上・下双子筋と言えば…

外旋六筋の中に入る筋肉!とか…

というか外旋六筋であること以上に知っている方の方が少数派だと思います。

前回も言いましたが、細かい筋肉に関しては基礎を勉強している学生の方が詳しいかもしれません。

ただそんな筋肉も調べていけばそれなりに重要な特徴を見つけることができます。

今回は特別に特徴が少ない(?)上・下双子筋を合わせて解説していきたいと思います。

基礎的な解剖学の復習からストレッチ方法、そして臨床で役立つ3つの特徴を理解し、治療に生かしていってほしいと思います。

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上双子筋の解剖

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画像引用(一部改変):Anatomography

上双子筋(superior gemellus)
起始 坐骨棘、小坐骨切痕
停止 内閉鎖筋腱に合流
作用 大腿骨外旋
神経支配 坐骨神経叢(L4~S1)

 

下双子筋の解剖

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画像引用(一部改変):Anatomography

下双子筋(inferior gemellus)
起始 坐骨結節
停止 内閉鎖筋腱に合流
作用 大腿骨外旋
神経支配 坐骨神経叢(L4~S1)

 

上・下双子筋のストレッチ

※後日、掲載いたします。

 

上・下双子筋の特徴

特徴1 内閉鎖筋と合わせて…

image (16)

画像引用(一部改変):Anatomography

前回の【内閉鎖筋】のページでもご紹介しましたが、上・下双子筋と内閉鎖筋は似たような筋の走行をしており、大腿骨外旋(股関節外旋)する作用までほぼ類似しています。

そんな上・下双子筋と内閉鎖筋ですが、これら3筋は合わせて…

骨盤三頭筋と呼ばれています。

骨盤三頭筋は初耳じゃないですか?

上腕三頭筋や下腿三頭筋はよく耳にしますが、骨盤三頭筋はあまり耳にしません。(理学療法の世界だけなのでしょうか?)

ま、とにかくこれら三頭筋群は冒頭にも述べたようにほぼ同じ作用を持つ筋肉の集まりであることは確かです。

上腕三頭筋や下腿三頭筋のように単関節筋と2関節筋の違いにより作用する関節の数が違ったりしますが、骨盤三頭筋に関しては全て単関節筋のため大差ありません

だから前にも述べましたが、特別に骨盤三頭筋だから、〇〇だ!ということもないのですが、上腕三頭筋や下腿三頭筋のように扱ってもらいたいと思います。

是非、骨盤三頭筋(上双子筋・下双子筋・内閉鎖筋)、覚えておいてほしいと思います。

特徴2 変形性股関節症との関係

image (16) - コピー

画像引用(一部改変):Anatomography

先ほどの骨盤三頭筋の流れに関係してきますが…

骨盤三頭筋の機能不全は変形性股関節症になるリスクが高まる可能性があるかもしれません。

股関節をまたぐ骨盤三頭筋は大腿骨頭にかかる圧力を分散する役割があるとされています。

そのため骨盤三頭筋が機能不全(筋スパズムや筋肉の線維化)によって圧力を分散するための緩衝作用が低下すると大腿骨頭にかかる圧力が高まり、軟骨の摩耗や変形に繋がる恐れがあるからです。

だから短期的に見ると股関節の炎症を、長期的に見ると変形性股関節症への進行にも関わってきます。

もちろん骨盤三頭筋だけが問題で変形性股関節症になるわけではありませんが、特に股関節の近く(後方)を走るこの骨盤三頭筋が影響してくる可能性は当然高いと思われます。

もし変形性股関節症の診断を受けた患者さんを診る時はこの辺まで意識して診るといいかもしれませんね。

特徴3 坐骨棘の特徴

image (17)

画像引用(一部改変):Anatomography

前回、【内閉鎖筋】のページでは小坐骨孔を通過する内閉鎖筋が泌尿器系の問題を引き起こす可能性があることを解説しました。

ちなみに小坐骨孔ですが、ここは仙結節靭帯と仙棘靭帯によって形成されています。

そのうちの仙棘靭帯の付着部が坐骨棘なんです。

そして上双子筋の停止部(付着部)も坐骨棘となります。

また泌尿器系を司る陰部神経はこの坐骨棘の近くを走行するため小坐骨孔を通る内閉鎖筋も泌尿器系に関係しますが、坐骨棘に停止する上双子筋も泌尿器系の問題につながる可能性を秘めています。

また坐骨棘には骨盤底筋群のうちの一つである肛門挙筋も付着することから泌尿器系の問題への繋がりをより一層強めていることにもなります。

なかなか臨床で生かすのは難しいかもしれませんが、是非知っておいてほしいと思います。

 

まとめ

特徴1 内閉鎖筋と合わせて骨盤三頭筋を形成
特徴2 骨盤三頭筋の機能低下は股OAに繋がりやすい
特徴3 坐骨棘は泌尿器系との関係が深い

 

いかがだったでしょうか。

今回は初めて2つの筋肉を同時にご紹介しました。

といってもそれぞれが似たような筋肉で特徴もそこまで多くないため、このような形になっただけです。

泌尿器系の問題もさることながら、骨関節系(ここで変形性股関節症)へと発展するという2つのリスクを兼ね備える筋肉であることが分かったかと思います。

是非、今後の臨床や知識の蓄えとして理解していただきたいと思います。

本日も最後までご覧いただきまして本当にありがとうございました。