中殿筋と言えば…
トレンデレンブルグ?デュシェンヌ?とか
股関節の外転筋?とか…
このようなイメージを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
解剖学的に言えば、大殿筋と小殿筋に挟まれる形となっている中殿筋ですが、とても重要な筋肉の一つです。
今回はそんな中殿筋の基礎的な解剖学の復習とストレッチ方法、そして臨床で役立つ3つの特徴を解説していきたいと思います。
見出し
中殿筋の解剖
画像引用(一部改変):Anatomography
中殿筋(glutes medius) | |
---|---|
起始 | 腸骨翼外側で前殿筋線と後殿筋線の間、 腸骨稜外唇および殿筋膜 |
停止 | 大転子尖端外側面 |
作用 | 股関節外転 |
神経支配 | 上殿神経(L4~S2) |
トリガーポイント | ① 仙腸関節付近の筋腹後方 ② 腸骨稜中央の直下 ③ ②よりも若干腹側付近 |
関連痛 | ① 殿部全体へ広がる ② 殿筋中央外側から大腿後外側まで放散 ③ 仙骨を中心に腰椎、同側の腸骨稜まで |
中殿筋のストレッチ
※後日、掲載いたします。
中殿筋の特徴
特徴1 跛行
画像引用(一部改変):Anatomography
中殿筋と言えば、冒頭でも触れました通り、跛行が関係してきます。
これは中殿筋の筋力低下による”中殿筋跛行”と呼ばれ、その名称として…
トレンデレンブルグ歩行とデュシェンヌ歩行が挙げられます。
両者はともに中殿筋筋力の低下によっておきますが、明確な違いがあります。それは…
トレンデレンブルグ歩行 ⇒ 患側の骨盤が高くなる
デュシェンヌ歩行 ⇒ 患側の骨盤が低くなる
これは歩行を後方から確認した場合の骨盤の相対的な位置関係を示しています。
トレンデレンブルグ歩行 ⇒ 支えが効かず、反対側が落ちる
デュシェンヌ歩行 ⇒ 支えられないため、骨盤を被せる
簡単に説明するとこのような感じです。
これは歩行の患側立脚期に起こる状態で、どちらとも中殿筋の筋力低下ですが、様々な反応で歩行を成立させています。
もちろん跛行にも様々あり、中殿筋の筋力低下だけではなく、脚長差による見た目上のトレンデレンブルグ歩行や側彎などでも代償歩行しているように見えます。
一概にこの2つの跛行が起こっているからといって『=中殿筋の筋力低下だ!』と決めつけないようにしましょう。
また跛行は何かのサインであると同時に跛行を呈している患者さんが今の身体状況の中で最良の歩行スタイルである可能性もあります。
時と場合によりますが、治療を行いながらトライ&エラーを経験していくことが重要になってくると思います。
特徴2 線維ごとの役割
画像引用(一部改変):Anatomography
上記の【中殿筋の解剖】では作用を股関節外転のみ記載しましたが、実際にはより細分化して分けられます。
それが中殿筋の前部線維と後部線維です。
これら2つの筋肉はそれぞれ…
前部線維 ⇒ 屈曲・内旋
後部線維 ⇒ 伸展・外旋
全体として合わせてみれば股関節外転ですが、両者を分けてみた場合、このような動きに作用します。
これらの前部・後部線維の明確な境界線はないもの大体、大腿骨頭を中心に分けられています。
とりわけ前部線維の方がボリューム・筋力ともに強く、大きいため中殿筋単体でみる時は内旋傾向になりやすいようです。
是非、股関節の関節可動域改善や動作改善のために活用していただきたいと思います。
特徴3 筋肉との繋がり
画像引用(一部改変):Anatomography
冒頭でも触れましたが、中殿筋は大殿筋と小殿筋に挟まれています。
これは皆さん、大体が承知している内容だと思います。
しかし中殿筋は上下だけでなく、前後も筋肉によって挟まれ、その筋肉と線維同士の繋がりがあることもわかっています。それは…
前方 ⇒ 大腿筋膜張筋
後方 ⇒ 梨状筋
これらの筋肉と線維を繋ぎ、それぞれ影響を受け合っているようです。
特にこの大腿筋膜張筋や梨状筋というのは股関節の中でも重要な筋肉として捉えられていることが多く、その影響は関節可動域制限のみならず、痛みに発展する可能性も十分に考えられます。
是非お互いの特徴を理解し合いながら、線維同士の繋がりがある点を押さえておくことで臨床の治療に生かしていただきたいです。
まとめ
特徴1 中殿筋の筋力低下は跛行と繋がりが深い
特徴2 前部線維は屈曲・内旋、後部線維は伸展・外旋
特徴3 前方は大腿筋膜張筋、後方は梨状筋と繋がる
いかがだったでしょうか。
中殿筋が大事ななのはわかってはいたけど…という方には参考になったのではないでしょうか。
また知っていた内容でもちょうどいい復習の機会になった方もいらっしゃったのではないかと思います。
もちろん中殿筋にはもっと多くの特徴があると思います。
ここでは覚えられる程度の3つとしていますが、是非今回の記事を読んで再度中殿筋に興味を持ち、色々なことを調べてより理解を深めていただきたいと思います。
今回も最後までご覧いただきまして本当にありがとうございました。
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