肩関節疾患がある方で

拳上より外転制限の方が

自動運動の制限を受けている方、多くないですか?

 

肩関節の治療に携わる人にとっては

必ずと言っていいほど

どこかでこの問題にぶち当たります。

 

今回は

肩関節拳上と外転の違いから

どうすれば肩関節外転運動を

痛みなく遂行できるようになれるか考えていきたいと思います。

 

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運動割合

それではさっそく拳上と外転での運動の違いから

話を進めていきたいと思います。

 

肩関節の自動運動を遂行するためには

最低3つ以上の関節の運動が必要となってきます。

その関節が、

  1. 肩甲上腕関節
  2. 肩鎖関節
  3. 胸鎖関節(今回は肋鎖関節含む)

になります。

 

これらの各関節が

それぞれの割与えられている運動を担保することで

自動運動が成り立っています。

 

【拳上】

肩甲上腕関節 → 約50%

肩鎖関節     → 約40%

胸肋鎖関節   → 約10%

 

これが大まかな自動運動での拳上の運動割合になり、

それに対して外転運動は、

 

【外転】

肩甲上腕関節 → 約65%(15%UP

肩鎖関節   → 約15%(25%DOWN

胸肋鎖関節  → 約20%(10%UP

となっています。

 

これらの数値をみると

単純に肩甲上腕関節と胸肋鎖関節の運動割合が増え、

肩鎖関節の運動割合が減るのだなとわかります。

 

そのためこの数値だけでも治療へ生かすことができます。

肩甲上腕関節と胸肋鎖関節の可動性が制限されているので

あればそこを改善すればいいのですから。

 

しかしこれだけでは不十分です。

何故肩鎖関節は運動割合が減ったのかも考えなければいけません。

 

肩関節外転運動は拳上に比べ、

肩峰下での運動を要求されます。

そのため外転での自動運動に加え、

肩峰での支点形成(実際には当たっていません)が、

肩関節外転運動を遂行する

要素となっているのであれば

肩鎖関節の不安定性は外転制限の一因にもなり得るからです。

 

逆に考えれば

外転制限はなく、拳上制限がある方にとっては

肩鎖関節の運動が大切になってくるわけでもあります。

 

肩鎖関節は解剖学的に

平面関節に分類されますが、

鎖骨の関節面は肩峰上に乗っているような状態です。

 

また鎖骨側の関節面は

下方、外側が斜めに削られているような形をしており、

モビライゼーションを行う際は頭に入れておく必要があります。

 

少し話は脱線しましたが、

関節ごとの自動運動割合から

肩関節外転制限を改善する糸口はつかめましたか?

 

しかしこれだけでは

全ての外転制限の改善を見込めません。

まだまだ考えるべき点は山ほどあります。

 

これから少しずつ

肩関節外転制限を改善するために

有効なデータや運動学が見つかれば

皆さんにお伝えしていきたいと思います。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。