烏口腕筋と言えば…

烏口突起に付いている筋肉だよね?とか

肩関節の屈曲筋!とか

烏口腕筋のイメージと言えばこのようなことしか分からない人がほとんどだと思います。

実際には私もあまり臨床では治療する機会があまり多くないです。

それでもいろいろ調べてみれば烏口腕筋の特徴が見えてきました。

そこで今回は烏口腕筋の基礎的な解剖学の復習からストレッチ方法、そして臨床で役立つ3つの特徴について解説していきたいと思います。

是非これを読んで烏口腕筋の治療に生かしてほしいと思います。

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烏口腕筋の解剖

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画像引用(一部改変):Anatomography

烏口腕筋(coracobrachialis)
起始 肩甲骨烏口突起
停止 上腕骨内側縁、小結節稜下方
作用 肩関節屈曲、内転
神経支配 筋皮神経(C5~7)
トリガーポイント 三角筋大胸筋三角(モーレンハイム三角)の
深部で烏口腕筋の筋腹
関連痛 三角筋前部付近、上肢は手背まで後面に点在

 

烏口腕筋のストレッチ

※後日、掲載いたします。

 

烏口腕筋の特徴

特徴1 烏口突起での繋がり

ダウンロード (40)

画像引用(一部改変):Anatomography

【上腕二頭筋】のページでも少し解説しましたが、烏口突起に付着する筋肉は…

・烏口腕筋

・上腕二頭筋短頭

・小胸筋

と3つの筋肉が付着しています。

これらうち烏口腕筋と小胸筋は線維の一部を交えており、小胸筋は烏口鎖骨靭帯との関係もあることから烏口腕筋にも少なからず影響があるとされています。

また烏口腕筋と上腕二頭筋短頭については筋膜同士の繋がりがあり、DFL(ディープ・フロント・ライン)での関係があるとも言われています。

後述しますが、この烏口突起周辺はとても神経や血管の通過が多いです。

烏口腕筋だけに着目するのではなく、烏口突起を介した小胸筋や上腕二頭筋短頭にも注意を払い観察することが大切かもしれませんね。

ちなみに烏口突起では上記の筋肉との連結が確認されていますが、筋腹から遠位にかけては…

・上腕筋

・上腕二頭筋

・上腕三頭筋

との繋がりがあることも知られています。

起始部~停止部まで複数の筋肉と関わり合いがある烏口腕筋

参考までに覚えておいていただきたいと思います。

特徴2 烏口腕筋の関連痛

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画像引用(一部改変):Anatomography

今までも各筋肉について特徴的なトリガーポイントによる関連痛があればご紹介してきましたが、この烏口腕筋のトリガーポイントによる関連痛もかなり特徴的です。

烏口腕筋の関連痛は大きく分けて2つ。

・三角筋前部付近

・上肢は手背まで後面に点在

特徴的なのは2つ目ですが、それぞれ説明していきます。

 

1つ目の三角筋前部付近。

これは烏口腕筋のトリガーポイント、三角筋大胸筋三角(モーレンハイム三角)の深層にありますがここを押圧した際、トリガーポイントより外側の三角筋前部付近に関連痛が発生します。

ここに関しては割と位置的にも近く、関連痛としては覚えやすいかもしれません。

しかし問題は2つ目です。

トリガーポイントに関しては全く同じ場所、モーレンハイム三角になりますがその関連痛は…

上肢後面!上腕部から手背まで点在するということ

点在ということは一続きではなく、こことこことここも?みたいな訴え方です。

もちろん関連痛のため圧痛はありません。

腹側にトリガーポイントがあるにも関わらず、背側に関連痛が生じる。

これはなかなか他の筋肉にはない特徴です。

是非、覚えておいてほしいと思います。

特徴3 神経・血管との関係

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画像引用(一部改変):Anatomography

先ほど【特徴1】でも簡単に触れましたが、烏口突起周辺の前胸部はとても神経や血管が豊富です。

腕神経叢や腋窩動脈が通過するため治療するにあたってもとても重要なポイントにもなります。

上記の【烏口腕筋の解剖】でも紹介していますが、三角筋大胸筋三角(モーレンハイム三角)は三角筋前部線維と大胸筋鎖骨部線維との間にありますが、ここを橈側皮静脈が通り、腋窩静脈へと続く大事な血管であるとされています。

(烏口腕筋はモーレンハイム三角の深層にあります)

ちなみにこのモーレンハイム三角はよく肩関節前方脱臼の際に着目すべきポイントとしても挙げられているようです。

そして烏口腕筋の筋腹の方へと進んでいくと内側後方に…

・正中神経

・尺骨神経

・上腕動脈

これらを代表する上肢にとってはとても重要な神経・血管系が走っています。

そのため烏口腕筋にアプローチする際には十分に気を付けなければいけません。

もし仮に烏口腕筋だと思い、上記の組織にダイレクトストレッチ(強刺激)などを行えば、神経・血管が傷つき逆に痛みが増悪してしまう可能性が非常に高い場所になっています。

治療する際には烏口腕筋と神経・血管に注意して治療を行ってください。

 

まとめ

特徴1 小胸筋や上腕二頭筋短頭と烏口突起で繋がる
特徴2 烏口腕筋の関連痛は上肢後面、手背まで届く
特徴3 腕神経叢や脈管系が近くを通過する

 

いかがだったでしょうか。

今までなかなか着目してこなかった烏口腕筋でしたが、少しは重要な筋肉の一つであることが理解していただけましたでしょうか。

ただし最後にも書きましたが、烏口腕筋の近くは神経・血管が多く走行しています。

治療する際には十分注意を払い、治療を行うことをお勧めします。

それでは今回も最後までご覧いただきまして本当にありがとうございました。