腸骨筋と言えば…
大腰筋と合わせて腸腰筋!とか
股関節の屈筋!?とか
腸骨筋のイメージと言えば大体このようなことを思い浮かべるのではないでしょうか。
もちろん姿勢に関することは皆さん、承知の通りで特に詳しく述べることはしませんが、他にも色々な特徴を兼ね備えています。
当然のことながら腸腰筋としての特徴は大腰筋との繋がりの中で評価されていきます。
今回はそんな腸骨筋の基礎的な解剖学の復習からストレッチ方法、そして臨床で役立つ2つの特徴を解説していきたいと思います。
見出し
腸骨筋の解剖
画像引用(一部改変):Anatomography
腸骨筋(iliacus) | |
---|---|
起始 | 腸骨内面(腸骨窩)上部 |
停止 | 大腿骨小転子 |
作用 | 股関節屈曲、外旋 |
神経支配 | 大腿神経(L2~4) |
トリガーポイント | 上前腸骨棘の高さにある腸骨窩 |
関連痛 | 鼠径部から大腿前内側付近 |
関連臓器 | 結腸、腎臓、膀胱、子宮、前立腺 |
腸骨筋のストレッチ
※後日、掲載致します。
腸骨筋の特徴
特徴1 大腰筋との違い
画像引用(一部改変):Anatomography
腸骨筋単独で大腰筋との違いを表すとすれば2点あります。
①起始の違い
②関連痛の違い
それぞれ説明していきます。
①起始の違いについて
大腰筋 ⇒ 腰椎
腸骨筋 ⇒ 腸骨(骨盤)
このようになっており、当たり前のようですが…
大腰筋 ⇒ 腰椎の動きに関与(+)
腸骨筋 ⇒ 腰椎の動きに関与(-)
そのため、より全体的な良姿勢保持に関しては腸腰筋というより大腰筋の機能が大事になってきます。
これについては解剖図をみればすぐにご理解いただけると思います。
②関連痛の違い
これは同じ腸腰筋でも全く違う関連痛を引き起こします。
大腰筋 ⇒ 同側の腰背部を中心に仙腸関節から殿部付近まで
腸骨筋 ⇒ 鼠径部から大腿前内側付近
要するに…
大腰筋 ⇒ 身体後面
腸骨筋 ⇒ 身体前面
それぞれ全く反対の関連痛を引き起こします。
特に実体のない(圧痛のない)腰殿部痛に関しては大腰筋の関連痛を疑ってみるのもいいかもしれませんね。
(腸骨筋のページですが、大腰筋の重要性を語っています…)
特徴2 大腰筋と合わせての特徴
画像引用(一部改変):Anatomography
これは前回【大腰筋】のページで説明した2点がそのままの特徴となります。
①鼠径靭帯下通過時の特徴
②股関節最大の滑液包との関係
それでは一つずつ解説していきたいと思います。
①鼠径靭帯下通過時の特徴について
画像引用(一部改変):Anatomography
まず腸腰筋は鼠径靭帯下の2つに分けられる部屋の外側を通るということ。
鼠径靭帯の下は腸恥筋膜弓という組織で間仕切りされ、2つの部屋に分けられています。
厳密に解説すると…
・内側 ⇒ 恥骨筋、大腿動静脈、陰部大腿神経大腿枝、リンパ節(ローゼンミュラー)
・外側 ⇒ 腸腰筋、大腿神経、外側大腿皮神経
とこのように組織が分かれて通過しています。
そのためアプローチする際に鼠径靭帯の下をどのような形で通過しているのか知っておくことは大事です。
鼠径靭帯 = スカルパ三角構成の一部
だけじゃなく、このように腸恥筋膜弓という組織と一緒に覚えておいてほしいと思います。
②股関節最大の滑液包との関係について
画像引用(一部改変):Anatomography
腸腰筋の下に股関節最大の滑液包である【腸恥滑液包】が存在します。
前回も説明しましたが、滑液包が存在するということは摩擦が生じる場所であること。
そして股関節最大の滑液包ということはその摩擦が特に強く、また筋出力も高い状態を保つためにここにわざわざ一番大きな滑液包が必要であったのではないかと思います。
もちろん過度な使い過ぎやオーバーワークで炎症を起こす可能性もありますが、股関節最大の滑液包は腸腰筋下に存在するのだと覚えておいてください。
まとめ
特徴1 大腰筋とは起始と関連痛が違う
特徴2 腸腰筋として鼠径靭帯下での存在
いかがだったでしょうか。
前回の【大腰筋】と比べてみても特徴2に関してはほぼ似たような内容(腸腰筋としてみているため)でしたが、それくらいこの2つの筋肉は切り離せない関係にあるのだとも思います。
(是非【大腰筋】のリンク先も合わせてご覧ください)
今後、臨床の中でもこの知識が活用できるよう覚えておいてほしいと思います。
今回も最後までご覧いただきまして本当にありがとうございました。
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