先輩…最近〇〇さんの治療で少し悩んでるんです…
そうなんだ。ところでその悩みって?
膝の可動域なんです。
変形性膝関節症の保存でみてるんですけどなかなか屈曲・伸展ともにうまく改善しないんです…
うんうん。それよくあるよね。俺も悩むことあるよ。
じゃちょっと一緒に考えていこうか!
はい!
変形性膝関節症に限らず、膝関節疾患の方のリハビリでは痛みとともに可動域制限に悩まされることが多々あります。
もちろん全て方の膝関節を無理に可動域出そうとするわけではありませんが、可能であればよりその機能障害は改善させてあげたいものです。
特に女性ならO脚、屈曲拘縮なんかあまり見た目がよろしくないですから…
「痛いの我慢するからどんどんやってください!」
なんて言われることも多々あります。
もちろん関節の変形にも意味があると考えていますから、患者さんのNeedと私たちができること(リスクを考慮したうえで)を伝えるわけですが、今回は誤解を恐れずに広い意味合いで…
【膝関節の可動域制限を腓骨から考える】
という視点で話を進めていきます。
いやもちろん脛骨大腿関節・膝蓋大腿関節ももちろん重要であるという認識の下で話を進めていきます!
見出し
腓骨は重要だ!!!と私は思う…
以前、メジャーリーガーの青木宣親選手が腓骨骨折をされたときに腓骨に関して書いた記事がありました。
リンク先 ⇒ 腓骨骨折からみる腓骨の重要性
およそ2年前に書いた記事ですが、今見返すとちょっと恥ずかしいくらい稚拙な文章力だなという印象を受けました。
ということは2年経ち、少しは成長した!?ってことですかね。
…
…
…
ごめんなさい。
話がそれました。成長してないですね…
【腓骨】
以前も話しましたが、基本的にはあまり重要視されていない骨の一つだと理解しています。
時たま、脛腓骨骨折でもやや転移しかかっていても脛骨はプレート固定やスクリューで止めていても、腓骨は”保存のまま”ということがあります。
Dr.へ聞きにいくと…
「腓骨ってそんな重要じゃないから、いいんじゃない?
とにかくリハビリで頑張って!」
マジか…そんな認識のDr.もいるのか…
そう愕然とした時もありました。
それはさせおき、私の中では膝関節の機能をみるときに必ず腓骨の可動性はみます。
脛腓関節は〇〇関節!
覚えていますか?
ちょっと私も忘れかけるときがあるので自分の復習がてら書いていますが、脛腓関節は…
平面関節!
ですよね。
平面関節はその名の通り、平面で構成される多軸性関節です。
具体的な見方としては…
【観察】
前後・高さ・離開・回旋
【動き】
前後・上下・圧迫・回旋
それぞれに対応して見ていければ最高です!
ちなみに私は時間ないですからパッと触ってパッと動かして初動の感じ・動きの量と質を見るようにしています。(もちろん全部はみません…)
偉そうに書いていますが、もちろん全て完璧にはわかりません。
しかしなんとなく分かるときがあります。
そう、この”なんとなく”が結構重要だと私は感じてるんです。
まぁあんまり上手ではない私でも感じる程度の左右差、もしくは動きの硬さ。
これを見つけたときは治療してみるようにしています。
【成功例:大腿骨内側上顆骨折ope後】
詳細は控えますが、この方は膝の自動屈曲時およそ140°ほどで外側ハムストリングスあたりに強いテンションを感じていました。
局所的な感じではなく、ぼんやりとした感じのテンションとのこと。
色々試しました。
外側ハムストリングス・外側後方半月板・外側広筋などなど
でもうまくいったのが腓骨への治療でした。
この方、既に腓骨が後方へ変位しており、前方への他動的な動きにも質・量ともに反対側より制限を強く感じました。
早速、腓骨前方への治療を行うと可動域アップ!
おまけに腓骨・脛骨間にある骨間膜に対しても治療を行うことでさらにちょっとだけ可動域アップ!
腓骨の治療をして著効を示した症例でした。
ただの自慢話だと捉えてほしくないので失敗例も出しますね。
【失敗例:変形性膝関節症(保存)】
この方は逆に膝関節伸展が-15°くらいで止まっていました。
end feel的にはカツッと止まる感じではなく、軟部組織に抵抗を感じました。
当然、腓骨をみました。
動き硬いです。てか両側とも硬い…
腓骨がやや前方にあり、特に後方への動きに硬さを感じる。
とりあえず腓骨への治療やってみました。
結果は冒頭にも述べたように失敗…
この方の膝関節伸展には腓骨の要素が含まれていませんでした。
というより可能性は0ではなかったのでしょうが、その頃は私の知識・技術不足も関係していました。
ここで一つ腓骨の動かし方についての実践方法をお伝えしたいと思います。
『腓骨前後方向のみかた』についてです!
腓骨は前後には動かない!?実際には…
今回は腓骨の前後方向への動きだけにフォーカスしてお伝えします。
とは言え、
前後方向には動きません!
ちょっと語弊があると思うので補足しますが…
『矢状面上に沿った前後方向の動きはない!』
ということ。
簡単に言えば、動かすべき方向・関節面の向きがあるんです!
画像引用改変:http://lifesciencedb.jp/bp3d/
これだと50点です。
それは何故か?
脛骨と腓骨の位置を見てください。
腓骨って脛骨の真横についているわけではなく、少し斜め後ろに脛骨に隠れるようについています。
だから…
後ろには動いても、前には脛骨があって邪魔して動けません!
そのためこれでは正確な評価はできません。
だから腓骨を動かすのは『矢状面上の前後方向ではない!』ということなんです。
ではどう動かすのか?
私はこうしています。
画像引用改変:http://lifesciencedb.jp/bp3d/
じゃん!!!
腓骨を前外方・後内方へ動かす!!
これなら関節面に沿って脛骨上で腓骨の動きをみることができます。
正確な角度は調べてないのでわかりませんが、これなら先ほどよりも正確に腓骨の可動性をみることができます。
さらに正確に腓骨の可動性をみる2つのポイント
まぁここではちょっとしたアドバイスしかできませんが、私が腓骨の可動性をみるときに気を付けているポイントを2つご紹介します。
ちなみに「それくらい考えれば分かるわっ!」とか冷たいことは言わないでくださいね…(泣)
ポイント① 動かす方向に正対する
より正確に腓骨の可動性をみるために私は先ほどの矢印上に体を正対させます。
もし体を前額面上に正対させると手だけでその方向を探さないといけません。
また体から腕が離れるためうまく力が伝わりません。
だから矢印上に正対してより腕を体に密着させ、真っ直ぐな状態を保ちながら動かします。
画像引用改変:http://lifesciencedb.jp/bp3d/
こんな感じです。
そうするとより正確に腓骨の可動性をみることができますよね。
ポイント② 靭帯の影響を考慮する
腓骨に付く靭帯といえば…
【外側側副靭帯】【腸脛靭帯】【弓状膝窩靭帯】【脛腓靭帯】
この4つです。(他にもあったら教えてくださーい!)
もちろん目的は”腓骨の可動性をみる”ということですからこれら受動組織の影響を極力抜いた状態であることが望ましいです。
ではどうするか…答えは簡単です。
膝関節屈曲位でみる
この方がみやすいというのもありますが、これが一番腓骨の可動性を引き出してくれます。
もちろん屈曲しすぎると脛腓靭帯の前方のテンションが強まりますので、極端に屈曲位ではいけませんが、ある程度は屈曲位で膝関節周囲筋の力が抜けた状態であることが望ましいです。
伸展位にすると外側側副靭帯の緊張が一番強くなってしまい、正確にはみることができませんからね。
いかがだったでしょうか。
ちょっと正確な角度までお伝えできないので正確な情報とは言えませんが、腓骨を評価するうえでとても重要なポイントにはなります。
腓骨関係の話なのでもちろん足関節にも関係あるのですが、話がややこしくならないように今回は膝関節にだけ特化してお伝えしました。
何気なく、腓骨をみていてもうまくいかなかった方には一つの気づきになったのではないかと思います。
まぁ知っていた方も再度復習がてら読んでいただければ嬉しく思います。
これからも簡単な症例(成功例・失敗例)を挙げていきながらちょっとした情報を発信していきます!
では今回も最後までご覧いただきありがとうございます!
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