変形性膝関節症でよくみられる膝関節伸展制限、

今回は下腿三頭筋から

膝関節伸展制限について考えてみたいと思います。

 

臨床でもよく見かける

“下腿三頭筋のストレッチ”ですが、

最近ではそれを疑問視する声も多々見受けられます。

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私としては

“下腿三頭筋のストレッチ”に関して中立的立場から

下腿三頭筋が膝関節伸展に及ぼす影響について

言及していきたいと思います。

 

下腿三頭筋と言っても

実際、膝関節伸展制限に大きく関与するのは

腓腹筋になるかと思います。

 

その腓腹筋に関して

今回は焦点を当てていきます。

 

腓腹筋の起始はご存知の通り、

内側頭と外側頭に分かれておりますが、

膝関節の関節包とも密接な関係を持つことで知られています。

 

それぞれ説明していきたいと思います。

 

 

1,腓腹筋内側頭

腓腹筋内側頭の

起始は大腿骨内側顆となっていますが

その一部は内転筋結節まで及ぶとされています。

これはどんな意味を持つかというと

内転筋結節に付着する軟部組織との関係性になります。

 

内転筋結節は

多くの筋肉や靭帯が付着する

膝関節の中でも極めて重要な部位になります。

腓腹筋内側頭から大内転筋、内側広筋、

内側側副靭帯内側膝蓋支帯膝の関節包

6つの組織が直接または間接的に

繋がりを持っています。

 

下腿三頭筋が損傷を受けなくても

上記の組織が損傷もしくは炎症を起こすと

間接的に影響を受けることは必至なため

しっかりと覚えておくことをおすすめします。

 

 

2,腓腹筋外側頭

腓腹筋外側頭は内側頭に比べて

やや起始部が遠位に存在し、

脆弱であるとも言われています。

 

そんな腓腹筋外側頭ですが

靭帯との関係性がとても密接です。

その靭帯が

斜膝窩靭帯弓状膝窩靭帯です。

 

それぞれ特徴的な靭帯であるため

この膝窩部を走る2つの靭帯との

関係性から影響を受ける可能性があります。

 

斜膝窩靭帯半膜様筋

弓状膝窩靭帯膝窩筋との関係性があるからです。

 

腓腹筋外側頭が半膜様筋・膝窩筋と

直接的なつながりがないものの

2つの靭帯を介してその影響を受けるとされています。

 

 

それぞれの特徴を押さえると

多方面からの影響を受けることが予想されます。

 

膝関節後面の筋である以上、

筋スパズムや筋の短縮、線維化などでも

膝関節伸展に与える影響は必ずあると思います。

 

しかしそれを“腓腹筋のストレッチ”によって

解消できるかはまた別の話になるため、

今まで説明してきた関係性が頭に入っていると

膝関節伸展制限を起こしているのは腓腹筋でも

その腓腹筋に影響を及ぼした主な原因に対して

治療を行うことで間接的に膝関節伸展制限に対して

アプローチすることも可能だと思います。

 

 

結果的に腓腹筋の影響は

膝関節後面にある以上、

膝関節伸展に少なからず影響します。

 

その原因が

内側頭なら内転筋結節を中心にした組織の影響

外側頭なら斜膝窩靭帯、弓状膝窩靭帯から影響がある。

と覚えておいてほしいと思います。

 

 

いかがだったでしょうか。

少しは臨床で役に立ちそうですか?

臨床では一つの現象(膝関節伸展制限など)に対して

それに直接関与する組織の治療が主になります。

 

しかしそれが本来どこから起こっているのか

突き詰めていかなければきっとまた症状は元通りです。

 

今回の腓腹筋による膝関節伸展制限が

あなたの臨床で生かされれば幸いです。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。