前回の
大変多くの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。
今回は前回の解説を踏まえて上位頚椎に特化した内容をお送りします。
解剖学からあなたの治療へのヒントになるものがあれば幸いです。
ヒント1:椎間板の有無
前回も紹介しましたが上位頚椎(C0-2)
後頭骨-環椎、環椎-軸椎間には椎間板が存在しません。
椎間板と言えば髄核の突出などで椎間板ヘルニアを代表する疾患を及ぼしたり、機能としては衝撃緩衝機能を兼ねるため脊柱においてはとても大切なものになります。
しかしなぜ上位頚椎には椎間板が存在しないのか。
それは大きな自由度を必要とするからだと思います。
頚部は頭部の複雑で広い範囲の動きを許容しなければいけません。
そのため椎間板が存在するとそれ自体が運動の制限となり可動域を狭めてしまいます。
それゆえに上位頚椎は椎間板を持たず、自由な動きを可能にしているわけです。
ヒント2:回旋と言えば環軸椎…
環軸関節の大きな特徴と言えば環椎-歯突起関節。
その役割と言えば環軸関節の回旋になりますよね。
これは皆さん説明しなくてもご存知かと思います。
しかし環軸関節での回旋をより高めている構造が存在します。
それが椎間関節!
普通関節を構成するところは凹凸の関係が存在しますが、環軸関節は違います。
環軸関節の関節面は凸凸の関係になっています!
これをDouble-threaded screw mechanismと言います。
この環軸椎の椎間関節での凸凸の関係では後頭下筋群も重要な役割を担っています。
後頭下筋群の役割
凸凸の関係であるため環椎は中間位(真正面を向いた状態)が最も高い位置にあり、
回旋を行うと環椎が徐々に落ちていきます。
そして最終域まで到達するとそれ以上落ち込まないように
後頭下筋群や靭帯によって支えられます。
多くの自由神経終末を含んでいる後頭下筋群や上位頚椎周囲の靭帯は
治療に細心の注意が必要になってきます。
例えば交通事故後の頚椎捻挫などでは急激にかかる
頚椎への負荷によって靭帯を損傷している可能性が大きいです。
このような時は運動制限があっても頚椎自体へのアプローチは避けるべきであり、
それよりもシートベルトによって胸部を圧迫され、
呼吸器系にも影響が及んでいることを最優先すべきかと感じています。
(もちろんケースバイケースですが…)
いかがだったでしょうか。
前回の首を反ると痛い!頚部伸展制限をみるポイントに補足する形として
今回、上位頚椎の構造に着目してみました。
まずは多くの情報を仕入れ、治療を行う上で
多くの選択肢を持つことが幅を広げてくれます。
この情報が少しでもあなたの治療に役立てればと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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