二頭筋が外側側副靭帯の外側から腓骨頭へと付着する解説はいたしました。
そのため大腿二頭筋下で外側側副靭帯との摩擦を避けるために滑液胞が存在します。(緑○)
二つの滑液胞は外側側副靭帯を介してほぼ横並びになっており、前から観察すればほぼ膝の真横、腓骨頭の上に存在します。
もちろん大腿二頭筋の膝関節屈曲と下腿外旋時に摩擦は高まりますが、膝関節内反の動きにも働くことがわかると思います。
いかがだったでしょうか。
膝関節外側の痛みを引き起こす可能性のある滑液包を3つ紹介いたしました。
もちろんそれぞれ組織の間に存在し、クッション役として役割を遂行していますが、大切なのは炎症が起こった時に早めに対処することです。
滑液包は組織の炎症があれば滑液の生成と吸収のバランスが崩れます。
それにより生じる過度な摩擦などを防ぐ意味でも早めの対処をお勧めします。
最後まで読んでいただきまして本当にありがとうございました。
画像引用:Anatomography http://lifesciencedb.jp/bp3d/
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