正中神経、橈骨神経ときたら尺骨神経もしないといけませんね。
前回までの【番外編】ご覧になっていない方はこちらからどうぞ。
さて早速ですが尺骨神経の内容に入っていきたいと思います。
尺骨神経のルート
始まりは腕神経叢の内側神経束から分岐する
⇒ 上腕部の後内側を下行し、遠位部で上腕二頭筋と上腕三頭筋間の内側筋間中隔後方を走行
⇒ その後、浅指屈筋腱の下に入り、上腕骨内顆後面の尺骨神経溝を通る
⇒ そして弓状靭帯背側を走行
⇒ 前腕に出ると尺骨神経支配の深指屈筋に筋枝を出す
⇒ 尺骨神経は尺骨動脈と尺側手根屈筋腱間を下行し、前腕遠位で手背・手掌の尺側神経支配の皮膚に背側枝と掌枝を分布
⇒ 手関節を通る際は有鉤骨鉤と豆状骨によって作られたギヨン管を通過
⇒ ギヨン管通過後は浅枝と深枝に分かれ、浅枝は尺側の皮膚感覚枝に、深枝は尺側神経支配筋の運動枝として分布する
尺骨神経絞扼 2つのポイント
①尺骨神経溝と弓状靭帯間(肘部管) ⇒ 肘部管症候群
②ギヨン管 ⇒ ギヨン管症候群
これら2つが主な尺骨神経絞扼部位になります。
今回は尺骨神経麻痺による症状を簡単にお伝えし、肘部管症候群とギヨン管症候群についての説明は次回に持ち越したいと思います。
尺骨神経麻痺による症状
よく聞かれる尺骨神経麻痺による症状、運動麻痺はフロマン徴候でしょうか。
・フロマン徴候とは…母指内転筋の麻痺になります。当該筋の麻痺がおこると母指と示指との指腹で紙を押さえることができず、IP関節が屈曲して代償します。
他にも…
・感覚支配している手背尺側の痺れ感や感覚低下
・小指球の萎縮による筋力低下
・環指、小指筋力低下による症状(これはまた次回、鷲手の際にも説明されます。)
フロマン徴候と涙のしずくサインの違い
先ほど説明しましたフロマン徴候は手の形が涙のしずくサインと麻痺を起している状態の手の形は正反対ですがよく間違われやすいためここで整理しておきたいと思います。
フロマン徴候
・尺骨神経麻痺
・母指内転筋の麻痺
・母指屈曲による代償(指尖での代償となる)
涙のしずくサイン
・正中神経麻痺
・長母指屈筋、示指屈筋の麻痺
・IP関節の屈曲困難(指腹での代償となる)
いかがだったでしょうか。
次回は肘部管症候群とギヨン管症候群についてお話していくためまた理解が深まるかと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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