大腰筋と言えば…

股関節を屈曲する筋肉!とか

腸骨筋と合わせると腸腰筋になる!とか

何となく重要であるような感じはあっても最初はこのような特徴しか浮かばないような気がします。

もちろん姿勢保持にも大きな役割を果たし、よくリハビリでも使われる筋肉の一つであると認識していますが、より細かく見ていくとさらに重要と思える側面が出てきました。

是非、今回はそんな内容を皆さんにお伝えしたいと思います。

大腰筋の基礎的な解剖学の復習からストレッチ方法、そして臨床で役立つ3つの特徴と解説していきたいと思います。

SPONSORD LINK

大腰筋の解剖

page5498455

画像引用(一部改変):Anatomography

大腰筋(psoas major)
起始 浅頭:Th12~L4椎体および肋骨突起
深頭:全腰椎肋骨突起
停止 大腿骨小転子
作用 股関節屈曲、外旋
神経支配 腰神経叢の筋枝(Th12~L4)
トリガーポイント 大腰筋起始部付近
関連痛 同側の腰背部を中心に仙腸関節から殿部付近まで
関連臓器 結腸、腎臓、膀胱、子宮、前立腺

 

大腰筋のストレッチ 

※後日、掲載致します。

 

大腰筋の特徴

特徴1 恥骨筋との関係

ダウンロード (39)

画像引用(一部改変):Anatomography

大腰筋は股関節の前面を通る際、この恥骨筋との関連が深いとされています。

厳密に言えば…

大腰筋の内側と恥骨筋の外側。

ここが隣り合い、構成されています。

ここは以前【恥骨筋】のページでも解説しましたが、内側大腿回旋動脈との関係があります。

ここでもう一度説明すると…

内側大腿回旋動脈とは、大腿動脈から分岐してきた動脈の一つで、股関節後方に枝を伸ばす栄養血管です。

この内側大腿回旋動脈は大腰筋と恥骨筋間を通って先ほど説明した股関節後方へと続いていきます。

そのため大腰筋や恥骨筋の筋スバズムや線維化により、通過部位で絞扼されると股関節後方に血管原性の痛みが生じるとされています。

ということで、大腰筋は…

股関節前方を走りながら股関節後方に痛みを引き起こす!

という可能性のある組織と絡みがあることを知っていてほしいと思います。

特徴2 解剖学的特徴

image (1)

画像引用(一部改変):Anatomography

次は大腰筋のみならず他の組織も含んだ話になりますが、解剖学的にもとても重要な話をしたいと思います。

皆さんは、鼠径靭帯の下(背側)の解剖をしっかりと理解されていますか?

血管や神経、もちろん大腰筋が通ることは知っていてもその細かな解剖までは知らない方が結構いらっしゃいます。

ここで知ってほしいのは…

腸恥筋膜弓という言葉(部位)です。

腸恥筋膜弓とは鼠径靭帯の下で血管や神経、筋肉が通るルートにある間仕切りみたいなものです。

この腸恥筋膜弓によって鼠径靭帯の下は二つの部屋に分けられ、これらが通過しています。

・内側 ⇒ 恥骨筋、大腿動静脈、陰部大腿神経大腿枝、リンパ節(ローゼンミュラー)

・外側 ⇒ 腸腰筋、大腿神経、外側大腿皮神経

とこれらの組織が存在します。

あまり多くの人が知らないこの腸恥筋膜弓

覚えておいて損はないと思います。

特徴3 股関節最大の滑液包

image (1) - コピー

画像引用(一部改変):Anatomography

この話に入る前に…

とてもマイナーな診断名ですが、先ほどの鼠径靭帯の下で起こる炎症疾患の一つに【腸恥滑液包炎】というものがあります。

これはタイトル通り、鼠径靭帯の下に存在する股関節最大の滑液包腸恥滑液包が炎症を起こすという疾患です。

ではなぜこんなところに股関節最大の滑液包が存在するのか

それは恐らく、大腰筋(腸腰筋)が強い力を発揮できるようにするためであると思われます。

滑液包が存在するということは摩擦がある場所であるということ。

そして股関節最大である理由は、その摩擦がとても強いことを意味します。

そうでないとすぐに滑液包が耐え切れず、炎症や痛みに繋がってしまうからです。

(もちろん腸恥滑液包炎は過度な摩擦や使い過ぎが原因で起こるようですが…)

是非、鼠径靭帯内に大腰筋(腸腰筋)の下に存在する【腸恥滑液包】股関節最大の滑液包であるということを覚えていてほしいと思います。

 

まとめ

特徴1 内側大腿回旋動脈由来の疼痛あり
特徴2 鼠径靭帯の下を多くの組織が通過する
特徴3 腸腰筋の下には腸恥包が存在する

 

いかがだったでしょうか。

大腰筋が姿勢保持だけに関係している筋肉ではないことが理解していただけましたでしょうか。

特に股関節痛には関与が大きいことを覚えておいてほしいと思います。

今回も最後までご覧いただきまして本当にありがとうございました。