前回、前々回までに
について解説してきました。
そして今回は前回の烏口鎖骨靭帯と関連する
鎖骨下筋について解説していきたいと思います。
これを知れば烏口突起からみた
肩関節機能が少し理解できると思いますので
是非ご興味ある方は読み進めていただきたいと思います。
烏口鎖骨靭帯と鎖骨下筋の関連
結論から言えば…
烏口鎖骨靭帯と鎖骨下筋は連結しています。
鎖骨下筋は第一肋骨と軟骨の境界付近の上前面を起始として
そこから鎖骨外下面へと付着していきますが
この流れで烏口鎖骨靭帯と線維を交えるとされています。
烏口鎖骨靭帯はその形状上、
鎖骨下動脈・静脈と腕神経叢を圧迫する可能性があります(胸郭出口症候群の一種)。
そのため鎖骨下筋の筋スパズムや過緊張が烏口鎖骨靭帯に及んだり、
逆に烏口鎖骨靭帯にかかる過負荷が耐えられなくなると
連動している鎖骨下筋が働き出す可能性があります。
鎖骨下筋のトリガーポイント
胸郭出口症候群(TOS)は
上肢への疼痛や痺れなどにより神経障害や血行障害を招きますが、
症状自体は明確なものでなく、
曖昧な表現であらわされることが多いと感じています。
(前腕は尺側から小指にかけて疼痛・痺れは出やすいとありますが…)
その中で鎖骨下筋のトリガーポイントによる放散痛をみてみると…
肩から上肢にかけての腹側と前腕橈側、第1~3指掌背側面となっています。
肘から遠位に関しては違いがあるとはいえ、
症状が曖昧な訴え方によっては混合する可能性も十分考えられるため
考慮する必要がありそうです。
鎖骨下筋と神経の関係
鎖骨下筋のトリガーポイントにおける関連臓器は…
肝臓と胆嚢と示されています。
これは鎖骨下筋を支配している
鎖骨下神経とそれに隣接する横隔神経が吻合しています。
その横隔神経に支配されている
横隔膜は特に肝臓と密接な関係を持つため、
鎖骨下筋の筋スパズムなどによるトリガーポイントは
関連臓器に及ぼす影響を示唆しているのではないかと考えています。
いかがだったでしょうか。
前回、前々回を含めた3回で烏口突起周辺からみた肩関節機能について解説してきました。
もちろんまだまだ多くのことが考えられるのではないかとは思っています。
何か発見があればその都度また更新させていただきます。
皆さんの臨床に役立つ情報になるよう、また治療に生かしてもらえるよう努力していきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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