大胸筋と言えば…

胸の前に付く大きな筋肉でしょ!とか

小胸筋を覆っている筋肉だ!とか

大胸筋のイメージと言えば、このような感じを想像する方が多いのではないでしょうか。

最近では肩関節疾患を診る上で重要なのは、大胸筋 < 小胸筋というような流れがあるようですが、大胸筋も非常に大事な筋肉です。

肩関節疾患だけに留まらず、女性では乳がんなどの摘出手術などが行われれば尚更この大胸筋の重要性が増してくるように思えます。

そこで今回は大胸筋の基礎的な解剖学の復習とストレッチ方法、そして臨床で役立つ3つの特徴について解説していきたいと思います。

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大胸筋の解剖 

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画像引用(一部改変):Anatomography

大胸筋(pectoralis major)
起始 鎖骨部:鎖骨内側半分
胸肋部:胸骨及び第1~7肋軟骨
腹部:腹直筋鞘前葉
停止 上腕骨大結節稜
作用 鎖骨部:肩の屈曲、内転
胸肋部:上腕の内転・内旋、
上腕固定で胸骨・肋骨を拳上し、吸気の補助
神経支配 内・外側胸筋神経(C5~C8)
トリガーポイント 大胸筋全体に分布
関連痛 鎖骨部:三角筋部前面、鎖骨周囲
胸肋部起始部近く:胸骨周囲
胸肋部停止部近く:胸部前面から上腕~肘内側、
前腕腹側、手関節尺側、3~5指掌面
胸肋部尾側:胸部腹側にやや広範囲
関連臓器 心臓

 

大胸筋のストレッチ

※後日、掲載いたします。

 

大胸筋の特徴

特徴1 異なる3つの線維

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画像引用(一部改変):Anatomography

上記の【大胸筋の解剖】でも紹介していますが、大胸筋は異なる3つの線維に分かれます

それは…

・鎖骨部線維

・胸肋部線維

・腹部線維

以上、3つの線維です。

この3つの線維は上腕骨大結節稜に付着しますが、それまでの流れが独特です。

それは…筋線維の束が交差し、捻れるようにして付着していることです。

それぞれ説明すると…

・鎖骨部線維 ⇒ 最尾側

・胸肋部線維 ⇒ 中間

・腹部線維  ⇒ 最頭側

こうやって見ると胸肋部線維を挟む、鎖骨部線維腹部線維の両筋肉は起始と停止では反対側の関係になっているということです。

特にこの3つの線維が交差するポイント癒着硬結を引き起こす可能性が大きい部位であるため治療が必要な場所になります。

特徴2 大胸筋と広背筋の関係

ダウンロード (29)

画像引用(一部改変):Anatomography

大胸筋広背筋はそれぞれ上記で述べたような筋線維束の捻れを持ちながら停止部へと付着します。

その停止部もまた上腕骨前面と似たような場所にあるため、両筋とも肩関節内旋筋として作用します。

そのため両筋の機能不全・機能障害は肩関節に与える影響が大きいとも言えます。

それは大胸筋・広背筋の両筋が共同して働くと肩甲骨下制方向へと働くからです。

そうなると上肢拳上に伴う肩甲骨の拳上・上方回旋が阻害され、上肢の運動に可動域制限が生まれてしまいます。

また肩甲骨だけでなく、大胸筋・広背筋共に筋線維束より筋腹が身体の内・尾側に大きいため、上腕骨を内転し、引き下げる役割を持ち合わせます。

そのため筋スパズムや短縮などを起こすと、肩関節外転や外旋の可動域制限肩関節拳上時の逸脱した運動を引き起こす可能性まで考えられます。

是非、同じような筋線維束の特徴と停止部を持つこの大胸筋・広背筋はセットで覚えておいていただけたらと思います。

特徴3 肩関節内旋筋としての働き

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画像引用(一部改変):Anatomography

大胸筋は一言でいうと…肩関節内転・内旋筋であるということができると思います。

もちろんそれ以外にも肩関節の屈曲や呼吸補助筋としても機能しますが、簡単に説明すれば肩関節内転・内旋筋であると言えます。

先ほども肩関節外転と外旋制限になることは簡単にお伝えしましたが、今回は肩関節内旋筋としての働きに着目して解説していきたいと思います。

ちなみに肩関節内旋筋は…

・大胸筋

・広背筋

・肩甲下筋

・(三角筋)

大体、これらが肩関節内旋筋として機能しています。

この中でも特に純粋な肩関節内旋筋として機能するのは大胸筋肩甲下筋です。

この両筋の違い、分かりますか?

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画像引用(一部改変):Anatomography

・大胸筋  ⇒ 矢状面から見て前方

・肩甲下筋 ⇒ 矢状面から見て後方

ということは、肩関節内旋時に上腕骨頭がどのような動きをするかというと…

・大胸筋  ⇒ 前方偏移

・肩甲下筋 ⇒ 後方偏移

このような動きをします。

しかし両筋を比べると明らかに大胸筋の方が筋ボリュームが大きく、内旋を行うパワーも強いです。

そのため大胸筋が筋スパズムを起こしたり、筋肉が大きい分、短縮したりすると上腕骨頭は必然的に前方へと引っ張られます。

すると関節窩に対して上腕骨頭が逸脱したような形になり、純粋な運動を行うことができなくなり、肩関節の痛みへと繋がる場合があります。

この場合、大胸筋が過度な肩関節内旋を誘導するのに関わっていないか注意して触診・観察する必要があると思います。

 

まとめ

特徴1 大胸筋はそれぞれ異なった3つの線維束をもつ
特徴2 大胸筋と広背筋は似たような性質を持つ筋肉である
特徴3 大胸筋は肩関節内旋において重要な筋肉である

 

いかがだったでしょうか。

普段、肩関節疾患を診る際に大胸筋を緩めることはよくされると思います。

もちろんそれは肩関節にとってもまた全身のリラクゼーションを図る意味でも重要なことです。

胸というのは感情を表すのにも重要な役目を持っています

・自信や存在感を示したい人は、胸を張る

・内気で悲観的な人は、肩を丸めて胸をしまう

是非、そんな意味でも大胸筋について知ってもらえればと思います。

今回も最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。