恥骨筋と言えば…

内転筋の一部?とか

場所も場所だし、治療はあんまりしない…

と思っている方も多いのではないでしょうか?

確かに筋肉の長さもそこまでないですし、場所的にも患者さんからしたら急に触られたらビックリするような場所でもあります。

しかしそんな恥骨筋も内容を見ていけば、”やっぱりちょっと治療した方がいいのかな?”と思うかもしれません。

それくらい重要な筋肉の一つでもあると思います。

そこで今回は恥骨筋の基礎的な解剖学の復習からストレッチ方法、そして臨床で役立つ3つの特徴を解説していきたいと思います。

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恥骨筋の解剖

page159 - コピー

画像引用(一部改変):Anatomography

恥骨筋(pectineus)
起始 恥骨上枝、恥骨櫛、恥骨靭帯
停止 大腿骨恥骨筋線
作用 股関節内転、屈曲補助
神経支配 大腿神経、閉鎖神経(L2、3)
トリガーポイント 起始部から遠位
関連痛 鼠径靭帯直下で鼠径部深層に痛みを感じる
関連臓器 膀胱、子宮、子宮付属器、前立腺

 

恥骨筋のストレッチ

※後日、掲載いたします。

 

恥骨筋の特徴

特徴1 肢位別の補助動作

ダウンロード (31)

画像引用(一部改変):Anatomography

恥骨筋の基本的な作用は解剖学的肢位で見ると【股関節内転、屈曲補助】になる。

これは上記の解剖学にも載せているがどの教本やネットでの情報でも大体同じ内容です。

しかし恥骨筋は肢位を変えるとその作用に違いが出てくる。それが…

股関節屈曲 ⇒ 股関節内旋作用

股関節伸展 ⇒ 股関節外旋作用

これはそれぞれ股関節を屈曲・伸展させることで…

股関節屈曲時には起始と停止部との関係から股関節を通る垂直の軸が恥骨筋の後方を走るため内旋に作用する。

股関節伸展時には基本的に停止部が大腿骨の後面に位置しているため外旋に作用すると言われている。

言葉で表すと若干、理解しがたい文章になりますが、両者とも補助的な役割でしかないが参考程度に知っておく必要はあります。

特徴2 二重神経支配

ダウンロード (32)

画像引用(一部改変):Anatomography

恥骨筋は数少ない二重神経支配の筋肉としても知られている。

二重神経支配とは…その名の通り、複数の神経によって重複して支配されていること。

恥骨筋以外の二重神経支配筋は…

上腕筋・深指屈筋・虫様筋・短母指屈筋・大内転筋・大腿二頭筋

これらが二重神経支配筋に当たります。

実際にここで言いたいことはこれだけではないんです。

恥骨筋を支配している大腿神経と閉鎖神経…

大腿神経 ⇒ 恥骨筋の表層

閉鎖神経 ⇒ 恥骨筋の深層

このように通過していくため、恥骨筋自体へアプローチすると自ずと大腿神経の方が反応が良くなる。

ということは…

のちに伏在神経などとの関係もあるため膝関節周囲の痛みなどとも関連してくる可能性が非常に大きい。

しかしここで絞扼される可能性などは他の部位とは比べ、少ないため一つの参考として覚えておいていただきたいと思います。

特徴3 生殖器との関係

ダウンロード (33)

画像引用(一部改変):Anatomography

理学療法士として携わっていればあまり生殖器とリハビリを関連付ける機会は少ないと思います。

それでも数年前から骨盤底筋群と体幹(特に深層)筋との関係などは着目されています。

しかし純粋に生殖器との関係となると未知な部分がとても多いと思います。

当たり前かもしれませんが、ほとんどリハビリの対象にはならないからなのかもしれませんね。

生殖器のトラブルと言えば…生理痛や月経不順、不妊などその他にも泌尿器系の問題などなど…

あまり人には言いにくい部分のトラブルが多いです。

治療を施すためにはもっと深い知識が必要になりますが、ここではただ単に恥骨筋が生殖器トラブルとの関連が深く、治療することで優れた効果を発揮する一つの要因であるということを知っていただければと思います。

 

まとめ

特徴1 屈曲位では内旋、伸展位では外旋を補助する
特徴2 恥骨筋へのアプローチは同時に大腿神経にも影響する
特徴3 恥骨筋は特に生殖器との関係が深い

 

いかがだったでしょうか。

若干、内容的には薄い印象はありますが、よい復習の機会にもなったのではないでしょうか。

また今一度学生時代に習ったことも思い返し、経験を経て、また臨床で生かせる知識があれば活用していただきたいと思います。

今回も最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。