前脛骨筋と言えば…

下腿の前面についてる…とか

足首を上げる作用をするよな…とか

他にもたくさんのイメージを持っている方が多いと思います。

今回はそんな前脛骨筋を基礎的な解剖学からストレッチ方法、そして臨床で役立つ3つの特徴解説していきます。

SPONSORD LINK

前脛骨筋の解剖

page1

画像引用(一部改変):Anatomography

前脛骨筋(tibialis anterior)
起始 脛骨外側面上方1/2、骨間膜上方2/3、下腿筋膜
停止 内側楔状骨、第1中足骨底足底面
作用 足関節背屈・内反
足部固定で下腿を前方へ傾ける
内側縦アーチ保持
神経支配 深腓骨神経(L4~S1)
トリガーポイント 筋腹の上1/3付近
関連痛 トリガーポイント部から脛骨前面を縦に走行し、
足関節前内側から母指背内側へと放散

 

前脛骨筋のストレッチ

※後日、掲載いたします。

 

前脛骨筋の特徴

特徴1 下垂足と関係あり

image (2)

画像引用(一部改変):Anatomography

前脛骨筋は足関節を背屈する作用は皆さんご存知だと思いますが、その背屈作用が効かなくなった時に起こるのが…

下垂足です。

下垂足は歩行周期の遊脚相(足が浮いている状態)で足関節の背屈が保てず、底屈してしまうことを言います。

この下垂足は腓骨神経を圧迫してしまうことが一番の原因であり、それによって腓骨神経支配である前脛骨筋をはじめ、長母指伸筋・長趾伸筋の筋力低下が起きて、下垂足になってしまいます。

特に多いのが腓骨神経が走る腓骨頭部分への長時間の圧迫(ギプスなど)がよく発症原因になりやすいと言われています。

ちなみに腓骨神経麻痺の下垂足になると基本的にはまず保存療法(リハビリや内服など)による治療がなされますが、重症例になると手術適応になる可能性があります。

また前脛骨筋は下腿上部でこの深腓骨神経前脛骨動静脈を覆っており、前脛骨筋の筋スパズムや過剰な収縮によって神経や動静脈を圧迫して症状が出る可能性もあることを覚えておいてほしいと思います。

特徴2 下腿前部シンスプリントと関係あり

image (3)

画像引用(一部改変):Anatomography

前脛骨筋は起始を脛骨に持っており、オーバーワークや過剰な伸張負荷により下腿前部のシンスプリントを発生する可能性があると言われています。

一般的にはシンスプリントというと後脛骨筋との関係や下腿内側部の痛みを想像される方も多いと思いますが、前脛骨筋も関係してきます。

(参照:シンスプリントの原因ってなに?知って得する4つの原因!

特に前脛骨筋は歩行周期や走行の中で遠心性収縮による活動がとても多い筋肉の一つです。

そのため過剰な負荷や伸張負荷がかかりやすい環境にあることは確かです。

患者さんなどで下腿前面の痛みを訴える場合は問診をしっかり行ったうえで前脛骨筋による下腿前面のシンスプリントを疑ってみる必要があります。

特徴3 内側縦アーチ形成に関与

image (4)

画像引用(一部改変):Anatomography

作用にもあるように前脛骨筋も内側縦アーチ形成に関与しています。

他にも内側縦アーチ形成にかかわる筋肉として挙げられるのが…

後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋・母趾内転筋に加えて補助的に虫様筋が挙げられます。

足部においてアーチの形成はとても重要な役割を担います。

(参照:後脛骨筋の機能低下によって足底アーチは低下するのか?

簡単に挙げれば、衝撃吸収や推進力の確保になります。

特に前脛骨筋は他の筋肉と違い、背屈筋であるため直接内側縦アーチを引き上げる方向にベクトルが働くため、他の筋肉よりも重要度は高いと思われます。

 

まとめ

特徴1 下垂足との関連がある神経や動・静脈を覆っている
特徴2 遠心性収縮が多いためシンスプリントに発展の可能性あり
特徴3 前脛骨筋も内側縦アーチ形成に関与

 

いかがだったでしょうか。

前脛骨筋に関して復習と新しい発見がありましたでしょうか。

前脛骨筋は今回の特徴を見てわかる通り、歩行との関係がとても深いです。

歩行により損傷したり、歩行に悪影響を及ぼす影響があったり…

しかしながら裏を返せば前脛骨筋がいかに重要かが伝わってくるのではないかと思います。

是非今回の前脛骨筋の情報を臨床でも生かしていただきたいと思います。

今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。