肩関節疾患といえば

肩甲上腕関節や肩甲胸郭関節、肩鎖関節などが中心となり話が進み、

もちろんその関節周囲の問題が痛みに関連してくるケースが多いと思います。

もちろん否定することではないので、

これを前提に今回は“烏口突起”を中心とした

肩の筋機能と靭帯機能を見ていきたいと思います。

 

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烏口突起と筋肉

烏口突起に付着する筋は…

小胸筋、烏口腕筋、上腕二頭筋短頭の3筋になります。

この中で私の中で臨床上、特に注目してみているのが小胸筋です。

小胸筋は肩関節を構成する筋肉の中で…

唯一上肢への付着をもたない筋肉です。

上肢への付着をもたないにも関わらず

肩関節の機能を発揮するためや痛み・痺れに関してとても重要になる筋肉だと感じています。

 

 

小胸筋の重要性

まずよく挙げられるのは胸郭出口症候群における…

小胸筋下での腕神経叢圧迫と鎖骨下(腋窩)動・静脈圧迫です。

これは小胸筋の筋スパズムや短縮、線維化によって起こる症状で

よく知られているかと思います。

私が小胸筋をみる上で観察するのは…

矢状面における肩甲骨の傾きをみています。

小胸筋の作用は肩甲骨下制と下方回旋がメインですが

起始と停止の関係性から肩甲骨前傾にも関与します。

肩関節を拳上する際、

肩甲骨は上腕骨に対して前傾を保ちながら最後は…

肩甲骨が後傾へと移行します。

その際、小胸筋の柔軟性がなければ肩甲骨後傾は促せません

また上方回旋に対する拮抗筋にもなり得るため上肢拳上における制限因子となります。

また肩甲骨を固定することで

吸気の補助筋にもなり得るため呼吸器系疾患に対しても治療部位に一つにもなります。

 

 

 3筋の共通項とは

ここまで小胸筋に関してみてきましたが、3筋に共通していることは…

内転作用です。

それは肩甲骨や肩甲上腕関節、肘関節において

複数の箇所で内転に関わるため、外転運動の制限になります。

肩関節周囲炎などに関しては

肩甲上腕関節の肩峰下にあたるSAB(肩峰下滑液包)などの

上方組織の伸張が痛みを誘発したり、

肩甲上腕関節下方の関節包伸張性低下を招く要因にもなりかねないため

内転筋群の筋スパズムは要注意かと思います。

その中でも烏口腕筋は他2筋と比べ、筋腹が長いため

その筋長率から筋スパズムによる影響を受けやすいことを知っておくことも重要かと思います。

 

 

いかがだったでしょうか。

今回は“烏口突起からみる肩関節機能”の筋機能に着目しました。

次は靭帯機能について簡単に説明していきたいと思いますのでぜひ臨床で生かしていただきたいと思います。

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。