大腿方形筋と言えば…
外旋六筋の一つだ!…
…
…
それ以外思い浮かびますか?
正直言ってあまり馴染みのない筋肉ですよね。
恥ずかしながら私も勉強する前までは
この程度の考えしかありませんでした。
ですが、色々学んでいくと大腿方形筋も
なかなか重要な筋肉の一つなんだな…
と実感しています。
是非これを機に大腿方形筋への
興味を掻き立てられたと思っています。
そういうことで今回は
大腿方形筋の基礎的な解剖学の復習から
ストレッチ方法、そして臨床で役立つ3つの特徴
を解説していきたいと思います。
見出し
大腿方形筋の動画
まずは大腿方形筋の概要を知るために
この動画を見てから読み進めることを
オススメします。
基本的な起始停止の解剖から坐骨神経、
他にも外旋六筋との位置関係についても
分かりやすく載っているので、
是非一度動画をご覧になってください!
大腿方形筋の解剖
画像引用(一部改変):Anatomography
大腿方形筋(quadratus femoris) | |
---|---|
起始 | 坐骨結節外側縁 |
停止 | 大腿骨下部、転子間稜 |
作用 | 大腿骨外旋 |
神経支配 | 坐骨神経叢(L4~S1) |
大腿方形筋のストレッチ
※後日、掲載いたします。
大腿方形筋の特徴
特徴1 坐骨神経との関係
画像引用(一部改変):Anatomography
前回の【梨状筋】をご覧になられた方は
再度同じような説明になりますが、
ご紹介いたします。
人体中で最も太い神経として知られている
坐骨神経ですが、この坐骨神経は…
上は梨状筋、下は大腿方形筋に挟まれています。
もう少し詳しく説明すると…
仙骨神経叢から出てきた神経が束になり、
坐骨神経となった後に大坐骨孔を出ていくことに
なるのですが、その際に梨状筋があるため
梨状筋の下(梨状筋下孔)を通過して
骨盤の外側へ出ていきます。
この梨状筋の下を通る際に
坐骨神経を反対側(坐骨神経の下側)から挟む
ような形になるのが大腿方形筋になります。
そのためよく、
梨状筋が硬い=坐骨神経痛だ!
と思いがちですが、梨状筋が硬くても
反対側の大腿方形筋に十分な柔軟性があれば
クッションの役割をして坐骨神経を
完全に圧迫することにはなりません。
しかし股関節関節包や内圧との関係が深い
大腿方形筋が炎症による線維化
(大腿骨頚部骨折の術後など)
で柔軟性を失ってしまうと
二次的に坐骨神経痛を発症しても
おかしくはないと思います。
坐骨神経は上を梨状筋、下を大腿方形筋に
挟まれて走行している。
ということを念頭に置いていただきたいと思います。
特徴2 股関節痛との関係
画像引用(一部改変):Anatomography
股関節の近くにある筋肉なんだから
股関節痛に繋がるのは普通でしょ!
と、そう言われればその通りなのですが…
ここでは単に筋肉由来の疼痛ではなく、
血管由来の疼痛に関する話をしたいと思います。
結論から言えば…
内側大腿回旋動脈という
血管が絡んでくる股関節痛です。
馴染みのない血管だと思うので
簡単に説明すると…
大腿動脈から分岐する血管の一つで、
ある部位により絞扼される(後で解説します)と
栄養血管である機能が低下し、
股関節(後方深部)に鈍痛を引き起こす
と言われています。
そしてこの内側大腿回旋動脈が
どう大腿方形筋と関係してくるかというと…
『ある部位』を通過した後、
内側大腿回旋動脈の終枝が
大腿方形筋まで伸びてきているということ。
そのため股関節(後方深部)の痛み
とも少なからず関係しているんです。
もちろん栄養血管であるため、
血流が阻害されると筋肉が線維化
してしまう可能性も十分にあります。
そして最後に文章中に合った
『ある部位』とは…
大腰筋と恥骨筋の筋間になります。(もったいぶる必要は全くなかったですね…)
特徴3 最も強い外旋筋
画像引用(一部改変):Anatomography
外旋六筋の一つである大腿方形筋ですが…
外旋六筋中で最も強い外旋筋の筋出力を発揮
するのが大腿方形筋だと言われています。
筋肉を後方から観察しても、
水平についていますし、他の筋肉と比べても
筋ボリュームも十分です。
しかし外旋六筋に限らず、
股関節の外旋だけで見てみると…
大殿筋が最も強い外旋筋力を発揮するようですが
それに次ぐ形で、
大腿方形筋は2番目に外旋筋力があるようです。
ということは十分、内旋可動域の制限や
外旋筋の出力に影響してきそうなので
覚えておくといいかもしれません。
まとめ
特徴1 坐骨神経を下から支えている
特徴2 内側大腿回旋動脈との関係がある
特徴3 外旋六筋中で最強の外旋筋
いかがだったでしょうか。
他の筋肉と比べるとやや内容にも
ボリュームが足りないように感じますが、
内容としては外旋六筋でしか
イメージが湧かなかった方には
満足できる情報だったのではないでしょうか。
是非、一つの参考として
今後の治療に生かしていただきたいと思います。
今回も最後までご覧になっていただき、
本当にありがとうございました。
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