最近は自分の中で小殿筋に対して
アプローチする機会が多くなっていると感じています。
またセミナーや研修会に行っても
股関節疾患や下肢痛に関連したものとしてよく名前を聞くようになってきました。
今回はこの小殿筋に焦点を当てて解剖学と運動学の視点で解説していきたいと思います。
小殿筋の解剖
解剖学に関しては真新しい知見はありませんが、文献においては…
前部線維 ⇒ 内旋作用
後部線維 ⇒ 外旋作用
と記載されている文献もあるようです。
①小殿筋のトリガーポイント
まず一つ目に着目すべきはトリガーポイントです。
簡単に言えば下肢全体に疼痛を放散するトリガーポイントがあります。
よく患者さんの中にも
”脚全体が痛くて…”とか”ヘルニアかも…”などとおっしゃる方もいらっしゃいます。
そんな方に腰椎椎間板ヘルニアの評価を行っても
正確に疼痛が再現されない場合があります。
そんな時は小殿筋のトリガーポイントを思い出しましょう。
小殿筋の上前腸骨稜の高さで中殿筋より下方にあるトリガーポイントは…
殿部、大腿外側から膝、下腿外側へと足関節まで痛みを放散させます!
これはしっかりと押さえておくべきです。
そして足関節までというのもポイントになります。
決して足部には関連痛が及ばないのでここではしっかりと問診をとることでより小殿筋のトリガーポイントによる症状であることを確認してください。
②深層での関係性
小殿筋と繋がりのある筋肉、いくつあると思いますか?
正解は5つです。
大内転筋、大腿方形筋、梨状筋、内閉鎖筋、双子筋
との繋がりがあるといわれています。
(ここでは双子筋は一つの筋肉として扱っています)
また関係性の深いものとして腸骨大腿靭帯も挙げられます。
小殿筋と腸骨大腿靭帯
まず腸骨大腿靭帯の特徴として…
人体最大の靭帯であるということ。
厚さだけでもおよそ10㎜ほどあり、股関節の上方から前方をくまなく覆っています。
そんな腸骨大腿靭帯ですが小殿筋によって補強されているとも言われています。
(他にも大腿直筋も関与しています)
そのため…
小殿筋へのアプローチには腸骨大腿靭帯も、
そして腸骨大腿靭帯のアプローチには小殿筋も同時に治療を行うのが望ましい
とされています。
アプローチ方法としては…
大腿骨頭の下方への牽引と大腿骨頭を前方へ誘導することで
腸骨大腿靭帯の柔軟性を促します。
骨盤底筋群の是非
少し話は脱線しますが
最近インナーマッスルの一つとしてよく取り上げられるようになっている骨盤底筋群。
”お尻をしめるように…”とか”頭方に引っ張られるようなイメージで…”とか
色々骨盤底筋群に働きかけるような指導法がありますが…
小殿筋と繋がりのある…
梨状筋や内閉鎖筋、双子筋には泌尿器系に関係する神経系や脈管系が存在します。
そのためただ単純に骨盤底筋群を促進するのではなく、
梨状筋や内閉鎖筋、双子筋の存在も忘れてはいけないと思っています。
小殿筋へのアプローチ
小殿筋へのアプローチを考える際は…
中殿筋の存在は忘れられないと思います。
小殿筋の全体を覆っているため表層からアプローチする際はまず
中殿筋の緊張が少しでも抜けている状態が好ましいと思います。
その上で中殿筋との違いとして…
腸骨大腿靭帯との絡みがあるため股関節伸展と外旋において
大腿骨頭を下方への牽引方法に入念に行うことで
小殿筋および腸骨大腿靭帯の効果を最大化させることができるのではないかと思います。
またトリガーポイントに対するアプローチに関しては
以下の方法を参考にしていただきたいと思います。
いかがだったでしょうか。
最後は少し脱線しましたが学んだことをすぐに試すのではなく、
自分で考え、実践することで知識を自分のものにしてほしいと思うからです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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