手根管症候群など上肢に関する診断名になると
普段は作業療法士(OT)に任せられることが多いと思います。
しかしPTしかいない職場などは
PTが上肢疾患までみなければいけません。
それ以外でも下肢疾患でリハビリを行っている人の中にも
リハビリのオーダーは出ていなくても症状がある方も
いらっしゃるかもしれません。
そんな時にすぐ評価できて治療できたら
患者さんからの評価もあがります。
患者さんからの評価が全てではありませんが、
少なからず二人の間には信頼関係が結ばれていきます。
そのためこれから不定期に番外編として
上肢の肘や手関節の記事も書いていこうと思います。
手根管症候群とは
手根管症候群は橈骨遠位端骨折後の変性治癒による後遺症だったり
腱鞘炎からの炎症が蔓延したりと原因だけでも多くのものがあり、
特に女性に好発する疾患だといわれています。
手根管症候群の発生原因
- 橈骨遠位端骨折後の変性治癒による後遺症
- 腱鞘炎からの炎症蔓延によるもの(使い過ぎによるもの)
- 屈筋支帯内の内圧上昇
- 全身性疾患(関節リウマチや糖尿病など)
ほかにも閉経後や妊娠・出産期の女性に多く、
非特異的な要素が含まれている原因不明のものも含まれます。
手根管症候群の症状
- 母指から第4指橈側半分までの痺れ
⇒ 特に第2、3指に強い痺れが特徴的。(母指球・第5指は痺れない)
- 母指球の萎縮
⇒ 正中神経の筋枝は屈筋支帯を通過後、およそ8~9割が母指球へ関与する。
そのため母指球を構成する(母指対立筋、短母指外転筋、短母指屈筋浅頭)が
萎縮し、筋力低下を起こし、猿手を呈するといいます。
- 手根管内圧により夜間時や早朝時の痺れがある。
以上が手根管症候群の主な原因と症状になります。
最後に手根管症候群を知るために手根管についても知っておく必要があるため
理解していただきたいと思います。
手根管の解剖
手根管は手根骨と屈筋支帯(横手根靭帯)によって形成される
9本もの指屈筋腱が腱鞘をまとい走行している中に正中神経が存在します。
この狭いエリアでこれだけの組織が存在しているため
手根管内の内圧上昇による症状出現は容易に想像できますし、
また方形回内筋の役割も忘れてはいけません。
方形回内筋は屈筋支帯浅部との兼ね合いから
屈筋支帯浅部に圧迫刺激を起こす可能性があります。
そのため回内外を酷使するような場合、手根管症候群の発生要因を
高めてしまうことにもなりかねません。
手根管症候群の治療
ここまで手根管症候群の特徴を理解すると
治療に関しても絞られてくると思います。
基本的には手根管内圧の除去に尽きると思います。
しかしそれがどのような経緯で手根管内圧が上昇しているのか
治療により解消できる症状なのか
それらを見極めることで手根管症候群の治療が始まると思います。
PTとしてはあまり関わることが多くないと思いますが、
手関節の治療はきっと同じような構造形態を持つ足関節の治療にも
生かすことができる可能性があるため、また不意に訪れる患者さんからの
問いかけにも柔軟に対応できると思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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