大殿筋と言えば…

殿部の最表層筋!とか

股関節の伸展筋!とか

このようなイメージを持たれている方が多いのではないかと思います。

もちろんこれらも大殿筋の特徴と言えますが、大殿筋にはこの他にもいくつかの重要な特徴が見受けられます。

そこで今回は大殿筋の基礎的な解剖学の復習からストレッチ方法、そして臨床で役立つ3つの特徴を解説していきたいと思います。

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大殿筋の解剖

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画像引用(一部改変):Anatomography

大殿筋(glutes maximus)
起始 後殿筋線後方、仙骨・尾骨外側縁、
胸腰筋膜、仙結節靭帯
停止 浅層:大腿筋膜外側部で腸脛靭帯に移行
深層:大腿骨殿部粗面
作用 股関節伸展、外旋
神経支配 下殿神経(L4~S2)
トリガーポイント ① 大殿筋起始部の殿溝上端付近
② 坐骨結節の頭側
③ 殿溝尾側端付近
関連痛 ①大殿筋起始部付近を沿って、大腿後部まで
②大腿全体に広がるが特に尾側に関連痛が生じる
③トリガーポイントを中心に同側の尾側付近に放散

 

大殿筋のストレッチ

※後日、掲載いたします。

 

大殿筋の特徴

特徴1 腸脛靭帯との関係

image (16)

画像引用(一部改変):Anatomography

大殿筋は腸脛靭帯と線維交流していると言われています。

その線維交流の割合はおよそ大殿筋の80%程度で大殿筋を包んでいる殿筋膜という膜状線維が腸脛靭帯に合流するような形になっています。

そのためお互いに強い影響を受け合います。

しかし腸脛靭帯は大殿筋と違い、大腿筋膜張筋の流れでほとんどが伸縮性のない靭帯線維です。

そのため腸脛靭帯よりは大殿筋の方がより強い影響を受ける可能性が大きいです。

つまりその影響とは…

股関節の内転制限です。

腸脛靭帯は大腿外側に位置する股関節内転制限の主な原因になります。(Ober testが代表的)

そのため腸脛靭帯の影響を受けた大殿筋は股関節内転を制限する重要な因子になりえるのです。

・股関節の内転制限がある

・Ober testが陽性である

・股関節外転歩行になっている

このような時は腸脛靭帯の制限である!と決めつけずに腸脛靭帯と線維交流している大殿筋も疑ってみると案外解消されるかもしれません。

特徴2 上部線維と下部線維の違い

image (17)

画像引用(一部改変):Anatomography

上記の基礎的な解剖では教本通りの作用【股関節伸展・外旋】と記載しましたが、実際には大殿筋はより細かく分類することができます。

それが大殿筋の上部線維下部線維です。

端的に言うと…

・上部線維 ⇒ 股関節外転作用

・下部線維 ⇒ 股関節内転作用

この上部線維と下部線維に関しては大腿骨頭を中心に上下に分けるのが一般的なようです。

これにより大殿筋をより細分化して診れるようになります。

具体的には先ほどの腸脛靭帯との線維交流の話に戻すと、股関節内転を制限する大殿筋は上部線維の方がより関係性が高いことが言えます。

また下部線維は内転作用もさることながら下記に説明しますが、坐骨神経などとの関係性も深いと言われています。

是非、参考にされてみてください。

特徴3 坐骨神経との関係

image (18)

画像引用(一部改変):Anatomography

当たり前のような話ですが、大殿筋は殿部全体を覆っているため坐骨神経も大殿筋の下を通過しています。

だから坐骨神経にアプローチする際には大殿筋を介して行わなければいけません。

もちろん坐骨神経の始まりは仙骨神経叢から始まるため仙骨に起始部を持つ大殿筋はそこからアプローチ可能だということも知っておかなくてはいけません。

基本的には坐骨神経は梨状筋との関係性が深く、それに関しては【梨状筋】の項で話しますが、総腓骨神経と脛骨神経の集まりである坐骨神経は仙骨神経叢である部分から大殿筋によってアプローチ可能であることを知っておいてほしいと思います。

基本的なことかもしれませんが、もう一度念頭に置いておきましょう。

 

まとめ

特徴1 大殿筋と腸脛靭帯は線維交流している
特徴2 上部線維は外転、下部線維は内転に作用する
特徴3 大殿筋は完全に坐骨神経を覆っている

 

いかがだったでしょうか。

今回の大殿筋の3つの特徴は優先順位をつけるのが難しいくらい重要なものばかりです。

当たり前のように思うような内容でも再度、見返して自分なりに解釈することで新しい視点が広がります。

是非、あなたも大殿筋への深い関心を持ち、治療・アプローチの参考にしていただきたいと思います。

今回も最後までご覧いただきまして、本当にありがとうございました。