外側上腕筋間中隔において神経絞扼による橈骨神経麻痺について書きました。
今回はその橈骨神経から分岐した後骨間神経深枝である後骨間神経絞扼による麻痺について解説していきたいと思います。
前回ご覧になっている方はお分かりかと思いますが、キーワードは回外筋になります。
それでは本題に入っていきたいと思います。
回外筋での絞扼部位
回外筋による絞扼部位は近位と遠位の2か所、存在します。
どちらも回外筋内での絞扼なので特別大差はないといわれていますが、今回この回外筋部位での絞扼で重要な”Frohseのアーケード”について詳しく説明していきたいと思います。
Frohseのアーケード
Frohseのアーケードとは後骨間神経の絞扼ポイントであり、回外筋近位端に存在します。
回外筋と言ってもFrohseのアーケードは腱もしくは腱膜のような形を呈しています。
ここはもともとの入り口が狭い上に腱組織があるため柔軟性がなく、障害を受けやすい部位であるとされています。
また肘関節や回外筋を酷使するテニスやバドミントン選手などは回外筋の筋スパズムによる絞扼や後骨間神経に隣り合う橈側反回動脈の圧迫を受けることで症状が増悪する可能性も考えられます。
後骨間神経麻痺の症状
後骨間神経麻痺の代表的な症状は下垂指(drop finger)です。
手関節背屈はできても全指において伸展不可、母指外転も障害されます。
しかし橈骨神経麻痺とは言っても橈骨神経の深枝は運動神経のみのため感覚障害に支障をきたすことはありません。そのためTinel signも陰性になります。
橈骨神経麻痺と後骨間神経麻痺の鑑別
ここでは橈骨神経麻痺と後骨間神経麻痺の症状を列挙して比較します。
橈骨神経麻痺
・下垂手
・感覚障害あり
・絞扼、障害部位にTinel sign陽性
後骨間神経麻痺
・下垂指
・感覚障害なし(深枝は運動枝のみのため知覚枝の関与なし)
・Tinel sign陰性(知覚枝の問題がないため)
いかがだったでしょうか。
前回の橈骨神経麻痺と合わせてみてみるととても理解が深まる内容じゃないかと思います。
なかなか出会うことのない症状ですが理解しておくといざという時に役立つと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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