前々回お話ししました
では簡単に閉鎖神経による
膝内側の痛みを説明しましたが、
今回は…
・なぜ閉鎖神経による痛みが生じるのか?
・閉鎖神経による膝内側の痛みの特徴とはなんなのか?
という疑問を3つのポイントから説明していきたいと思います。
これらを理解すれば…
・閉鎖神経による痛みを理解することができた
・閉鎖神経由来の痛みを軽減させることができた
・膝関節以外にも治療の目を向けることができた
などの効果を得る可能性が大きくます。
また治療への道筋を立てることが容易になり、
治療の幅を広げることができます。
閉鎖神経による膝内側の痛みに関して知りたい方は
是非読み進めていただきたいと思います。
見出し
閉鎖神経の特徴
3のポイントに入る前に閉鎖神経のことを
少しお話しさせていただきます。
閉鎖神経は腰神経叢(Th12~L4)の中の
第2~第4腰神経から起こり、
大腰筋の内側縁を下方に走り、
総腸骨動脈後方を通りながら
閉鎖動脈・静脈と共に小骨盤壁に沿い、
閉鎖孔を通ったのち前肢と後枝に分かれます。
その後、各々の筋肉、皮膚、関節に枝を出していきます。
ポイント1 3つの絞扼部位
絞扼部位1 大腰筋部
閉鎖神経は腰神経叢(L2~4)から起こりますが
早速大腰筋による絞扼と圧迫を
受けることになります。
これは大腰筋の浅頭と深層の起始が
重要になります。
大腰筋浅頭:Th12~L4椎体および肋骨突起
大腰筋深層:全腰椎肋骨突起
になります。
ここで言いたいのは腰神経叢が
この浅頭と深層間を通過することです。
要するに大腰筋スパズムが
閉鎖神経の絞扼部位になるということです。
絞扼部位2 内閉鎖筋部
閉鎖管は閉鎖溝と閉鎖膜によって形成され、
閉鎖神経が閉鎖孔へ入る前に
閉鎖動脈・静脈と並んで内閉鎖筋を貫通します。
この際、内閉鎖筋の絞扼により
症状を呈することがあるとされています。
絞扼部位3 閉鎖孔(外閉鎖筋)
閉鎖孔のほとんどは閉鎖膜が張られていますが
その前下方部は閉鎖管が貫通するため
裂孔が開いています。
そこで小腸による圧迫などを受けることで
閉鎖膜が伸張、閉鎖孔が圧迫される形となり、
症状が出現する可能性があります。
また外閉鎖筋内を貫通するため外閉鎖筋による
絞扼での症状出現も容易に考えられます。
ポイント2 前枝と後枝の違い
閉鎖神経は閉鎖孔を過ぎると前枝と後枝に分岐します。
前枝:恥骨筋・外閉鎖筋間を走行し
長内転筋の深部を下行したのちに
短内転筋、長内転筋、薄筋に筋枝を出し、
股関節への関節枝も分布します。
後枝:外閉鎖筋を貫通し、外閉鎖筋に
筋枝を出したのち短内転筋の深部から
大内転筋前方へ出てから
大内転筋に筋枝を送ります。
その後、後枝は大腿内側から膝関節にかけて
皮枝を出すことと膝関節後方関節包に関節枝を
出すことになります。
ここで膝内側の痛みと関連が深く重要と
なってくるのは言うまでもなく
後枝の存在になります。
そのため閉鎖神経絞扼障害に対しては
外閉鎖筋ブロック注射が有効であるとの
見解も示されているのだと思います。
ポイント3 股関節の関与
同じ膝内側の痛みを出す要因の一つとして
伏在神経による痛みについて説明しましたが、
両者の違いの一つとして
絞扼部位の場所も関係してきます。
ポイントで挙げている通り、
閉鎖神経絞扼障害に関しては股関節の関与により
症状増悪寛解をみることができます。
先にも説明しましたが内閉鎖筋部での
絞扼が考えられる場合、
内閉鎖筋に股関節屈曲位で内転方向への伸張負荷
をかけることで症状の増悪をみることができます。
さらに閉鎖孔近くでは閉鎖神経は
外閉鎖筋の影響を強く受けます。
そのため股関節屈曲位で内旋方向への伸張負荷を
かけることで症状の増悪をみることができます。
このように各神経の特徴をとらえて
テストを行うことでより
正確な治療へと繋げることができます。
閉鎖神経による膝内側の痛み│
抑えておくべき3つのポイントは以下になります。
ポイント1 大腰筋・内閉鎖筋・閉鎖孔(外閉鎖筋)の3つの絞扼部位
ポイント2 閉鎖神経分岐後の後枝の重要性
ポイント3 股関節操作による症状の出現
いかがだったでしょうか。
これらのポイントを抑えることで
少しは閉鎖神経による膝内側の痛みが
理解できたのではないでしょうか。
今後のあなたの治療に生かしていただければ嬉しく思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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