肩関節の動作をみる際に肩甲骨の動きも同時に確認すると思います。

しかし客観的にみている動きだけではわからないことも多々あります。

(もちろん触診しながら動きを追う方もいると思います)

まずは肩甲上腕関節に着目し、どの段階でどんな動きをし、

それが何を意図しているのか考えていきたいと思います。

 

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肩関節の分類

肩関節外転の動きで説明すると…

0°~60°:懸垂関節

60°~120°:移行帯

120°~150°:要支持関節

と呼ばれています。

それぞれ説明しますと…

 

懸垂関節

懸垂関節はHanging jointとも呼ばれ、

setting phaseと呼ばれる0°~20°から60°までの

範囲を指し、動きの主体は…

ship rollであるとされています。

※ship rollとは船が左右に揺れる様を指しており、

重心が上下左右に移動しているということになります。

 

移行帯

移行帯は60°~120°の範囲を指し、ここでの動きは…

ball roll(転がり)、gliding(滑り)が主体となります。

 

要支持関節

要支持関節はJoint needing suppurtとも呼ばれ、

120°~150°の範囲を担当し、ここでの動きは…

rotation(回旋)が主体となっています。

 

これをみるとそれぞれどの角度あたりでどの要素が必要かわかります。

肩関節疾患の急性期はかなり関節可動域も制限されます。

それは肩関節内もしくはその周囲に炎症があり、

関節内圧の上昇やまた肩峰下滑液包(SAB)の炎症による肥厚などで

阻害される場合もありますが、この関節角度による分類でみると…

懸垂関節から移行帯のいわゆる肩甲上腕関節の不安定な状態における適合性の問題に着目するべきであると私は思っています。

何が言いたいかというと…

この時期に他動による関節可動域訓練は意味をなさない!

と言いたいです。

 

まずはケミカル(炎症など)な問題を解決し、

正常とは言えない代償的な運動を行う中でいかに

関節の不適合を起こさず、リハビリを進めて

慢性期の可動域制限を予防し、機能的な肩関節にしていくか。

言葉では表現できても実際臨床は同じ肩関節周囲炎でも

患者さん一人一人が違う状態なのでより個別に患者さんを

見ていく必要もあると思います。

 

 

上肢拳上位からの下制の特徴

これまでは上肢外転の運動を解説してきましたが

上肢拳上位からの下制の動きではまた異なります。

150°~80°:要支持関節

80°~60°:移行帯

60°~20°(0°):懸垂関節

となります。

先ほどの数値と見比べると…

移行帯が短くなり、要支持関節が長くなっています。

これから見えることは…

肩甲窩が骨頭を支える時間が長くなったと言えます。

ということは外転時の痛みと下制時の痛みに

関節可動域の差があるときはぜひ参考にしてほしいと思います。

 

 

いかがだったでしょうか。

客観的には分からない情報なので参考になったのではないでしょうか。

ぜひ臨床の患者さんをみてまた考えをめぐらせてほしいと思います。

最後まで読んでくださってありがとうございました。